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固有職業『龍人』を得た俺の異世界生活  作者: Scherz
4章:街立魔法学院
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4-13.情報収集

 魔法街中央区商業地区の通りを歩きながら、俺と遼、クレアの3人はアイスクリームを食べていた。

 クエスト中にアイスクリーム を食べて良いのかって?…まぁイイんじゃないかな。

 今回のクエストに期限は無いから、死に物狂いで転売屋を探さなきゃいけない訳でもないしね。

 別にサボってる訳じゃあないよ?これでも半日位は商業地区の裏路地にある個人商店を中心に聞き込みをしてたんだからな。

 問題は有力情報を全く手に入れられなかったって事だ。

 手に入れられた情報と言えば…。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 3時間程前。

 俺達は中央区商業地区西側の路地裏にある小売店に入って行った。

 外観はちっとばかしボロっちい感じだけど、店内は小綺麗に纏まってるな。ある程度は稼いでそうな感じだ。

 カウンターの奥に座る髭面の店主に声を掛ける。


「こんにちわー。」

「おうよっ!客かぁ?今日はいつもより品揃えが良いからなぁ。」

「お、じゃあ…魔力補充石ってあります?」

「魔力補充石かぁ。勿論だぁ。在庫は100個はあるぞ。何個くらい欲しいんだぁ?」


 おっ。結構在庫あるな。1つ前の店は20個くらいしか在庫無かったから、こりゃぁワンチャンあるかも?

 俺の後ろからひょこっとクレアが顔を出す。


「あの…最近出た魔力回復効率の高い魔力補充石ってありますか?私達、それを探していて…。」

「あぁ、それなら…無いんだぁ。」


 無いのかい!


「最近探してる奴が多いんだよなぁ。…それにしても、んー。」


 店主は左手で顎髭を摩りながら首を傾げてしまう。え…俺達なんか変だったかな?


「どうしたんですか?」

「なんつーか、お前さん達はあの魔力補充石を使った事あるのかぁ?」


 …何か疑われてるっぽいな。ここは慎重に話した方が良さそうだ。


「いや、無いですよ。通常より安くて回復効率の良い物があるって聞いたので、出来れば手に入れておきたくて。」

「…なるほどなぁ。ギルドクエスト関連かい?」


 げっ。俺達が転売屋を探してるのに気付いたのか!?


「そうです。高ランクの魔獣討伐に魔力補充石は欠かせないですからね。」


 おい、遼。なにトンチンカンな返事してるんだよっ!?


「そりゃそうだぁ。魔力補充石は使用回数でペナルティがあるからなぁ。確かにあの魔力補充石はペナルティ無しで60%迄回復が出来る。けど…使った事が無いなら、止めとけぇ。」


 あ、そっちの意味で「ギルドクエスト関連」って言ってたのね。

 何故か遼が店主と意思疎通出来てたみたいで助かったわ。俺とクレアはバレたと思って冷や汗ダラダラだったからな…。

 にしても、使わない方が良いみたいなニュアンスだな。

 店主と意思疎通出来てるっぽい遼に頷いて会話を任せるか。

 遼は俺の頷きを見ると、店主の顔を真っ直ぐ見つめた。…見つめる必要あるか?


「もしかして、その魔力補充石って…連続使用のペナルティが他にもあるんですか?」

「いんや。それは普通のペナルティと同じだぁ。」


 …確か魔力補充石は1つで魔力最大値の20%を回復。

 30分以内に3個使用で魔力操作に難が出て、4個使用で全身に激痛、5個使用で1時間後に魔法が24時間使用不可になる。…だったかな?


