3-10.街立魔法学院入学試験 テロ防止作戦5
戦闘回です。
新キャラも登場します!
……すっげぇな魔法って。
広場から少し離れた建物の陰で様子を見ていた俺は、そんな感想を抱いていた。
いや、なに、俺自身も魔法は使うからさ、色々と出来るのは知ってるんだけど。まさかこんなに圧倒的な攻撃があるとは思わなくて。
てか…広場にいた受験者達は大丈夫なのか?
つーか……。
「お…マジか。」
広場に貼られた2つの薄青色の結界の内側で起きた大規模爆発。それを押し広げるようにして結界が内側から広がっていく。
初めて見る結界だな。
でも球状の結界だから魔法壁か。物理壁だったら6角形が張り合わさった形になってるだろうし。でも、重なってるような構造なんだよな。きっと火乃花だろうし…うん。後で聞いてみようかね。
ともかく、その魔法壁っぽい結界が爆発を防いでいた。
「……ははっ。流石だわ火乃花。」
結界の中心にいるのは火乃花。両手を広げ、辛そうな顔をしつつも結界を保っている。
予定通り…とはこの事。
火乃花の実力に大分頼ってる側面は否めないけど、この場においてそんな事はどうでも良いか。
すべき事は1つ。
テロ主犯であろう金髪少年を倒す事だ。
相手の攻撃を防ぐ事に成功したなら、次の行動は…。
「ウオラァァァア!!!」
気合の叫び声が響き渡り、バルクが広場を覆うように張られた結界の前へ躍り出る。
振りかぶる右腕に数多の石礫が集まり、巨大な岩腕を形成。その拳の先には魔力が集中し…鋭い突きが結界を打ち抜いた。
パァァァアン!
結界が弾け飛ぶ音が辺りを席巻し、中で渦巻く爆発が解放されて四方八方へと飛び散っていく。あたかも地上で暴発した花火のようだった。
ナイスバルク!あいつも中々やるじゃんか。
「次が……あれ?遼?」
ここまで来たら、遼が広場を見下ろせるビルから金髪少年を狙撃する予定。
ここまで見晴らしの良い場所に人が集まった状態で、一気に殲滅する魔法を使うのなら広場内、もしくは付近に居るはずだという予測だったんだけど……。
動かないって事は見つからないのか?
…マズいな。このまま場が停滞すると、金髪少年がどういう行動を起こすか分からない。こうなったら俺が…!
「あそこですの!えいっ!」
可愛らしい声が聞こえた方向を見ると、広場の反対側のビル入口から1人の女の子が飛び出していた。その女の子は広場中央付近に立つ「金髪青年」を指差し、光矢を放つ。
「うわわっ!なに!?何で俺!?」
「逃しませんの!」
金髪青年はいきなりの攻撃に慌てふためき、光矢が掠って倒れてしまう。
だが、女の子は容赦しない。薄青のボブヘア…いや、ボブよりは少し長いか?…を揺らし、太めの光矢を連射する。
「惚けても無駄ですの!姿が変わろうとも、貴方が金髪少年と同一人物である事はお見通しですの!」
同一人物…確かに言われてみれば、金髪青年が成長したらこんな感じにならないでも無いような。
因みに、太めの光矢は金髪青年の目前で複数の小型光矢に分裂して襲い掛かっていた。
「いやいや!意味が分からないんですが!」
「分からなくありませんの!同じ髪型!瞳の色!そして神出鬼没の特性!…深い根拠はありませんが、間違いないですの!遼君!やってください!」
中々の気迫。そして、根拠が薄いけど自信満々。
ある意味凄いな。
てか、光魔法の使い方が巧みだ。
光矢を中心に操り、逃げる金髪青年を容赦なく追い詰めてる。それに遼の名前を知ってるって事は、もしかしたら遼が模擬戦で負けた相手があの女の子なのかな?
あ、遼だ。
しかもビルの屋上から飛び降りて射撃するイケメン行動。
…やるな遼!女子からの評価上がってるぞ!
「次は…俺だ。」
遼が金髪少年…今は金髪青年か。を炙り出し、追い詰める。
そこに俺が止めの一撃を叩き込む。
これが俺達の立てた作戦だ。単純だけど、個々の力量を鑑みたら最適な割り振りなんじゃないかと思う。火乃花を後で褒めないとな。
まぁ…既に追い詰める遼の役目は薄青髪の女の子がやってくれてるから、遼が出てこなくてもいけるっちゃいけたんだけどね。
よし!行くぞ!
俺は風を纏って飛翔する。空高く…ではなく、地面スレスレを高速で。
そして、金髪青年を視界に捉え、接近しつつ5つの魔法陣を直列励起させた。
狙うのは…遼の魔弾と、薄青髪の女の子の光の矢を避けて……着地したここ!
