表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
83/198

5-7.サバイバルレース終了

投稿が遅くなりまして、申し訳ございません。

 森を抜けた場所から山頂までは500メートル位かな。山頂付近に円筒状の光があるから…多分あの光の中に入ったらゴールって扱いになるんだろ。

 にしても、ラルフ先生とキャサリン先生は…強い。

 この前ラルフ先生の属性が【次元】らしいっての聞いたんだけど、属性からして反則だろ。滅紫色の球体に触れたバルクが瞬間移動したんですが。

 しかも、円筒状の光付近から俺達がいる森の境目までだし。400メートル近く転移させられるとか、中々にハードだぞ。


「クッソォ!もう1度だ!」


 額に青筋を浮かべながら地面に拳を突き立てたバルクは、すぐに立ち上がると果敢に向かっていった。あの怒りっぷり……何度も飛ばされてんだろうね。

 キャサリン先生は…ラルフ先生の転移とは別の意味で凶悪だ。彼女の周りには無数の雷球が浮かんでいて、近寄る生徒へ雷球から迸る雷撃が襲いかかっている。見た感じでは一定距離に近付いた人に反応するっぽい。変に突っ込んだ生徒の1人が複数の雷撃を食らって黒焦げになってるし。

 あの2人の魔法をどうやって攻略するかが問題だよな。

 ラルフ先生の方は攻撃力が無いのが救いではあるけど、触れた瞬間に転移させられるから…回避能力が高くないと攻略は難しそう。

 キャサリン先生の方は雷球との距離を正確に把握しながら、的確な防御結界の運用が出来ないと攻略は難しそう。

 結論。…どっちも難しいだろコレ。

 無理ゲーってこういう状況の為にある言葉だわ。


「どうしよっか。」

「うーん…私、自信無いな。」

「だよねぇ。」


 無闇矢鱈に突っ込んでも突破出来なさそうなんだよなぁ。

 俺とクレアが途方に暮れながらクラスメイトが撃破されていく様子を観察していると、とある2人組が現れた。


「クレア…あの2人。」

「ん?……え、火乃花さんとルフト君?」


 思わずクレアと俺は目を見合わせてしまう。何故なら、2人が共に歩を進めていたからだ。

 だってさ、あの自由奔放なルフトと真面目な火乃花の組み合わせは…かなり意外だろ。火乃花がルフトにイライラしている姿が普通に想像出来るし。

 周りのクラスメイトも「え?なんでこの2人が一緒にいる訳?」的な驚き顔で2人の事を見ている。

 そんな周囲の反応を意に介さない様子の2人は何か言葉を交わすと、キャサリン先生の方へ向かって突進を開始する。

 その2人に気付いたキャサリン先生の口が薄らと笑みを形作った。1年生屈指の攻撃力を持つ2人が向かって来るってのに…俺だったら普通に引き笑いしか出来ないぞ。てか、薄笑いの顔ですら妖艶な笑みというか…エロさを感じさせるあたりは流石だと思う。

 火乃花とルフトは雷球の射程範囲ギリギリの所に到着すると足を止める。そして、火乃花が燃え盛る火焔を前方に放つ。範囲はそこまで広くないけど、火焔の熱量は相当なもんな気がする…熱で周囲の風景が歪んでるもんな。

 そして、その火焔に向けてルフトが迅風【虚空砲】を放った。高密度の筒型風レーザーが…火乃花の火焔を喰らう。

 凄いな…てか、ルフトの迅風【虚空砲】って直進するだけだと思ってたんだけど、かなり自由自在に方向を変えられるみたいだ。火乃花の火焔を縦横無尽に動きながらどんどん吸収してやがる。

 全ての火焔を喰らい尽くした風のレーザーは…燃え盛る火焔を内包した魔法に昇華していた。言わば焔風砲…的な感じかな。ネーミングセンスについてのご意見は頂戴致しません。

 ともかく、その焔風砲は物凄い勢いで雷球の群れに突撃し…次々と撃破していく。更にその撃破した後を火乃花とルフトは駆け抜けていき…数秒後には円筒状の光に到達したのだった。


「ちっ。抜けやがったか。1年の奴ら聞こえるか?サバイバルレースで2名のゴールが出たぞ。あと8人がゴールしたら、残りの奴らは勝手に野宿してもらうからな。各々頑張れ。」


