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第203話 思い通りに行かない世の中



「あ、ライアーさん! 聞きましたよ、女装癖がバレたくらいでリィンさんを蹴り飛ばすだなんて最低ですね、全く。その様子を見るに仲直りはしたみたいですけ……」

「おいこらリィンお前何吹き込んだ!!!!!」

「ざまぁみやがれ裏切り者ーーーー!!!!!」


 クアドラード王国グリーン領首都ダクアの冒険者ギルドにて。

 リリーフィアさんの発言に即座に反応したライアーの手によって私の顔面はお亡くなりになった。


 ふふん、残念だったなライアー。お前のクアドラードでの評判は『コンビを騙し通したトリアングロ幹部』では無い。『コンビを騙し通した女装癖の暴力野郎』だ。


「ただいまー!」

「おかえリック!!?? え、何その大怪我!?」

「ぎゃーー!! 俺らのリーダーが軽率に死にそう!」


 ダクアの冒険者ギルドには戦争に参加していたのか月組達の様な冒険者が居て、怪我の手当をしていた。

 そんな中現れた私たち。グレンさんに体重を預けたリックさんの姿が見えた月組は悲鳴を上げた。


「悪い……誰かリック預かってくれ」

「お、おう!」

「それと俺も今から倒れるから受け止めてくれ」

「は、え、ちょーーーっ! 本当に倒れる奴がいるか!」

「んぎぎっ、私、力全然ありませんのよっ!」


 エリィが一所懸命グレンさんを支えてたけど最終的に崩れて月組の誰かが慌ててキャッチした。

 あそこ大変そう。

 ライアーの片腕で抱き抱えられてる私は他人事視点でそう思った。ヒリヒリ痛む顔面は気の所為のフリをして。


 というか私と立てないくらいには疲労が凄いんだよな。疲れてないのは裏切り者だけ。


「ちょっと! リィンさん!? 貴女は貴女で何死にそうなんですか!? あぁもう、とりあえず貴女からです!」


 怪我は全く無い私を見てリリーフィアさんは悲鳴を上げる。


 阿鼻叫喚って、このことだろうなぁ。


「お前死にかけなのか?」

「無理矢理魔力ぞ引き出すすてましたし、魔石多分ボロッボロでしょうね」

「それ、大丈夫なのか?」

「……」

「おい、無言で鳩尾蹴るな」


 誰のせいだと思ってんだ誰のせいだと。

 私のやり取りに慌てて駆け寄ったリリーフィアさんはピタリと足を止めた。ダラダラと冷や汗を流して。


「……もし、かして」

「あー、リィンも知ってんのか」


 続きは口にされなかったけれど、話の内容は『人に魔石が存在することを知っているのか』って事だろう。


「はい、そこの2人……3人も」

「なんでこのこと分かっときながら酷使するんですか! 使用禁止って言いましたよね! 〝リペア〟!」


 私に向けて魔法を使ったリリーフィアさんは驚愕した。


「一回で直らないとかどんだけですか!? もうっ、危険な状態な事に変わりませんけど、自然回復するまで待つんですね!」


 ありゃー。匙投げちゃった。

 仕方ない、結構無茶やらかしたからね。あと自然と回復するのは知ってるからしばらくは休魔法日だ。


 比較的軽傷の月組は2人の怪我の手当でバタバタと駆け回る。そんな中フラりと近付いて来たのは赤褐色の髪色の見知った顔。


「あ、お兄ちゃん」


 幼馴染のヒラファお兄ちゃんである。なお、私がヒラファではなくお兄ちゃんと呼んでるあたり語彙に関しては察して欲しい。


 お兄ちゃんは顔をクッシャクシャにして顎を突き出していた。どういう感情?


