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固有職業『龍人』を得た俺の異世界生活  作者: Scherz
4章:街立魔法学院
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4-5.職業鑑定

2021年より更新日を水曜日9時、土曜日9時に変更します。

週2更新です。ストックが無くならないように頑張る所存です!!

 修練場に集まった俺達を見回したラルフ先生は面倒臭そうに頭をガリガリと掻いた。


「おーし、じゃあ職業鑑定やるか。ったく、俺…こーゆーのつまらないから好きじゃないんだわ。」


 そう言うと、職業鑑定球をいきなり手元に出現させ、バスケットボールみたいに人差し指の上でクルクル回し始めた。

 高価な魔導具だと思うんだけど、あんな雑な扱い方でいいのかな?と、思ってたら…。


「おっつ…!」


 職業鑑定珠がラルフ先生の指から落ちる。

 え…もし割れたら職業鑑定が中止になるんじゃ…?

 けど、職業鑑定珠は床に落ちる前にフッと消え、またラルフ先生の指の上で回っていた。

 今の魔法だよな?そうすると、ラルフ先生の魔法って空間系の魔法なのかね。瞬間移動とか出来そうだし。


「いやぁ〜今のは焦ったわ。流石に職業鑑定珠は壊せねぇ。うしっ。やるか。1人ずつ珠に触れて魔力を流し込め。そしたら球の中に職業が文字で表れっからよ。」


 ラルフ先生の号令で順番に職業鑑定が始められる。


「うわぁ、ちょっと緊張しちゃうな。」

「いやいや。遼はどう考えても銃関連の職業だろ。」

「もしかしたら剣士とか出るかも知れないじゃん。そうなったら俺、流石にこれから剣の道に進むのは堪えるよ。」

「そりゃあそうだわな。」


 そう。初めて職業鑑定をする人からすれば、これからの人生を大きく左右する瞬間なんだ。緊張して当たり前か。

 ポンっと俺の肩に手が乗せられる。


「龍人は緊張してないんだね!」


 この声は…爽やかボーイのルフトか。

 相変わらずボタンが無くなった学ラン風の服に、ヘッドホンという、いかにも現代地球の高校生みたいな格好してんだな。てかヘッドホンだろ。どこで手に入れたのかと〜っても気になるのですが。


「いやいや、緊張してないっていうか、なるようになるだろ精神。的な?」

「へぇ〜。タフだねっ。」

「そーゆールフトもいつも通りだな。」

「んっ?あぁ、俺っちは魔砲師だから。」

「え、職業鑑定やったことあるのか。職業鑑定珠って結構レアな魔導具だろ?」

「そだよー。多分、各区に1つずつしか無いと思うよっ。」

「魔法学院に入ってなくても、使わせてもらえるもんなのか?」

「あれ?もしかして龍人って魔法街出身じゃない?」


 あ、そこからになるのか。


「そうそう。俺は…俺と遼は森林街出身だよ。」

「おぉ。あの緑が一杯の星かっ。自由気ままに走り回れそうで羨ましいよっ!」


 楽しそうなルフトを見ながら俺と遼は苦笑する。

 この反応って事は…森林街がセフに襲撃されたって話は魔法街までは届いてないって事なのかな。


「まぁ、広いからね。かなり走り回ったかな。てかさ、ルフトはどうやって職業鑑定珠を使わせてもらったんだ?」

「それは…ちょっとしたツテでね。」


 ん?一瞬視線が泳いだな。両手を頭の後ろで組んで口笛まで吹き始めたし。

 もしかして……。


「ルフト…もしかして、勝手に…」

「次はルフトだ。来い!」

「あ、はいー。」


 見計らったかのようなベストタイミングで呼ばれたルフトは、これ幸いとばかりにラルフ先生の所へ小走りで移動していきやがった。

 てか、本当に魔砲師なのかね?ちょっと見てみるか。

 1年生の中でも実力者のルフトは注目されているらしく、職業鑑定珠の結果を覗きに皆が集まってきていた。

 俺達が見守る先でルフトは職業鑑定珠に手を触れる。

 そして「魔砲師」の文字が珠の中に浮かび上がった。


「ま、そうだよな。」

「うっす。ありがとうございますー。」


 周りの人は「魔砲師」の文字を見てプチどよめきだけど、ラルフ先生とルフトはさも当然みたいな反応だな。


「魔砲師っていったら上級職になるのに、反応が薄いわね。本人達は知ってたのかしら。」


 横を見ると、左手の上に右肘を乗せて右手で顎を支える探偵みたいなポーズをした火乃花が立っていた。左腕で胸が持ち上げられて……目の毒です!いや、目の保養です!


「上級職って凄いのか?」


 Colony Worldではどんな職業でも、トップレベルまで強くなれたからな。まぁ、職業の決まり方が中々にユニークだったから、そうじゃないとクレームだらけになるんだろうけど。


「難しい所ね。一般的には魔法職と物理職の人が、一定の方向で習熟した時に上級職に変化するのよ。だから、普通は上級職の方が強いわ。そう考えれば、1年生入学の段階で上級職なのは凄いかもしれないわね。でも…上のランクの職業に魔法職と物理職は勝てないって訳でもないのよ。」

「使用属性と武器の相性次第って事か?」

「簡単に言うとそうね。」


 成る程ね。職業が絶対では無い。程度に考えとけば大丈夫かな?