 島全体にラルフ先生の声が響き渡る。

 成る程ね。ゴールした人が出たタイミングでアナウンスを入れて、様子見をしている生徒を焦らせて炙り出すのが目的っぽいな。

 現実に森から未だ姿を見せていなかったクラスメイト達が次々と出てきて、ラルフ先生とキャサリン先生に挑み始めている。


「火乃花さんとルフト君…凄かったね。」

「だな。2人の魔法を掛け合わせるって発想が凄いな。しかも、的確にキャサリン先生の雷球を破壊して、自分達が雷撃の射程範囲に入らないようにしてたし。」

「え…じゃぁ無理矢理突破したように見えたけど違うって事?」

「あぁ。力技に見えるけど、キャサリン先生の攻撃の特性とかをちゃんと観察して把握した上での頭脳プレーだと思うよ。」

「やっぱり凄いなぁ…。私も火乃花さんみたいに強くなりたい。」

「ま、焦ってもしょうがないよ。今の俺達に出来る事を考えないと。それに、個々人の特徴ってのがあると思うよ?火乃花にはクレアみたいな治癒魔法は使えないし。俺も治癒魔法が使えないから、クレアの魔法を見る度に羨ましいって思ってんだから。」

「えっ。そうだったの?2人とも強いから、私の治癒魔法に興味無いのかなって思ってた。」

「なぁに言ってんの。俺は怪我をしないように戦って守ることは出来るけど、怪我をした人を守る事が出来ないんだよ。」

「そっか…。うん。そうだよね。私に出来ることを1つ1つ積み上げることが大事なんだね!」

「そうそう。取り敢えず…どうやってゴールを目指そうかねぇ。」

「う〜ん。」


 俺とクレアは他のクラスメイト達が挑んで次々と撃破されていく様子を見ながら首を傾げてしまう。

 隙が見当たらないんだよねぇ。


「ねぇ龍人君。」

「ん?」

「キャサリン先生とラルフ先生が完全に左右に分かれてゴール地点を守ってるのって…何か意味があるのかな?」

「どっちかの防衛を突っ切れるように。っていう選択が出来るようにしてるんじゃないのかな。」

「うん。私もそうだと思うんだけど…本当にそれだけなのかなって。あ、全然思いつきなんだけどね。」


 …意味か。

 確かに、ラルフ先生とキャサリン先生は立っている場所から一歩も動いていない。

 それに、キャサリン先生の雷球も、ラルフ先生の次元球も消えても同じ場所に再度出現しているような。

 ……………あ。


「クレア。場所を移動しよう。」

「え?何か分かったの?」

「あぁ。」


 俺とクレアは頂上を中心に大凡反対側を目指して歩き始める。


「ラルフ先生の次元球は人に触れたら消えて、数秒経つと元の場所に再出現してるんだ。で、キャサリン先生の雷球は一定範囲内に入った人に反応して雷撃を撃つけど…次の雷撃までに数秒のクールタイムがある。」

「……ホントだ。龍人君凄いよっ!」

「あんがと、つまり…」

「そうなると、雷球も次元球も見た感じでは違うように見えるけど、実は同じ特性を持ってるって事だよね?」

「そゆ事。」


 あれ?俺の説明ターンをさり気なく奪われたのですが。まぁ…いっか。深く考えないっと。


「で、確かめたいのは2つだ。」

「ん〜…次元球に反応する範囲があるか?みたいな事?」

「おっ。その通り。もう1つは分かる?」

「う〜ん。ん〜〜〜?」


 人差し指を唇に当てて首を傾げるクレア可愛いな。


「もう1つは雷球と次元球が干渉し合うのかどうか。だね。」

「えっ?どうしてそれが必要なの?」

「それは…。」


 俺は周囲の状況を確認しつつ、クレアに耳打ちをする。

 その内容を聞いたクレアは目を見開いて俺を見つめた。


「龍人君、もしそれが本当に出来たら…。」

「でしょ?という訳で、ちょっくら確認してみよう。」


 見やすいように岩矢を生成してゴール地点目掛けて放つ。

 1本は雷撃に穿たれて破壊される。

 1本は次元球に触れて転移させられ、森の境目に突き刺さった。

 1本は雷撃と次元球が同時に反応し…あ、雷撃と岩矢が次元球に転移させられた。

 なるほどね。後は…。

 俺はその後も数本の岩矢を放ち、検証を重ねる。

 そして…。


「これで、いけるな。」

「うん。龍人君…でも2人でいけるかな?」

「多分ね。俺が先行するから、基本は俺が狙われると思うんだよね。クレアは俺のすぐ後ろをついて来て。」

「分かった。頑張ろうね…!」

「勿論!何かあった時は、俺が頑張るから…後で治癒魔法よろしくっ。」

「う、うん。黒焦げにならないでね?」

「ははっ。そん時は水でも掛けて。」

「ふふっ。任せてっ。」


 軽口を叩き合った俺とクレアは…頷き合うと駆け出した。

 狙うのはラルフせんせいが守るゾーンとキャサリン先生が守るゾーンの境目。その一歩ラルフ先生側寄りだ。

 ラルフ先生の次元球は、1箇所だけ不自然に隙間があるんだよね。それは偶然ではない筈だ。そして、その隙間のややキャサリン先生側を抜ける事で…両サイドの次元球が俺達に反応して移動を開始する。

 両サイドから10個近い次元球が接近する…けど!


