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固有職業『龍人』を得た俺の異世界生活  作者: Scherz
4章:街立魔法学院
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4-19.任務

 グルメツアーの翌日。

 学食で焼き魚、味噌汁、白飯、漬物という和風どストレートな朝食を食べた俺は、少し早めに教室へ行っていた。

 昨日は早い時間に寝たからか、早く起きちゃったんだよね。

 でもって、俺が解決しなきゃいけない課題の1つ「高威力魔法」をどう解決するか…と、展開した魔法陣の構成の組み替えを色々と試している。

 授業が始まる1時間前だけど、教室には他の生徒も何人かいる。いつも授業開始ギリギリで教室に来てたから知らなかったよ。皆さん勤勉?でございますな。


「…出来ないな。」


 高威力の魔法ってどうしたら発動出来るんだ…?

 単純に考えれば、属性魔法の3段階目が形状変化って話だから…魔法陣の形状構成部分を変えれば良いんだろうけど。ただ、それだと魔法陣が発動しないんだよな。

 もしかしたら、他の人たちの属性って概念と、俺の魔法陣展開魔法は違うのかも知れない。

 初心者向けじゃない魔法陣関連の書物を読んでみるか…。初心者向けでも内容を理解するのに苦労したのに、中位魔法陣とか上位魔法陣関連の書物とか絶対難しいだろ。あれ、眠くなるんだよね…。

 ともかく、俺が今使っている下位魔法陣と、それ以上の魔法陣の違いを理解しないと駄目だな。

 まさか異世界でもこんなに勉強をしなきゃいけないとは…。


「よっ!龍人。昨日の事件、聞いた?」


 頭を悩ませる俺に話しかけてきたのは…ルフトか。相変わらず学ラン風の服装にヘッドホンってゆー格好が地球にいるみたいな錯覚を覚えるんだよなー。


「中央区でヤンキーの魔力が暴走した事件の事か?」

「そうそうっ!巨大な人型になった魔力が街を壊そうとして、それをダーク魔法学院の人達が防いだんだってさ!」

「あれは中々に凄かったよ。サラサラヘアー君は相当強いよ。なんたって余裕な表情で暴走した魔力を制圧したからなー。」

「あれっ?なんか詳しくない?」

「そりゃーそうだ。現地にいたんだもんさ。」

「なにぃっ!?」


 バンっ!と俺の机に両手を付いたルフトが身を乗り出してくる。


「マジで!?魔力の人型ってどんなんだった!?ダーク魔法学院で戦った奴は!?使った魔法ってやっぱし特殊な属性!?因みに系統は!?属性段階ってどのくらい!?特殊属性って3段階目からしかないものもあるから、羨ましいよねぇっ!てゆーか魔力が暴走って基本的にないよね!?原因って心当たりある!?」

「ちょっと待って…!何でそんな前のめりなんだよ!?」

「えっ?だってさ、強い奴が居るわけでしょっ?ウキウキワクワクするじゃんっ!」

「はは…。じゃあ俺が知ってる事教えようか?」

「うんっ!いやぁこれで良い奴と戦える可能性が上がるねっ。」


 という訳で、俺は昨日見た出来事をルフトに話して聞かせる。

 全て話した後、ルフトは探偵のように考え込んでいた。


「そっかぁ。龍人から聞いた話から察するに、魔力の暴走は魔力補充石が関係してる可能性が高いねっ。でも確証は無いし…それよりもダーク魔法学院のサラサラヘアー君だね。単独でそこ迄の魔法が使えるなんて…戦ってみたいよ。注目すべきなのはスキルを使ってないって事だよねっ。うわー…戦うの想像するとウキウキしちゃうよっ!」

「はは…。」


 つまり、アレだ。ルフトはバトルジャンキーなんだな。相手が強ければ強いほど生き甲斐を感じる系の。

 実力は頼もしいけど、様々な厄介ごとを無意識に引き寄せるアレだ。


「ねぇ、龍人。今度の休みの日に…」

「ダーク魔法学院には行かないぞ?」

「ええっ!?見学出来ないか聞くだけだから問題ないって!」

「断固拒否で。」


 絶対やだからね!トラブルの予感しかしないし!


「そこを何とか!」

「拒否!」


 俺とルフトが問答を繰り広げていると、その内容に興味を持ったのか少しずつ周りに人が集まり始めていた。…マズい。このまま皆で魔力暴走の原因追求をしよう!的な流れになったら逃れられない。ここは一発全く違う話題を差し込んで…。


「おーらお前ら座れ。」


 あ、ラルフ先生が教室のドアを開けて中に入ってきた。

 ナイスタイミングだぜ!


「え、マジかよ。」

「なんかあったのかな?」


 普通に教室に入ってきた「だけ」なのに、教室内はどよめきに包まれた。


「あぁん?何を騒ついてんだよ。さっさと座れ。時間が勿体無い。」


 …マジか。

 教室内のどよめきが更に大きくなる。

 いや、普通なんだよ?教師として普通の行動。普通にドアを開けて、普通に座るように言う。えぇ、ど定番。

 でも、ラルフ先生が普通の教師をしている事自体が「普通じゃない」んだ。

 ラルフ先生と言えば「セクハラ」「授業中に面倒くさいという」「適当」という3拍子が揃った、ダメ教師の模範とも言える存在だ。そのクセ強いから手に負えない。

 …嫌な予感がするなー。火乃花なんか険しい顔で固まってるし。そりゃーそうだよね。これまでのセクハラ被害ナンバーワンだし。


「ったく。久々に真面目な俺を見て惚れたか?やめとけやめとけ。火傷すんぜ。」


 ヒュルルルルルー

 ブルルッ!おぉっ!?寒いっ!!

