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固有職業『龍人』を得た俺の異世界生活  作者: Scherz
4章:街立魔法学院
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4-21.執行部長官

 火乃花に連れられてやって来た場所…それは警察庁だった。もしかして、情報を寄越せと殴り込みをかけるつもりか!?

 俺がそんな邪推をしている横で、火乃花は迷いなく受付のお兄さんに声を掛けた。


「執行部長官って今いるかしら?」

「執行部長官ですか…?失礼ですがどのような御用向きで…。」

「それをあなたに伝える必要は無いわ。霧崎火乃花が訪ねてきたと伝えてちょうだい。」

「…!?かしこまりました。只今連絡を致しますので、あちらの待合スペースで暫しお待ちください。」

「分かったわ。じゃ、皆で待ってましょ。」


 火乃花の名前を聞いた受付のお兄さん…ちょっと焦っているように見えたけど、火乃花って警察庁で有名なのか?

 待合スペースのソファーでゆったりと待っていると、5分程度で受付のお兄さんが近寄ってきた。しかも小走りで。


「すいません。お待たせ致しました。執行部長官が今からお会いになれるそうです。こちらへどうぞ。」

「ありがと。」


 お兄さんの言葉に応じると、火乃花は俺達を促しつつ、受付のお兄さんの案内に従って移動を開始する。

 なんかさ、凄いスムーズなんだけど。

 それに、クレアとルーチェは警察庁に入る前は談笑してたりしたのに、中に入るくらいから顔を引き締めてひと言も話さないし。警察庁ってそんなに緊張?警戒?する場所なのか?

 長い廊下を進み、いくつかの角を曲がると、大きめなドアが現れた。…なんか、このドアだけ他の場所と雰囲気が全然違うんだけど。重厚感ってやつだな。


「こちらです。」


 受付のお兄さんはドアを軽くノックする。


「おうよ。入れ。」

「はい!失礼致します!」


 …!?ビックリした…何でいきなりそんなに声を張り上げるかね!?

 ガチャリとドアが開き、俺たちは受付のお兄さんに続いて部屋の中に入った。


「おう。よく来たな。って4人もいんのか。」


 そこに立っていたの上下共に黒い服を来た黒髪のおじさん。…ワイルドな感じでカッコいいな。ぱっと見では威圧感を感じそうなんだけど、サスペンダーを装着しているのが微妙な可愛さを演出しているのか、どうも怖すぎない雰囲気を感じる人物だった。

 この人が…警察庁執行部長官って事だよな。私服だし。雰囲気ラフだし。…本物か?


「聞きたい事があって来たわ。」


 火乃花が凛とした声で用件を伝える。


「おう。何でも聞いていいぞ。答えられるものには答えてやる。…と、その前に自己紹介をしとくか。そちらのお嬢さん2人は俺の事を知ってそうだが、連れの男は誰だこいつ?的な顔をしてるしな。」


 げっ。俺が不審に思ってるのバレてんじゃん。

 おじさんは俺の方を向くとニカっと笑う。


「初めまして。俺は警察庁執行部長官を務める霧崎火日人だ。」

「あ、初めまして。俺は高嶺龍人っていいます。よろしくお願いします。急にお邪魔してしまってすいません。」

「ははっ!丁寧だな。」

「私はルーチェ=ブラウニーですわ。」

「私はクレア=ライカスです。」

「おうおうヨロシク。」


 …ん?


「おい火乃花。お前もお仲間の皆さん位は、丁寧な態度を取った方が良いんじゃないか?社会で生きていくのに、一定のマナーは必要だぞ?」


 え?今、霧崎って…。


「うるさいわね。お父様にアレコレ言われる筋合いは無いわ。」


 お父様?


「がぁっはっはっはっ!そう来たか!まぁ、お前がそう思うのはわかる。けど、父親に対する尊敬の念ってのは大切だと思うがな。」

「はぁ?どの口で言ってるのよ。」


 ちょいちょいちょいちょい。ちょい待て。


「火乃花…この人、お前のお父さん?」

「そうよ。」

「龍人君…霧崎火日人さんを知らないですの?あの有名人ですのに。」

「いや、全然。もしかして、皆知ってたの?」


 クレアが頷く。


「うん。霧崎って苗字を聞いた時からそうかなって思ってたよ。」

「えぇ…。」

 

 なにそれ。すっげぇ恥ずかしいんですけど。

 つまり、火乃花のお父さんは有名人で、魔法街に住む人達で知らない人はほとんど居ないって事か?

 警察庁執行部長官って肩書きから察するに、警察でもかなり上位の役職だろうし。


「その話は後にしましょ。先ずは本題よ。」

「何でも聞いてくれて構わん!答えられる質問には全て答えてやる。」


 気前が良いな。警察だったら話せない内容も多い筈なのに。娘だからなのか、元々こういう性格なのかは分からないけど、部下に慕われてそうだ。


「聞きたい事は1つよ。アウェイクに関して警察の動きが悪すぎる理由を教えて欲しいの。」

「動きが悪い?それは気のせいだな!俺達は常に全力で事態解決に向けて動いている!」


 自信満々。けど、火乃花はその答えを聞いても冷静だった。


「そんなの嘘ね。アウェイクの話は魔法街としても危機意識が高い案件の筈よ。それなのに、警察が大きく動かずに魔法学院へ解決を任せている…違和感しかないでしょ。」

「ははっ…!良い所に気が付くな。そこ迄分かっているなら…教えてやるか。」


 まぁ、そう簡単には教えてはくれな………って、教えてくれるのかい!