「やるか!」

「うん!」


 俺はラルフ先生側の左方向に魔法壁を連続で展開し、次元球と相殺させていく。けど、これだけでは勿論不十分。右側から迫り来る次元球に対処していないからだ。

 そして、その次元球が俺達に迫り…。

 ピシャァン!

 と、雷撃の音が響いて次元球に突き刺さる。当然、雷撃は森との境目に転移する。そして、転移の役目を終えた次元球は数秒の後に元いた場所に再出現する。けど、その頃には俺とクレアは射程範囲外にいる。

 …上手くいってるぞ!

 俺達の作戦は単純だ。左側の次元球にだけ対処して、右側の次元球は雷撃と相殺させる事で自動的に無効化する。これだけ。そんな事が本当に可能なのか?とは思ったんだけど、岩矢を使ってそれが可能なコースがある事に気付いたんだよね。それが今走り抜けているコースだ。

 このまま進めれば、すぐにゴール地点まで辿り着くぞ!


 あと100メートル!いける!


 そう思った時だった。不測の事態が起きる。

 ラルフ先生側からバルクが現れたんだ。


「はっ?」

「ぬぉ!?龍人とクレアか!逃げろ!」


 そう叫ぶバルク目掛けて大量の次元球が…。しかも、俺達を通り過ぎてキャサリン先生側で止まりやがった。つまり、雷球も複数反応する訳で。


「龍人君…!」

「クレア、後は頼んだ!」

「えっ?」


 俺はクレアの返事を待たずに龍人化【破龍】を発動させる。そして、岩礫群と竜巻を同時に発動させる。

 竜巻は俺とクレアを守るように出現し、同時に出現した岩礫群を巻き込んで岩礫を含んだ竜巻となる。そして…それらと次元球、雷撃が衝突を繰り返し始めた。

 余波でバルクが吹き飛んだ気がするけど…気にするのはやめよう。


「クレア!進むぞ!いつ竜巻をすり抜けてくるか分からないから気をつけて!」

「う、うん!でも、龍人君魔力大丈夫なの!?」

「多分!」


 返事をしつつ、俺はゴールに向けて移動を開始した。速度としては軽く駆ける速度で。100メートルなんて、30秒もあれば駆け抜けられる距離だ。

 それなのに…途轍もなく長い時間に感じられた。

 岩礫が次々と雷撃と次元球によって消されていくから、その補充も行わなければならない。それに合わせて竜巻の移動、そしてゴール地点に近づくにつれて密度を増す次元球と雷撃に対応するために、竜巻自体の密度も強化しなければならない。

 2つの魔法を同時行使している影響で魔力の消費量が半端ないんですが…。これ、魔力が足りなくなるかも。

 チラッと横を見ると、賢明に俺と進むクレアの横顔が見えた。

 …なんだろう。漠然とだけど、クレアは守らなきゃって思った。ゴールさせてあげたいなって。最悪、俺がゴール出来なくても、クレアだけはゴールさせたい。どうしてこんな風に思ったのかは分からない。何だろう。クレアの表情に何かを感じたのかもしれない。


「龍人君!ゴールが見えたよ!」


 クレアの言葉で思考が現実に引き戻される。この状況で思考がトリップしてるとか…ちょいヤバめだな。軽く覚醒状態入ってるかも。


「あと10メートルくらいか?よし!一気に抜けよ…う?」


 あ、やばい。

 手足から力が抜ける。

 上手く動けない。…これ、魔力が切れたのか?

 あとちょっとなのに。


「くっ…。」


 足を止めた俺に気付いたクレアの顔が変わる。


「龍人君…!?顔が真っ白だよ!もしかして…。」

「だ、大丈夫。」


 力を振り絞れ。

 最後まで諦めちゃいけない。こんな合宿程度で諦めてたら…天地になんて勝てやしない。最後までやり抜いてやる!!

 最早残っているのかも分からない魔力を振り絞って魔法陣を展開する。


「…!?龍人君なにを!駄目…!」


 俺の意図を理解したクレアが止めようとするけど、俺はそれを意に介さず、石礫をクレアの周りに集め…爆風で吹き飛ばした。

 上手くゴールまで辿り着いてくれよ!!


 ドォォォォン!!


 その直後だった。俺の背後の地面に何かが突き刺さり、その衝撃で俺は吹き飛ばされた。

 同時に視界が暗くなっていく。

 あぁ…これ、やばいな。




 その後、俺が目を覚ましたのは、サバイバルレースが終了した後だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