「よっ、リィン。……と、ライアー」

「それどういう感情の顔だよ」

「自分の幼馴染のコンビポジション狙ってたのにどこの馬の骨とも分からない男に取られた兄貴分の、こいつ邪魔だなぁ潰したいなぁって顔だよ。挙句その馬の骨女装癖持ちだし」

「持ってねぇよ!!!!!」

「百歩譲ってその趣味嗜好は良いとしよう。だがライアーてめぇはリィンを蹴り飛ばしたという話が上がった。そんな男、うちの可愛い妹分はやらん! 事実か?」

「はっ、事実と言ったら?」

「クアドラードとトリアングロみたいに俺達も戦争しよう。お前負ける側な」

「くっそ複雑ではある」

「ベリー複雑ぞ。もうやり終わったあと故に」

「どゆこと?????」


 この男、既に戦争を初めて終わらせた張本人である。


「つまり女装は事実……と」

「違ぇよボケ」


 コントでもやってるのかと問いたい程アグレッシブに会話のキャッチボールをしてる中、アレが来訪した。


「ライアーちゃああぁぁあん」

「「げぇ」」

「おいこらこんな美魔女目の前にして『げぇ』はなによ特にヒラファ」

「今日も大変麗し……いです……ね……リ、リーベさん」


 振り絞るように言うくらいなら言わないで良いと私は思うんだよ。何、弱みでも握られてるの? 私も一枚噛ませて。


 そう、突然現れたのはダクアの有名筋肉だるま魔法職、愛のおかまリーベさんだ。


「相変わらず可愛いわねぇリィンちゃん! ちょっとライアーちゃん、アタシにも抱っこさせなさいよぉ」

「誰がやるか」

「ケチねぇ!」


 私を片腕で抱えながらもライアーはゲシゲシとリーベさんを蹴るように足を動かす。分厚い唇をブーブー尖らせてリーベさんは拗ねた様子を見せた。


「ところであんたねぇ。こっちの道に来たのならアタシに一言くらい言いなさいよ」

「行ってねぇ! 離れろリーベ近付くな!」

「あぁん!?」

「ほら、あれだ、相棒サマの教育に悪ィ」


 絶対微塵も思ってないだろそんな事。

 ふーやれやれ、助け舟を出すとするか。


「リーベさん、その道の指南ぞすてあげてください」

「よしきた」

「俺の味方が一人も居ねぇ!!!!!!」


 ずざざざざ、と勢いよく距離を離したライアーがリリーフィアさんを盾にした。


「リリーフィアいい加減あの化け物出禁にしろ!」

「ちょっ、私を盾にしな……。あれ、今ライアーさん私のことなんて言いました?」

「あ? リリーフィアだっただろうが」

「いえ貴方いつも呼び方は……」


「おっさん、女好き設定」

「あっ(忘れてましたって顔)」


 リリーフィアちゃん、って呼んでたもんね。ライアーは微妙な顔をしたあと、咳払いを1つすると頑張って取り繕うかのように口を開いた。


「今日も相変わらず最高にビューティフルで綺麗だぜリリーフィアちゃん」

「ぶっっっはぁ!」

「おい吹くな」

「ライアー、路線微妙に違うです」

「うるっせぇな、こちとら半年は()って無かったんだよ!」


 あまりにもツボに入り過ぎてライアーの上で腹を抱える。あいててててて、筋肉痛にくる。

 ポカンとした表情のリリーフィアさんも相まって涙が出るほど笑った。お腹がめちゃくちゃ痛い。


 あれ、でもこれ、笑いすぎや筋肉痛だけの痛さじゃないな。



 こう、具体的に言うと胃がひねり上げられるような。



──バァン!