「いっけぇ!」
魔法陣が光り輝き…魔法陣直列励起によって密度を高めた風刃が乱れ飛ぶ。空気を切り裂き、軌道上の周囲に余波を撒き散らしながら風刃群が金髪青年へ直撃した。
おぉぅ。痛そうでございます。
けど、油断はしない。
龍刀を魔法陣から取り出して追撃を仕掛ける。
「……あれ?」
……居なかった。風刃が直撃したはずの所には誰も。
おかしいな。吹き飛んだか?いや、それなら吹き飛ぶ姿が見える筈。結界魔法で防御してたら、空間固定っていう特性上動けない筈だし。
つまり…。
「つまり、避けたって事だよ。流石に危なかったけどね。」
耳元で囁かれる言葉。
なんの悪意も感じられない、あるがままの現実を告げただけの言葉。それなのに…俺の全身を鳥肌が襲う。まるでこれからの悲劇を予感するかのように。
「中々良い連携だったとは思うよ。でもね、俺の反撃を予測出来ていない所が勿体ない。」
マズい。横から膨れる魔力圧に対して反応が追い付かない。
このままじゃ…。
「反撃ね。へへっ。俺っちが予想してたから問題無しさっ!」
耳の横をブワッと風が通り抜ける。
ガスっという鈍い音が聞こえ、金髪青年は上空へ打ち上げられていた。
「っしゃぁ!このままイクよ!君は俺っちの攻撃を追い掛けて止めを頼むよ!その刀でねっ。」
隣にはいつの間にか…爽やかお兄さんが立っていた。
……え?高校生?って位に服装が学ランなんですが。この世界にも高校あんのか?
いや、よく見ると学ランに必要な上着のボタンが付いてない。言っちまえば…卒業式で全てのボタンを下級生の女の子にあげた後の学ラン。男の勲章とも言える、誰しもが夢見る光景を体現した……。
てか、首に付けてるのヘッドホン!?何それ!?まじでコイツ…俺と同じ転生者…転移者?じゃね?
「いいっ?」
「お、おう!」
しまった。学ランとヘッドホンという想定外の登場に妄想が爆発してた。ここは気を引き締めねば。
学ラン君はニカっと笑うと右手を引き、正拳突きの予備動作みたいな体勢を取る。
「迅風【虚空砲】!」
うわっ。出た。スキルじゃん。
突き出された右手から筒状の風が放たれる。言うなれば風レーザーだね。
ギュンっと物凄い速度で上空の金髪青年に直撃し、グネンと曲がって…金髪青年ごと俺に向かって飛んできた。
あ、ちょっと待って。これ、直撃したら俺がヤバいんじゃ…。
ドクン
心臓が鼓動する。
そして、龍刀の周りに微かに黒い靄が出現していた。
命の危機を感じたからか?…まぁいいか。使えるものは使うまで!
「はぁぁ!!」
俺は龍刀の刀身が魔法陣を突き刺すように魔法陣を展開して発動させる。そこから生じるのは…雷。やっぱり黒い靄が出ると使える属性のランクが上がる。
これで…斬り裂く!
龍刀の刀身が閃き…金髪青年は上下真っ二つに斬られ、付帯する雷に全身を貫かれ、焼かれ…消え去った。
「ふぅ…。」
今の一撃…Colony Worldで使ってたスキルに動作が似てた気がする。これ、極めればスキル使えるようになるのかな?
てか、黒い靄はいつの間にかに消えてるな。
「………あ。」
そして、俺は気付いてしまう。金髪青年を殺めてしまった事に。前にセフと戦って黒い靄が出た時もそうだったけど、俺…黒い靄の影響で結構やばい奴になってる気がするんだが…。
金髪青年を斬る事に対してなんの躊躇もしなかったもんね。
こりゃぁアレだ。早く平常心で使えるようにならないと、その内ヤバい事をやらかしそうな気がする。
……違う。既にやらかしてんじゃん。金髪青年殺害っていう罪を。
アーメン。牢獄生活……楽しもう。
「いやぁ!流石だよ!あの場面であそこ迄躊躇いのない攻撃が出来る人なんて…そうそういないよっ!」
学ラン君にバンバンっと背中を叩かれる。
はいぃ?その躊躇いのなさで、俺は殺人という罪を…。
「うんうん。本当だね。もう少し緩い攻撃だったら、逆に俺が吹き飛ばしてた。」
…へ?
ギギギ…と、壊れたロボットみたいに後ろを見ると、確かに俺が斬り裂いた筈の金髪男がしたり顔で立っていた。
どゆことですかいな。
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