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固有職業『龍人』を得た俺の異世界生活  作者: Scherz
4章:街立魔法学院
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4-7.エレメンタルウルフ討伐

 管理小屋の門から外に出た俺は周囲を見回す。

 たくさんの木々が生えた森が広がっている。

 これ…かなり視界が悪いよな。こうなると、探知魔法を常時展開して動かないと奇襲を受ける可能性高いか…。

 西区…通称禁区(何故この名前なのかは教えてくれなかった)は、特徴的な地形をしてるらしい。

 まず、西区の北東南端に各区からの転送魔法陣と管理小屋がある。そして、西区の地形は円心状に外側から


森(EDランク魔獣生息地)

荒野(Cランク魔獣生息地)

湖(Bランク魔獣生息地)

廃都市(Aランク魔獣生息地)

王城(Sランク魔獣生息地)…円心状の中心部分


 ってなってるんだと。

 東側に進むと東区のギルドメンバー(通称ギルメン)がいる可能性があるから、基本的に管理小屋周辺から西側で魔獣狩りをするらしい。より強い魔獣と戦いたい場合は、管理小屋から真っ直ぐ北上すれば、上のランク帯の魔獣の生息地に進める。

 ま、今回俺が狩るのはEランク魔獣のエレメンタルウルフだから…管理小屋周辺で良いだろ。変に冒険心を発揮して帰らぬ人になったら洒落にならないもんな。


「問題は…索敵だな。」


 俺が使う魔法陣展開魔法は便利なんだけど、結構思考回路を取られるんだよね。複数同時発動をしすぎるとキャパオーバーになって魔法陣の展開速度が遅くなったり、失敗したりするんだ。

 大体の限界値が魔法陣6個位かな。探知魔法×4(4方向)、攻撃魔法×1、身体能力強化(魔法陣は不必要だけどキャパは消費)って感じだ。

 パーティーを組んでれば索敵を任せられるから良いんだけど、ソロだとキツイ。

 探知魔法陣をどうにかしないと攻撃手段が限られちゃうんだよね。他の人は探知魔法を無詠唱魔法で使えて、しかも全方向に探知を飛ばせるんだよなー。なんで俺の魔法陣は単一方向の指向性なんだか…。

 愚痴はさて置き…、どうやってエレメンタルウルフを狩るのか。だよね。

 理想は先にエレメンタルウルフを見つけて、探知魔法を使わないで戦える状況を作り出す事か。

 …ちょっと不安だけど、やってみるか。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 …やばい。調子に乗りすぎた。

 木の上に登り、木の葉に身を隠す俺は額から汗が伝うのを感じながら深呼吸をする。

 エレメンタルウルフ狩りを開始した俺は、すこぶる順調に24体の討伐に成功した。

 戦術は単純、西区の境界から前方を探知魔法で索敵し、3〜4体のエレメンタルウルフを見つけて奇襲を仕掛ける方法だ。

 見つけては奇襲を掛けて、見つけては奇襲を掛けて…と、順調だったんだけどね。

 残り6体でクエスト達成だった俺は「4体で楽勝だから6体でも余裕っしょ!」と、タイミング良く見つけた6体のアイスウルフに奇襲を仕掛けた。

 んで、アイスウルフの使う氷魔法に対して有効な火魔法を使ったんだけど…まさかの反撃が「水」だったんだよね。

 属性相性が悪かったせいで火が相殺され、2体しか倒す事が出来ず…遠吠えで仲間を呼ばれた俺は一旦身を隠す事にした。

 このまま俺を探すのを諦めるのを待ってやり過ごす。その後に、慎ましくエレメンタルウルフ狩りを再開。そうすれば無難にクエストクリアできるでしょ。


 ………そーゆー予定だったんだけどね。


「全然諦めないじゃん。」


 そうなんだ。エレメンタルウルフは何故か俺が隠れる木の周辺をウロウロと歩き続けている。

 俺が近くにいるって勘付いてるよな…。

 木の上に隠れる時に、足下にそよ風を上に流れさせる魔法陣を展開しといて良かったわ…。魔力で探知されるかもって、周辺の色々なところに魔法陣を同時展開したのも功を奏したみたいだ。

 どうすっかな…。下にいるエレメンタルウルフは水を使うからウォーターウルフなんだろうけど…流石に30体以上が周りを彷徨いてたら降りれないよね。

 ただ、このまま隠れ続けるのも…きっと駄目だ。ウォーターウルフは魔法陣の魔力に反応してるっぽいし。

 魔獣に知能があるとするなら……。


「ガウッ!!」


 うわっ。やっぱりそうなるよね。

 ウォーターウルフの放った水砲が魔法陣を展開していた木の1つを粉砕する。

 1本ずつ着実に。

 マズイぞ。50個位はそよ風発生の魔法陣をばら撒いてるけど、1本5秒だとしても250秒で全ての魔法陣が炙り出される。つまり、最後の1本まで都合良くバレなかったとしても…4分ちょっとか。

 5割の確率で見つかると考えて…2分。その間に打開策を見つけないと。

 ……って、え!?