「Fランク冒険者! リィン及びライアー! そしてCランク冒険者リック及びグレン! あとついでにエルフ族のエリィって子! 今すぐ、お前達は、面を貸しなさい!!!!!」

「り……っ」


 正体が分かりました。

 胃痛ですね。


 いやうん、来るとは思ってたけど、ダクアに入った瞬間から門兵が爆速で駆け出した姿見て察してたけどぉ。


「領主様!?」

「「「「「ええええええ!?」」」」」


 領主張本人が冒険者ギルドに突撃してくるなシバくぞ。嘘ですしばけません。


「君達、君達さぁ……ほんと、ほんっっと、ちょっと私に詳しく説明しなさい。いい加減にしなさい。私の胃を殺す気ですか。治療は私の屋敷で行います、さっさと、今すぐ、えぇい待てません、無理矢理にでも連行します」

「……グリーン子爵ぅ」

「そんな捨てられた子犬みたいな声を出しても威厳は毛ほどもありませんしこっちは君達のせいで忙しいんだから早く来なさい!」


 貴族の体裁は整えてあるけど目がガンギマリで思わず身を引いてしまった。

 子爵の私兵……多少なりとも見覚えのある人達がリックさんやグレンさんを担架で抱えたりして無理矢理連行し始める。


 後ろ盾になってくれてるのに何も相談も報告も無かったのは、たしかに申し訳ないとは思っている。ただあの、情報早すぎませんか。


 あっ、もしかしてノッテ商会?


 私があれやこれや胃痛を誤魔化す為に別の事を考え始めていると、混乱した月組が混乱したままリックさんとグレンさんに手を振っていた。あばよ、また来世でな。見捨てる速度が異様に早い。

 あいつはいつかやると思っていた? わかる。




 ==========




「………………はぁ〜〜〜〜〜〜〜〜」


 子爵は耐えきれないとばかりに頭を抱えた。


「クアドラードに宣戦布告した挙句」

「……。」

「エンバーゲール殿下誘拐容疑者が王宮に乗り込んだ挙句」

「……。」

「クアドラードを貶め戦争をしてる癖に」

「……。」

「監視が必要な立場であると分かってる癖に」

「……。」

「裏切り行為を気にも止めず」

「……。」

「勝手にトリアングロに突っ込んで」

「……。」

「仕舞いにはやれトリアングロ裏切ってこっちに着きます?」

「……。」

「やれ王城突進して粗方戦争ぶち壊しました?」

「……。」

「──一体、何を考えてるんだい君達は!」

「「だってこいつが……」」

「黙りなさいっ!」


 執務室。

 流石に月組2人は怪我人ということだし、エリィは幼過ぎて話にならないということから私とライアーが代表して説教を受けている。立つのも厳しいからとソファに座らせて貰っているのは良いけど、明らかに怒ってらっしゃる。


「分かるかい!? 君達の冤罪を撤回させようと尽力した私の目の前で突然行われるいともたやすい残酷な再戦宣言! 宣言回避の為とは言え国の最高機関である王宮乗り込み事件! 屋敷に監禁するつもりだった、F! ラン! ク! 冒険者は貴族の屋敷を窓から脱走して、トリアングロに乗りみました? クアドラードからの裏切りだと取られても可笑しくないのに必死に庇った私! 冤罪どころか張本人だった真実!」

「大変、申し訳ございませんです」

「口だけの謝罪がこの世界で通用すると思っているのかいリィン! 分かるかい!? あの屋敷に仮滞在していた私に突然告げられた『リィンが脱走しました』とか『冒険者ギルドに問い合せたところトリアングロに居るようです』とか『どうなっているんですか』なんて質問も全て、全て私に向かってくる。違うだろ! 私の! 立場は! 違うでしょう!」


 あぁ……ストレスマッハでいらっしゃる……。

 実家知られてるから何とかしてくれるとは思ってたよ子爵。その時は何も考えてなかったけど。


 それに本来ならその質問向けられるのパパ上なんだろうね。なんというか、今回の戦争最大の被害者は私だけどその次に被害行った人がこの人。


「その次に来た報告は『トリアングロ城が爆撃されました、首謀者はトリアングロ幹部のルナールのようです。その場に冒険者が……』……っ、一体本当に、何がしたかったんだいライアー!」

「すまないとおもっています」

「中途半端な報告しか来ない癖して情報が全部八つ当たりのようにこっちに飛んでくる私の立場を考えたことあるかい!? 別に私は君達の保護者でも上司でもないんだけどねぇ!?」

