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固有職業『龍人』を得た俺の異世界生活  作者: Scherz
6章:白金と紅葉の都
186/196

6-29.龍人〜覚悟〜

久しぶりの投稿です。

少し大切な話だったので…!

そしていつもより文字数も多めですが、お付き合いください!

 試練9階で待っていたのは、双刀使いの影だった。

 何と無く、俺自身と戦闘スタイルが似てそうだなって思いつつ、その影と対峙してすぐに言われた言葉は…。


「よう。俺。まさか自分と戦う事になるとは思わなかったと思うけど、まぁ…普通に戦えば大丈夫だろ。同じくらいの力量だろうし。」


 という衝撃的な言葉だった。

 なんで俺が俺による試練を受けなきゃいけないのさ!?

 でも、同じくらいの実力なら…勝てる見込みは高い。

 ってな訳で、これはササっと試練をクリアするしかない!と意気込み…それは数秒で打ち砕かれた。


 まず、俺の影は同じ程度の実力って言っていたのに、魔法を使ったんだ。無詠唱魔法とかじゃなくて、俺が使いたいなってずっと思ってた属性魔法を!

 しかも魔法陣みたいなのを身体の周りに出現させて、そこから容赦なく様々な属性の魔法を放ってくるというチートっぷり。

 対して俺が使えるのは…魔力の形状変化による魔法刃程度。

 それで何とか応戦しようと頑張ったけど、まぁ…対抗できる訳ないよね。ラスボスにレベル1で挑むようなもんだし。


 そんなこんなで、雨の様に降り注いだ氷柱に吹き飛ばされた所に話が戻る。


「お前、本気出せよ。」

「くそ…これでも本気だ!」

「はぁ?魔法も使わないで、剣術にちょこっと無詠唱魔法を重ね合わせただけじゃん。」

「いや、だからこれが俺の全力だって。」

「……え?」


 双剣使いの影…面倒だから俺影って呼ぼう。俺影は首を横に傾げて固まった。


「もしかして、お前…魔法陣使えないのか?」

「使ったことすらないわ!」


 俺と俺影の話が絶妙に噛み合わない。互いの前提条件からズレているよね。これ。本当に俺の影なんかな?姿形が似ている別人では?


「ちょっと…まて。聞いてくる。」

「はい?どういう事だよ?」


 俺の疑問を無視して腕組みをした俺影が動かなくなった。

 聞いてくるって誰に聞いてくるんだろうか。

 …今、攻撃すれば勝てるような。いや、でもそれで試練合格ってなるか分からないから、素直に待っていた方が良いか。


 5分後。


「お待たせ。お前…大変だな。」

「なにがだよ。」

「まぁ…言えない。そうだな。俺の試練を乗り越えたら教えてやっても良いかな。」

「つまり、お前に勝てば良いって事か。」

「まぁそんな簡単に勝たせないけどな。」

「あぁ。勝てる気がしない。」

「ははっ!正直すぎだろ。けど、だからといって手抜きはしないぞ。」


 俺影は両手をクイっと上げつつ肩を竦めるポーズを取ると、幾つかの魔法陣を連動して発動させた。すると、俺のすぐ前に四角い木製の箱が現れる。


「その木箱は…お前の仲間、ミリアとブリティの命と連動している。」

「命と?」

「あぁ。その木箱が壊れると同時に9階全体に有毒ガスが充満するようになっている。現状では9階から脱出は不可能。あぁ、安心しろ。結界内に有毒ガスは入ってこないから。箱が壊れてもお前は守られる。外にいる2人は…御愁傷様ってとこだ。」

「何だよそれ。」

「しょうがないだろ。お前はこの試練における主。本来なら試験を与える側だ。それが人数不足で与える側兼挑む側になってんだから。ともかく、俺はその箱を壊しに掛かる。お前は守り切ってみな。…そうだ、そのままだと実感が湧かないだろうから、こうするか。」


 再び魔法陣が光り輝き、木箱が宙に浮き、それを中心にミリアの影が現れた。なるほど、ミリアの心臓部分に木箱がはまっているから、要はミリア影の死亡=木箱の破壊=結界外に有毒ガス発生。って事か。