 一瞬北極に転移したのかと思ったぜ。

 けど、ラルフ先生は俺達のそんな様子を全く意に介する事なく、全員が座るのを待ち、重々しい様子で口を開いた。


「あーっとだなザックリ言うと、お前らに任務をやってもらう。」


 任務…?


「まだ授業では話して無かったが、魔法街にある3つの魔法学院には役割があんだよ。で、俺達街立魔法学院の役割は治安維持だ。つまり、今回は治安維持に関わる俺達の責務を果たさなきゃならねぇ。従って、拒否権は無い。」


 ほうほう。つまり、何か物騒な事が起きてるから、それを解決しろって事か。

 …ん?もしかして…。


「もう巷では噂になってるだろうから、知ってる奴も多いと思うが、昨日…中央区で魔力の集団暴走事件が起きた。場に居合わせたダーク魔法学院の奴が鎮圧したが、同じ事が起きる可能性は高い。」


 同じ事が起きる可能性が高い。…か。つまり、魔力暴走の原因が大方分かってるのか。


「魔力暴走の原因は、現在の調査ではアウェイクだろうと言われてる。知ってる奴いるか?」


 ラルフが教室内を見回すが、手を上げる人はいなかった。

 魔力暴走の原因は魔力補充石だと思ってたけど、違うのか。


「はんっ。いい子ちゃんが揃ってるな。良いか。アウェイクってのは、依存力の高い魔力補充石の事だ。魔力補充石は知ってんだろ?普通の魔力補充石は最大魔力量の20%を回復する。それに対してアウェイクは30%の回復。この効果は劇的だろ?だからよ、使う奴が増えてたんだよ。で、魔力暴走事件が過去に何度か起きてる。」


 マジか。転売屋のクエストと話繋がってんじゃん。


「以前から問題視はされていたんだけどな。少し前に警察が本格的に捜査を始めようとしたら、流通がパタっと途切れやがった。それで終いかと思われてた矢先に昨日の事件だ。つまり、どう言う事か分かるか?」


 手が上がる。


「お、ルーチェか。流石の考察力か?言ってみろ。」

「はいですの。恐らく…通常の魔力補充石に混入させて、市場に流通させているのでは無いでしょうか。」

「良いねぇ。今度ご褒美やるよ。」

「いりませんわ。」


 どうせご褒美ってセクハラのことだろうからな。ルーチェの間髪入れない断りは正解だろ。


「ちっ。つれねぇな。……で、通常品に混入させるメリットは何だと思う?はい。分かる奴。ルーチェ以外な。」


 答えようとしたルーチェが口を尖らせて拗ねてるけど…。答えさせてあげりゃ良いのに。

 次に手を挙げたのは火乃花だった。


「おう巨乳。」

「はあっ!?このセクハラ教師!」

「ハハッ!悪い悪い。で、言ってみろ。」

「…ちっ。……無自覚なアウェイクの摂取による中毒者の広がり、魔力暴走事件の頻発化…そこから発展する各区間の関係悪化。ってトコかしら。」

「やるねぇ。お前ら、今の話の重要性…理解できるか?」


 そりゃぁ…分かるけど、そんな簡単に各区の関係悪化に繋がるかね?

 ラルフは俺達の表情から納得し切れていない人かいる事を悟ったらしく、肩を竦める。


「まぁそうだよな。そうだな…簡単に言うと、魔法街戦争は似た様な事案から発展してんだよな。具体的には爆弾テロから至上派と平等派の対立が激化した訳だが。」


 え、戦争?この星、戦争があったのか。

 至上派と平等派…。初めて聞くな。魔法街って魔法を中心に栄えてる星っていう単純な感じに考えてたけど、色々と複雑な事情があるみたいだ。


「そんでだ、お前らも知ってる通り、魔法街は中央区の島を中心に東西南北に各区が隣接している訳だが…、至上派の北区と平等派の南区が正面から激突した訳だ。中央区を戦場としてな。中立を貫いていたシャイン魔法学院がある東区と、魔法学院が無い西区…この2区以外は大きな被害が出た。特に…中央区が惨劇だったな。巻き添えを喰らって数多くの住民が命を落としたよ。」

「………。」


 この話に思う所があるんだろう。同級生達は、口を開かずにラルフ先生を見つめる人や、視線を机に落として手を握りしめる人もいた。


「要はこのまま放っておけば、下手すると同じ事態に発展しかねないって事だ。第二次魔法街戦争とか…マジで洒落にならねぇからな。」


 つまり、この魔力補充石を起因とする魔力暴走事件の真相を暴け…的な感じか?


「要するにだ、お前達には魔力補充石の出所調査と、可能なら流通ルートの解明にあたってもらう。普通なら警察が大規模捜査をすると思うんだが、何故か今回は大手を振るって動けないらしい。ったく、それで街立魔法学院に依頼をしてくるとか…職務怠慢だぜ。まぁ、そうは言っても義務だからな。今後の行動に関しては午前中は授業、午後に任務で動いてもらう。」

「「「はい!」」」


 おぉ。皆やる気満々だな。ある意味「魔法街の行く末が掛かっている」って内容の任務だし当然か…?俺としては、何か嫌な予感しかしないんだけどね。

 よし、遼と色々調べるかな。

 パンパン!とラルフが手を叩く。


「じゃぁチーム分けを発表するぞ。今回の任務を遂行するにあたって最善のチーム分けを考えてある。これに関しても拒否は無しだ。」


 …はぃ?え、マジで?変な人とチームを組まされたら最悪じゃん。

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