「じゃあ何で止めた方が良いんですか?」

「いや、なんつーか…前に買ってった奴らが時々探しに来るんだけどよぉ、凄い必死なんだぁ。アレが無いと生きてけない…みたいによぉ。」

「それって、回復効率が良い代償に中毒性があるって事ですか?」

「それは…分からないんだぁ。でも、明らかに普通の様子じゃ無かったんだぁ。」


 難しい所だな。

 高ランク魔獣を狩る予定なら、通常よりも回復効率が良い魔力補充石は喉から手が出るほど欲しいはずだ。

 確か…転売屋が扱ってた魔力補充石は最大値の30%回復って噂だしな。つまり、ペナルディ無しで60%の魔力回復が出来るって事だ。

 でも…必死に集めるかって言われたら疑問はあるよな。何が何でもなきゃいけな訳でも無いし。これまでは20%回復の魔力補充石を使って魔獣狩りをしてた訳だし。 


「それだと…ちょっと使うの怖いですね。製作者の人に安全性を聞いた方が良いかも。製作者…知ってます?」

「いんや。知らないなぁ。」

「えっ?じゃあどうやって仕入れてたんですか?」

「転売屋の兄ちゃんだぁ。」


 おっ!?もしかしてビンゴか!?頑張れ遼!スッポンのように吸い付いて情報を吸い尽くすんだ!


「その転売屋の人に聞けば教えてくれるのかな…次、いつ来ますか?」

「んー。分からないなぁ。1ヶ月前から店に来なくなったんだぁ。」

「えっ。」

「それが不思議でよぉ。今後は普通の魔力補充石を他のルートを使って転売することにしたらしくてよおま。あの魔力補充石はもう取り扱わないって言ってたんだぁ。それ以来、どの店でもトンと見掛けなくなっちまったらしいんだぁ。」

「それって…製造中止の可能性もありますよね。」

「んだぁ。」

「うわぁ…残念です。一回くらいは使ってみたかったんですけどね。因みに、転売屋の方の特徴とか教えてもらえませんか?俺達、リーダーから何が何でも手に入れろって言われてて…転売屋の人に直接交渉出来ないかなって。」


 おぉ。ストレートに聞いたぞ。やるじゃんか遼。


「特徴かぁ?特別言うことのない、一般的な転売屋だぁ。特にこれってのは無いなぁ。」

「そうですか…。」

「悪いなぁ。」


 おいおい。一般的な転売屋ってなんだし!

 俺のイラつきを知ってから知らずしてから、遼は食い下がる。


「あ…転売屋の外見ってすごーく特徴的だったりしますか?もしかしたら中央区を歩いてて見かけないかなって。」

「いんやぁ。金髪にピアスってゆー普通の外見だぁ。まぁヤンキーが普通かって言うと微妙だけどなぁ。」

「そうですか…。こりゃあ諦めるしか無いですかね。」

「んだんだ。普通の魔力補充石を使うのが1番だぁ。」

「分かりました。ありがとうございます。」


 こうして、俺達は小売店を後にした。

 余談だが…情報料と言って何かを買わせようとしてきたのは流石だと思う。

 大した情報を貰った訳じゃないんだけど、商売人はやっぱりあれ位の商売っ気が無いとな。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 …ってな感じで、俺達が入手出来た情報は転売屋が金髪、ピアス、ヤンキー風という外見をしている。って事だけだ。

 転売屋の仕入先とかの情報が分かれば大分違ったんだけどなー。

 リフレッシュタイムは大事だよ。アイスクリーム…マジで美味しいもんな。激務が終わった後のビール並みに美味い。


「これからどうしよっか…。」


 ペロッとアイスクリームを舐めたクレアは困り顔で俺達の方を向いた。

 ペロッの後にちょっとチュルッて聞こえるのが…ズルい!それが無意識なのが更にズルい!


「龍人君?」


 はっ。しまった。あまりの光景に我を忘れていた。


「そ、そうだな。取り敢えず、残り2店位行ってみてダメだったら今日は解散しよう。クエストの期限も定められてないし。無理して疲れて、危険な目に遭遇したら判断が鈍りそうだろ?」