 職業が分かる事で戦闘スタイルがある程度は予想出来るって側面もあるだろうね。

 でも、1人が使える最大3属性が職業名に正確に反映される訳でも無いだろうし…やっぱ目安に止まるのか。


「火乃花は自分の職業知ってんのか?」

「私は…知ってるわ。お父様が行政区で働いてる関係でね。」

「へぇースゲェな。因みに職業はなんなん?」


 あれ?何故か火乃花が僅かに目を見開いで驚いてるような…?


「さっきの…本当だったのね。」


 …ん?何か言ったな。小声すぎて聞き取れなかったんですが。


「どした?」

「ううん。何でもない。私の職業は焔魔術師よ。」

「ほむら…炎じゃなくて?」

「えぇ、属性変化の3段階目ね。火、炎、焔って変化。」

「マジか。それってかなり凄いんだろ?」

「あ、そっか。龍人君その辺りの知識も少ないんだ。」

「おうよ。知識の乏しさには自信ある。」

「ふふっ。龍人君って本当に面白いわね。」

「そうか?」

「自覚が無いのもまた良し…ってどこかしら。」


 何故か火乃花が凄い楽しそうだな。知識が無いのを隠してもしょうがないから、堂々としてるんだけど…馬鹿丸出しって事か?


「えっと…属性の3段階目が凄いのかって話よね。」

「うん。」

「そうね…多分その内授業でやるとは思うけど、魔法は1段階目は形状が点と線、2段階目が面、3段階目が自由な形状変化、4段階目は特殊な性質。って言われてるわ。」

「へぇぇ。そうなると、2段階目まで変化しないと形状が面の魔法は使えないのか?」

「基本的にはそうね。」

「っていうか、面?めーん?」


 俺のつまらなすぎるギャグが伝わりもしなかった件は置いといて…。

 そもそも面ってどういう事だ?

 点は風矢、線は風刃って感じだと思うけど…風壁的な?


「あ…ごめん。分かりにくかったよね。面は範囲攻撃のイメージよ。」

「風の壁?」

「んー、それも面に分類されるわね。風だと…竜巻も面に分類されるわ。あとは…広範囲に鎌鼬を発生させるとか。」

「そーゆー事か。それって風刃を広範囲に放つのと同じ?」

「別ね。それだと形状が線の魔法を乱発してる事になるの。広範囲に同時多発的に発生させるイメージよ。」

「あ、理解出来たかも。」


 火乃花が教えてくれた定義だと…確かに俺は面の魔法は使ってないな。ほぼ線の魔法な気がする。


「そーなると、火乃花は面の魔法も使えるし、形状変化も出来るんだろ?凄いな。」

「そう言ってくれるのは嬉しいんだけど…大した事無いわ。……………使える属性が強くても守れなきゃ意味ないし。」

「…ん?何か言ったか?」

「…ううん。何でもないわ。あ、一応言っておくけど、相手が使う魔法に面の魔法があるから2段階目だって判断するのは危ないから、気を付けてね。」

「なんで?相手の属性を推測できた方が良くない?」

「そうなんだけど…3段階目以降の力を奥の手として隠してる場合もあるし、1段階しかない特殊な属性もあるのよ。」

「なーるへそ。あくまでも目安って事か。職業と似た感じだな。」


 火乃花は深く頷く。


「えぇ。属性も職業と一緒。使い方次第で強さは大きく変わるわね。例えば幅広く3段階目までを操る人と、1段階目だけを極めた人だと…後者の方が強い事もあるわ。要はどう戦うのかって事よ。」

「分かった。色々とありがとな。」

「別に良いのよ。」


 なんか火乃花が優しいなー。女の子に優しくされるのってドキドキしちゃう。


「龍人!俺…魔銃師だった。魔法職だって。」

「いつの間に職業鑑定してたんだし。」

「あ、次私みたい。」


 火乃花がラルフ先生の方に歩くのと入れ替わりで遼が隣に座る。


「双銃士だと思ってたんだけど…違ったよ。」


 若干落ち込んでるように見えるのは気のせいか?

 にしても不思議だな。魔弾を使うから魔銃師なのは納得出来るけど、双銃の名前が付かないのか。

 一応慰めとくか。


「ま、アレだ。今の戦い方だと双銃の名を冠するには不十分って事だろ。属性魔法も使えないんだしさ。」

「う…それ言う?1年生の中で属性魔法使えないの、多分俺1人なんだよ。結構気にしてるのに。」


 あら?慰めようと思ったのに無神経な事言っちゃったかな?