「申し訳ないとおもっています」


 今気付いちゃったんだけど、子爵の机の上に小瓶が置かれていた。小瓶の中には錠剤がある。その小瓶の横に、半分以上水が無くなった真新しいコップが。


 ははーん、さては胃薬。

 …………本当にごめんなさい。


「挙句私が預かっていたヴァイスは横目で煽ってくるし……ふふ……ふふふ……ふふふふふ」


 あっ、壊れた。

 どうする? 視線をライアーに向けたけど『どうしようもないだろ』という諦めの表情で解答をいただいた。


「問題は起こすと思うから覚悟だけ決めておいてね。──まさかこんな規模での問題とは思わないでしょう? 本人に害がない限りは主導的に動こうとしないから無害っちゃ無害だけど。──害があれば加えた側じゃなくても被害を被るんですね?」


 グリーン子爵がボソボソと呟いた。

 うーん、胃が痛い。なんだろうか、独り言の内容にそこはかとなく嫌な裏取引があった様な気がしなくもない。気のせいにしておいた方が現状の胃に優しい。


「借りは、返しましたよ」


 恐らくシュランゲの事を言ってるのだろう。


「まぁ正直、戦争終結、なんて馬鹿デカい借りをまた作ってしまったんですけどね」

「えへ」


 正確に言えぼ私は戦争を終結させて無い、と思う。王様もこれ以上相手にするのが面倒くさくて降参したっぽかったし。ハンデありの中、私に花を持たせてくれた様にも思える。


 あぁ、悔しいなぁ。

 一応私の勝ちとはいえ、勝てた気がしない。


 とにかく、私が戦争を終わらせた訳では無いけど戦争を終わらせる為の一撃にはなり得たんじゃないだろうか。私が逃げた後に現れた本部隊、第4王子殿下がトドメをさして戦争を終結させた様な気がする。それだけあの王様は強かったし、怖かった。


「…………っ、はぁー……」


 今更になって恐怖が湧いてくる。

 私は運が悪い質だから、これが幸運だから勝てたと思いたくない。悪運と災厄が見事なコラボレーションを果たして、それが周囲にばら撒かれる拡散型で、その中無事私が意地で生き残った。