「まぁ大きい声では言えないんだが、どうやら官僚側から今回の事件は出来る限り大ごとにするなって通達があったみたいなんだ。はっ…全く、そんな権力者の顔色を窺うって事自体がナンセンスなんだよ。」


 マジか。てか、何で官僚が圧力を掛けてくるんだ?

 考えられるのは…アウェイクの蔓延に官僚が関わってるって事。そうなると、この事件って相当大きな問題に発展するぞ。


「お父様。それは言い訳になってないわ。」


 けど、官僚という言葉に怯む事なく、火乃花は毅然とした態度を貫いていた。


「官僚が圧力を掛けて来たのは分かるわ。でもお父様が率いる執行部はそういうのからは独立している筈よね?」

「そうだよ。俺達執行部は、政治とかのしがらみに囚われない独立部隊だ。」

「だったら…何で動かないのよ!」


 バンっと火乃花の両手が机を叩く。


「さっきもそうよ。魔法を使う動物が中央区に突然出現したのに、警察が到着したのは鎮圧してから。執行部に至っては姿すら見なかったわ。治安を守る為に実力者が集められた執行部が、何を待っているのかしら?……また見捨てるの?」


 また…?前にも似たような事があったのか?

 火乃花のお父さんは困った顔で頭を掻く。


「見捨てるも何も、俺達は今を見ていないんだよ。見据えるのは未来だ。」

「…未来の為に、今困ってる人を見捨てるの?そんなの怠慢じゃない。」

「ははっ。言ってくれるぜ。お前は何も分かってないよ火乃花。目に見えるものが全てじゃ無いんだ。何のためにお前達がいる?」

「…何を言いたいのよ。馬鹿にしてるの?」

「さぁな。お前達に話せる事は無い。」

「ふざけないで…!」

「ふざけてなんか…いや、そうだな…。」


 火乃花のお父さんが鋭い視線で俺を射抜いた。

 何かしたっけ。特にこれといった記憶が無いんですが。


「そこのお前。高嶺龍人だっけか?話は聞いてるぜ。珍しい力を持ってんだろ?」

「まぁ…珍しいかもしれないですけど。それが何か?」

「お父様。話を逸らさないで…」

「まぁまぁ待て待て。龍人が俺を満足させる実力を持ってんなら…少しだけ情報を話してやっても良いぞ。」

「え、俺の実力次第?」

「そうだ。男たる者、女を守る力が必要だろ?」


 何を考えてんだ?俺の実力を確認する事にどんなメリットがあるってんだよ。

 けど…これはチャンスかも知れない。

 何の?って思っただろうけど、そりゃあ俺の実力を確かめるチャンスだ。事件の情報も大切だけど、今の俺が警察庁執行部長官っていう実力者とどこまで渡り合えるのか…やる価値はある。


「分かった。やるよ。」

「ちょっと龍人君!?」


 火乃花が驚いた顔で俺を見る。そりゃそうだよな。普通なら断るよ。でも、俺の目的は…天地を止める事にある。だから、今の実力がどの辺りにいるのかを知る事は大切だと思う。


「悪い。やらせてくれ。俺の実力がどこまで通用するか試してみたいんだ。それに、お前のお父さんが俺の実力に納得してくれたら情報を聞き出せるんだ。上手くいけば一石二鳥だろ?」


 良い話…だと思うんだけど、火乃花の顔は優れない。


「でも…お父様は…強すぎるわ。」


 強すぎるときたか。1年生の中でも指折りの実力者である火乃花が言うって事は…相当強いんだろうな。下手したら秒殺されるかも。

 でも、戦わない理由にはならない。むしろ…。


「それ聞いたら、やらない訳にはいかないよ。」

「…龍人君ってそういう性格だったわね。忘れてたわ。はぁ…良いわ。好きにして。」


 よし!

 と、思ったら火乃花が顔をズイッと近付けてくる。ち、近い!近いですよ!?あと10cmでお口とお口がこんにちはなんですが!?

 しかも小さい声で囁いてくる。


「但し、無理だと思ったらすぐに降参する事が条件よ。お父様は…調子に乗ると誰にも止められないから。」

「……?わ、分かった。」


 これで「私、あなたの事が好きなの。」なーんて照れた顔で言われたら、俺、惚れちゃうよ?

 …冗談はさて置き、火乃花が囁いた内容はやや物騒というか、不安を覚えるものだった。

 しかも火乃花の表情に一瞬嫌なものを思い出したかのような、ひくついた笑顔が…。

 うん。気を引き締めよう。

 俺は火乃花から顔を離すと、火乃花のお父さんの方に向き直る。


「戦います!」

「はっはっはっ!良い威勢だなぁ!そしたら、訓練場に行こうか!ちょっとのそっとじゃ壊れない頑丈な施設だから、全力で戦えるぜっ!」

「火乃花のお父さん、よろしくお願いします。」

「おいおい。そんなら畏まるなって。火日人さんって呼んでくれ。なんなら呼び捨てでも良いぜ?」


 流石に呼び捨ては良く無いだろ。


「では、火日人さん。よろしくお願いします。」

「うーし!行くか!」


 こうして、俺は火日人さんと戦う事になったのだった。自分で望んだ戦いだから…全力でやるぞ!

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