「ガウッガウッガウッウッ!!!」


 ウォーターウルフのやつら、水砲を連続で撃ち始めやがった。

 しかも、俺の隠れる木はそのすぐ後に標的にされてしまう。

 パァン!と、水砲が弾ける音と共に…俺は木の上から弾き飛ばされる。


「くそ…。……やべぇ。」


 俺が落ちたのは、ウォーターウルフの群れの中心あたり…かね。周りの木があって完全には把握出来ないけど、ヤバい状況なのは間違いない。こりゃあ腹を括るしかないか。

 魔法陣から龍刀を取り出して構えると、俺はすぐに駆け出した。狙うのはすぐ近くにいる個体だ。可能な限り迅速に数を減らさないと。

 ウォーターウルフの1体を斬りつけ、俺の周りを囲うように魔法陣を6個並列展開し、発動する。


 ピシャァン!!


 弾けるような音と共に電撃が周囲360度に向けて迸った。


「キュウゥン!?」


 よしよし。可愛い声で泣くじゃないの!今ので見える範囲で5体位のウォーターウルフが麻痺効果を受けたっぽいぞ。つっても、毒による麻痺じゃないから一時的なもんだろうから、さっさと倒さないと…だけどね!

 無詠唱魔法による身体能力強化を施し、電撃が命中したウォーターウルフへ致命傷を与えていく。

 斬撃には風刃を付与して威力を高めている。


「よしっ。これで6体!」


 思ったよりも順調だ。まだまだ20体以上残ってるけど、このままの勢いで攻めればなんとか出来そうかな?

 俺は連続で魔法陣を展開しつつ斬り込んでいく。

 ウォーターウルフの脚を、首を斬り落とす。


「あと10体!………なんだよコレ?」


 2体のウォーターウルフを同時に倒し、後方を振り返ると…そこには10数体の赤いエレメンタルウルフ…ファイアウルフが並んでいた。


「グルァァッ!!」


 咆哮と同時に火炎球がファイアウルフの口から連続で放たれた。10数個の火炎球が列を成して次々と飛来する。


「くそっ!」


 魔法壁を展開して攻撃を防ぎつつ、反撃に…。

 パシャァン!!


「ぐっ…!?」


 背中に強い衝撃を受け、吹き飛ばされる。鈍器で殴られたような痛みだ。

 地面を転がりながらも何とか体勢を整えて打撃を喰らった方面を確認する。

 はは…。ウォーターウルフが15体、散らばりつつも集まってやがる。さっきのは水砲が直撃したのか。

 2方向から合計25体のエレメンタルウルフとか…。詰んでんじゃん。…まさかこんな所で俺自身の弱みが足枷になるなんてな。


「…逃げるのが最優先だな。」


 この手はあまり使いたくなかったんだけど…。しゃーない。

 最大同時展開数6個の限度ギリギリで火球と火矢の魔法陣を連続で発動させていく。狙うのはウォーターウルフとファイアウルフが近づいて来る手前の地面。

 火魔法の乱射で地面が弾け飛び、木々が燃え…視界が一気に悪化する。

 このタイミングで俺は一目散に逃げ出した。

 辺り一面が燃えてる影響で上昇気流が発生して、匂いで俺を探す事も出来ないはず!!


 10分後。


 エレメンタルウルフの気配が遠ざかったのを確認した俺は、大きめの木の上で身を潜めていた。

 火魔法をばら撒いたお陰で何とか逃げ切れたか…。けど、エレメンタルウルフがそう簡単に諦めるとは思えない。油断は禁物だ。

 にしても、ここで更に課題が見つかったな。俺、回復系の魔法が使えないや。関連で考えると支援系の魔法も使えない。自分の身体能力とかは無詠唱魔法で何とかなるけど、攻撃に属性付与とか、仲間の能力アップは出来ない。もっと早い段階で気付けってんだよな俺。情け無いぜ。

 使う魔法が攻撃一辺倒ってのは…良いんだけど、中途半端なんだよな。使える属性魔法の種類は多いけど、全部が1段階目。つまりだ、一撃必殺みたいな高火力魔法が使えないんだよね。

 なんつーか、思ったよりも俺…弱いな。

 火乃花がつかう真焔【戦神ノ業焔】みたいな高火力魔法があれば、一発形成逆転も狙えるんだけど…。

 こりゃぁ本当に戦い方を考えないと、ただの器用貧乏君になっちまう。

 にしても…全身が痛い。背中に受けた水砲のダメージが思ったより大きいみたいだ。このまま満足に体を動かせない状況で管理小屋まで戻れるか…?途中で魔獣に襲われたら満足に戦えるか分からないな。

 それに、今どこにいるのかが分からないのもヤバい。

 初めての禁区。負傷中。迷子。…参ったな。


「う…。」


 周りの様子を伺おうとして動いたら、背中を中心に激痛が走り、視界が明滅した俺は…木から落ちた。

 あーコレ、下に魔獣が居たら終わりだな。落ちながら諦めの境地。悟りを開けそう。


「キャァッ!?」


 お?誰かにぶつかった…?それにしても顔に柔らかい感触が。それにいい香りもするな。

 ……って、これってもしかして。


「キャ……キャァァァアアアア!!この…変態!!」


 ガスっ!!という鈍い音が腹の内側から響いたのを確認しながら、俺は…意識を手放した。

 なんでこんなに運が悪いんだよ俺…。


 そんな風に考える余裕があったのは、人に会えたってゆー安心感があったのかも。


 容赦無い致命打を腹にブチ込まれましたけどね。

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