「でも…そっか。双銃である事の意味…って事だよね。俺の戦い方は…。」


 遼の奴、考察タイムに突入したな。…結果オーライって事にしよう。前向きは良い事だ。


「次は…龍人だ!お前で最後だ。早くこーい。」

「あ、はい。」


 ラルフに名前を呼ばれて移動する。

 …なんか皆の視線が俺に集中してないか?って、そうか。1人3属性っていう属性数の枠を外れてるし、魔法陣展開魔法も使えるし、普通に考えたら俺の職業って気になるよな。

 ま、敢えて注目されるように最後にしてもらった効果はあるって事だ。

 俺は職業鑑定珠に手を触れ、魔力を籠める。

 そして、現れた文字は「龍人」という文字。

 近くで見守っていた皆がざわめき出した。


「おい。あいつ、自分の名前が職業だぞ。」

「えぇ……職業鑑定珠がバグったんじゃないか?」

「あんた達ねぇ…馬鹿?あれはりゅうとじゃなくて、りゅうじんって読むのよ。きっと。」

「何それ…。職業ってその人の特性が表れるのよね?」

「だとしたら…龍の力があるって事?」

「いやいや御伽噺じゃあるまいし…。」

「あいつ…自分の職業の事知ってたのかな?」


 皆の視線が俺に集中する。

 職業鑑定珠に「龍人」と表示されたのはミス。…ではない。昨晩に学院長達と相談した結果だ。

 何故隠さなかったのか…。って思うよな。

 答えは単純。異世界転生をしたであろうこの世界に、向き合って生きていきたいって思ったんだ。

 俺が転生したって話は誰にもしていない。けど、Colony Worldが崩壊した先で聖龍に会って…俺だけが地球の記憶を持っているのには意味があると思うんだ。

 そして、森林街を襲った天地という組織。奴らの目的を知る為にも力は必要だ。目的を知って、弱かったら対抗するこ事も出来やしない。強くならなきゃ見ているだけの傍観者だ。それじゃあ…何も変えられない。

 森林街みたいな惨劇は2度と許したくない。

 この2つの目的の為に、俺は強くなる必要がある。

 だからこそ、職業を隠さない方がメリットは大きいと判断したって訳。

 勿論…デメリットも沢山あるんだけどね。

 教師陣には天地に対抗する力を手に入れる為に職業を隠したくないって伝えてある。

 俺の言葉を聞いたヘヴィー学院長は「むぅ…。」と瞑目した後、「数多の困難に負けぬ心を持つ事」を条件に承諾してくれた。

 ってのが経緯で、俺は職業を隠さずに魔法街で生活していく事を選択した。


 さて、周りの反応が「すげぇ。」的なものだと思ってたから、「なんすかこの職業?」的な感じでラルフに喧嘩を売ろうと思ってたんだけど…。

 「凄い」よりも「知ってたのか?」的なニュアンスが強い気がする。この雰囲気の中でラルフに喧嘩売るのはあざといか…。

 んー。……よし。決めた。


「ラルフ先生。」

「なんだ?」

「俺、自分の職業は魔法陣術師みたいな感じだと思ってたんてすけど…職業『龍人』って何ですかね?」

「い、いやぁ…俺も分からねぇわ。」


 あ、ラルフ先生が「予定外の行動取りやがって!」的な目で一瞬睨んできたぞ。喧嘩をふっかけるのは事前に決めてたからね。ラルフ先生、上手くアドリブ入れてくれよ!


「そうですか。凄そうな職業だけど、実は超レアな外れ職業とか無いですよね?」

「あー…まぁ龍って付いてるし、ハズレって事はないんじゃないか?そもそも職業に外れも当たりも無いからな。職業イコール強さってのも認識として間違ってる。上級職だとしても魔法職、物理職に負ける事は多々あるからな。」


 おっ。俺が持っていきたい方向性を理解してくれたっぽいぞ。ラルフ先生やるねぇ。


「あ、そっか。そうですよね。だとすると、俺の職業って何なんだ…って悩まなくて良いって事ですか?」

「だな。まぁ職業特性を理解する事で、訓練の効率化には繋がるが。職業鑑定をしなくても強いやつは強いからな。」

「なるほど。因みに…龍人って職業の分類だと上級職ですかね?」

「分からん。ま、俺の方でも確認してやるから、その内分かるだろ。」

「分からんって…まぁいいや。よろしくお願いします。」


 俺がペコリと頭を下げたのを見たラルフは小さく頷くと手をパンパンと叩いた。


「うーし、これで職業鑑定は終わりだ。明日以降は自分の職業を意識しながら特訓してみろ。少しは効率が上がるだろ。職業の特性が分からない奴は聞きに来いよ。それでも分からない奴は…ドンマイだ。んじゃ、解散!明日はいつも通り座学からだ。遅刻すんなよ〜。」


 「ドンマイ」の辺りでチラッと俺に視線を送るプチ芸付きだぜ。

 周りからも同情っぽい雰囲気が伝わってくる。

 自分で仕掛けておいてなんだけど…地味に悲しい気持ちだぜ!


 この後、遼や火乃花を始めとするクラスメイト達から職業について質問攻めにあったのは言わずもがな。ま、俺自身も職業『龍人』についてよく知らないからね。ほぼほぼ「分からない」って答えしか出来なかったよ。

 ともかく、これで明日から堂々と特訓ができる!

 頑張るぞー!!

少しばかし学園編のほのぼのストーリーが続きます。

のんびりとお付き合いください。

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