「そうだね。俺も賛成。」

「分かった。ホント私…疲れちゃった。」


 クレアは両手を頭の上で組んで伸びをする。

 グンっと伸びをしてプルンと…眼福。

 これ以上注視したらセクハラで訴えられちまう。と、視線をズラす。


「あら?なんか人だかりが出来てるな。」


 路地裏へ続く通り付近に人だかりが輪を作っていた。


「もしかしたら…有名人が何かやってるのかな!?」


 クレアが嬉しそうだ。目をキラキラさせて、全身からウズウズオーラを発してる。

 俺達は何となしに人だかりに近づく。

 すると、路地裏へ続く道の入り口付近に警察官が並んで侵入を規制していた。

 あ、因みに日本の警察官とほぼ同じ格好だ。


「これは…事件だな。」

「そうだね。ちょっと…怖いね。」

「アナタ達、この先でなにが起きてるか知ってるいるのかしら?」


 野次馬の1人…マダムが声を掛けてきた。


「いや、来たばっかりで。」

「あらそうなのぉ?実はね…。」


 あ、これ絶対長くなるやつだ。うわさ話大好きオバ様の雰囲気がプンプンしてる。


「この道…路地裏を先に進んだところに個人商店があるんだけどねぇ…あ、因みにワタクシはもっと高級なお店でお買い物をするから使った事がないんだけどぉ…、その店で人が殺されたらしいのよぉ。しかも、魔獣に食い散らかされたみたいになってたらしくて…怖いわよねぇ…!?西区に魔獣が出るのは当たり前ですけもど、中央区に魔獣が出たら溜まったものじゃないわぁ…!こうならないように警察にはワタクシの夫から警備を強化するように前々から言ってもらっていたのよ。いや、でも、そもそもどうしてあの店主さんがら殺されたのかしら…!?ワタクシが聞いた話では気さくで、悪気のない人らしいわ。それなのに惨殺されるとか…怖いわよねぇ…。………あっ、でもワタクシの従兄弟の彼女がね、最近商店で働き始めたみたいなのよ。それがかなりの激務って言っていて、お客さんが立て続けに来るとちょっとイラッとする時もあると聞いた事がありますわ!それでね…」


 …話が長い。

 てゆーかこの場所って…。

 遼とクレアと目線が合うと、オバ様の長話に相槌を打ちながら頷いてきた。


 やっぱりそうだよな。

 この路地裏の先には…転売屋の外見を教えてくれた小売店があるんだよ。

 つまり、殺されたのは…その店主。

 俺達が話を聞いた事が無関係だとは思えない。

 もしそうだと仮定すると、殺された要因は俺達に転売屋の外見について話したからか?

 けれども、俺はやるせない気持ちを抱く反面、チャンスとも思っていた。

 店主が殺されたって事は、俺たちが聞いた情報が転売や本人に繋がる可能性が高いって事だ。

 不謹慎かも知れない。でも、俺は最速で強くなる事を優先するって決めている。だからこそ、ギルドランクを早く上げて…難易度の高いクエストで経験を積む必要があるんだ。

 このチャンスを逃す訳にはいかない。


「…遼、クレア。ちょっと警察から情報を聞き出せないか試してみる。変に巻き込まれると面倒だと思うから、少し離れててくれ。」

「え…うん。」

「龍人、大丈夫?公務執行妨害で逮捕とかやめてよ。」

「任せとけって。」


 2人に向かって軽く手を振った俺は、人混みを掻き分けて警察官へ向かう。

 絶対に情報を引き出してやる!!


 ………。

 ……。

 …。


「龍人、ドンマイ。」

「龍人君。落ち込まないでね。」

「…あぁ。警察を甘くみてたわ。」


 結果。俺は何の情報も入手する事が出来なかった。

 殺された店主の友人を装って、感情に訴えかける作戦だったんだけど…。何も話してくれない警察官に食い下がりまくってたら、最終的に事件現場周辺に近づく事も禁止されてしまった。

 ドラマみたいに「しょうがないな。君にだけ少し教えてあげるよ」的な展開があるかなって思ってたんだけど…。

 このままじゃ何の情報も手に入れる事が出来ないままになっちゃうな…。どうにか情報を入手出来ないものか…。


「おい。お前達。」


 そう言って声をかけてきたのは、道に商品を並べて販売している露天商だった。

 黒髪で、耳にピアスが付いた…ツンデレ系男子だ。20歳くらいかな?

 この歳で露天商とか…苦労しそうだなぁ。


「お前達さ、あの店主が誰に殺されたのか…知りたいんだろ?金払えば…教えてやっても良いぜ」


 …いきなり確信に迫る人物の登場か!?

 どう考えても胡散臭いけどな!

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