「良く、生きてる」


 今更になって胃痛が込み上げる。

 冗談抜きで胃が痛いです。諦めなくてよかった、たった一瞬でも諦めてたら私は死んでた。生に、勝負の先にある目的しか見えてなかったから。躊躇ってたら死んでた。


「………………。」

「……? 何です?」


 私を頭をぐしゃぐしゃと撫でくりましたライアーは私の疑問を無視して子爵を見詰めた。


「それで、俺はどうなるんでしょうか」

「……それは私には判断がつきませんね。ただ」


 子爵はチラリと私に視線を向けるが、再びライアーに向き直る。


「確認したいことがあります。貴方は最初からトリアングロを裏切る気でしたか、それとも元よりスパイとしてトリアングロに潜り込んでいましたか?」

「いや正真正銘トリアング──」


 喰らえ無言の脇腹チョップ。


「──っっっ! ってぇな、何して!」

「スパイですた」


 ほら復唱しろ。

 そう視線でライアーに訴えかける。子爵は、ライアーに集中しすぎてどうやら私の事が見えてないし聞こえてないみたいだからね。


 ライアーは私を横目で確認した後、言いづらそうな敬語で言葉を続けた。


「……スパイ、でした」

「おや、やはりそうでしたか。雇い主の名前は?」

「あーー、っと」

「言えませぬ」

「……言えません」

「やはり、そうでしたか。自分の主の名前は流石に漏らせませんよね、失礼失礼」


 ライアーは決して頭が悪いわけじゃないとは思うんだけど。貴族(こちら)の世界には疎い。建前と本音を使い分けて真実を作り出す事はまだ出来はしない。


 子爵は元々ライアーが正真正銘トリアングロの幹部であるってことくらい知ってる。

 それでも子爵がライアーの立ち位置を二択で聞いたって事は、そう処理するつもりでいるのだ。


 そうだよね、国の手柄にしないわけがないよね。


 雇い主の確認は、いざとなればファルシュ(わたし)がなれるから後ろ盾というか万が一の為に聞いたのだろう。独断個人より組織。

 それにファルシュ家の頂上に立つのは、王弟殿下だ。


「……ん、そういうすれば」

「そういえば」

「そう、いえ、ば」


 私はライアーの事を見上げた。


「私の髪色についてどう思うです?」


 ライアーが金の血というのを知っているのかどうか、確認しそびれていた。


 子爵が『あっ金髪が王家の血だと気付いちゃいましたね?』って顔してる。気付いちゃいました。後ではなく子爵の前で話をする事によってそれの事実確認というか認識確認もしておきたかったんです。

 ライアーの処理が『元からスパイだった』って決まった今も、敵対組織の人間であるということは変わりないから。どこまでクアドラードの情報が渡っていたのかとか知りたいことは沢山あるだろうし。処理を決めた今聞きにくいだろうし。


「お前の髪色」

「そう」

「……群衆に居ても見つけやすい」

「人の心ぞ無いですか?」


 女好きライアーの発言とは思えないほど情緒もへったくれもない感想をどうもありがとう。

 さてはお前、金髪碧眼の事は知らないな?


 まぁ知ってたら利用するか、こいつなら。

 異世界人説を取るくらい、私の過去がこの世界にあると思ってなかったもんね。血縁(かこ)、なんて毛ほども探らなかったし。



「はい、ありがとうございました。リィンさん」

「滅相もございませんです」

「個人的なお願いですけど、絶対逃がさないように」


 監視の目を怠るな、ってことか。

 私は少し考えた後ため息を吐き出した。


「逃がさぬつもりなのはどっちなのでしょうね」

「ははっ」


 逃がすつもりは毛ほども無い。だけど逃げられないのは私も同じような気がする。

 あーあ、厄介な男を引っ掛けちゃったなぁ。


 愉快だと言わんばかりに笑みを零しているのが証拠です。おかしい、なんで私がこんなに追い詰められてるんだろう。


 表立っては『クアドラードからのスパイ』として処理されるけど、真実は変わらない。どうせライアーには正式に国からの監視も付くだろう。

 どうなるかなぁ、これから。私ごと国に取り込まれかねない。それは貴族として大変困る。


「ところでシュランゲは?」

「きちんと預かってますよ。今要りますか?」

「あ、はい」


 流石にずっと預けっぱなし、っていうのも悪いだろう。疲労で動けない今、人手は欲しい。


「──さて、そろそろ出立の準備が出来た頃ですかね」


 子爵がニッコリと笑顔を浮かべた。


「失礼いたします」

「失礼いたします」


 執事とメイドが頭を下げて出室した。


「国の最重要事項だからね、呑気に街道を通ってる暇はない。今だと本部隊の帰還と被るし。──緊急事態の最短ルートを行く。2人共、冒険者達の世話を頼むよ。出立だ」

「「はっ」」


 ……すごく、すごくいやなよかんがする。

 具体的には言うと胃がキリキリしてくる感じに嫌な予感がする。


「あ、あの、子爵……」

「王宮で、我らが国王に謁見だよ」


 思い返すのは王宮に乗り込んだ時。

 国王陛下に挨拶なんて全くせず、何なら視線も合わせず目の前でドンパチやらかした、私。



 キリ。

 キリキリキリキリキリキリキリキリ。


「気絶三秒前、ライアー、頼むすた」

「は!? ちょっ、おい!」



 胃痛案件は要らねぇって言ってんだろーが災厄さん!!!

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― 新着の感想 ―
[良い点] ダクアだ~苦労人リリーフィアちゃんだ~ あぁ帰って来たんだな……ホームに…… ライアーの運命の人リーベ姫がいるこの街では女装癖なんて普通な話なのにね…… なにも恥ずかしがる事なんてないよ…
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