「嫌な趣味してるだろ?でもさ、俺はお前だから。諦めな。」

「諦めるって…。」


 俺っていつもこんな横暴な感じなのかな。そうだとしたら相当性格悪いぞ。しかも自分で自覚が無いってのがヤバい。


「ま、単純なルールだよ。俺の攻撃を防ぎ切ればこの試練は合格。それだけだ。行くぞ。」


 魔法陣から射出された氷矢を魔力刃で覆った木刀2本で叩き落とす。


「いきなりだな!」

「当たり前だろ。戦いってのはいつもいきなりだ。だからこそ、常に神経を張り詰めている必要があるんだ。」


 俺影は話しながら次は風刃を連射してくる。


「くそっ!」


 バァン!バァン!と風刃を弾くが数発を弾き損ねてしまい、ミリア影の腕や足を掠める。衝撃にグラリと揺れるミリア影。

 …影だとしても、仲間が傷付けられるのは耐えられないな。

 この防戦を続けていたら、確実に守り切れない気がする。実力差がここまでとは…。

 俺影は腕を組み、俺を観察しながら口を開いた。


「お前さ、守る故の強さ、守らぬ故の強さって理解出来るか?」

「何を…。」

「おっと、話していても攻撃の手は止めないぞ?」


 パッと消えたかと思うと、おれのすぐ横に現れた俺影がミリア影を狙って刀を振るう。

 ガギィン!

 ギリギリで木刀の1本で斬撃を止め、至近距離で睨み合う。影だから目が見える訳ではないんだけど、確かに目線が交錯しているのを感じる。


「さぁ、どうだ?お前は、守らない選択は出来るか?」

「う…らぁ!」


 力を込めて刀を弾き返すと、俺影はクルリとバック宙を披露しながら距離を取って着地した。


「仲間を守らないって、そんなの仲間かよ!」

「へぇ。じゃぁお前にとって仲間は守る対象って事か。」


 どこか落胆めいた雰囲気を出した俺影は、それでも言葉を続けてくる。


「ならさ、そんな仲間に裏切られたら、お前はどうすんだ?」

「仲間が…裏切る?ミリアとかブリティがか?」

「まぁそれでも良いかな。」

「裏切るって…普通に想像出来ないんだけど。」

「だから裏切るなんだよ。良くあるだろ?全幅の信頼を置いていた側近が王様を裏切る的な話。お前はそういう存在に裏切られたらどうするのか。って聞いてんだ。」

「そんなの…分かるかよ。少なくとも、裏切りたかったのか、裏切らざるを得なかったのか。そこは確認する。でも、その会話すらままならないなら…一旦倒すしかない。」

「倒す…命は取らないって事か。」

「当たり前だ。そもそも、俺は裏切りとか関係なく、敵でも命を奪うつもりはない。」

「これはこれは…。なるほどな。」


 俺影が飛び上がる。そして、上から…何か振ってきた?

 黒い球体…?


「じゃぁさ、お前は何かを犠牲にまもる覚悟はあるか?仲間を失っても守り続ける覚悟はあるか?」

「なんだよその抽象的、かつ非現実的な…」


 キュィィィィン


 なんだこの音?もしかして…


 ドォンドォンドォンドォンドドドォォォォォン!!!


 一瞬だった。

 黒い球体が立て続けに爆発し、俺とミリア影は爆発の衝撃に翻弄されて床に転がってしまう。

 今の衝撃はヤバい。ミリア影へのダメージも相当入ってる筈…。

 必死に体を起こす。

 爆発が発生させて煙の向こうから、ユラリと俺影が出て来る。


「お前はさ、何も犠牲にしないで、大した覚悟もしないで、守るべきものを守れると本当に思ってんのか?そんな甘い覚悟しかないんなら、何も守れないぞ。失わない為に、失う覚悟は出来てるか?」

「……。」


 なんなんだコイツ。

 さっきから守るとか、犠牲とか、失うとか。

 まるで犠牲を出してまで何かを守ろうとして大切な何かを失ったみたいな。

 ……いや、失った過去があるのか?

 てゆーか、この影は俺だ。となると、もし失った過去があったとして俺は…それを知らない。

 俺って言う割に俺より強いし、話している内容も若干理解できない。でも、それって。もしかして…。


「お前は…記憶を失う前の俺なのか。」


 指先が震える。俺が誰で何をしていたのか。何故記憶を失って白金と紅葉の都にいたのか。

 俺自身にまつわる謎。それが今ここで解決するのかもしれない。知る事は…怖い。もしかしたらこの星で過ごした日々が全て壊れてしまうかもしれない。

 でも、でも、知りたい。知らなければならない。その答えが、今目の前に立っている。

 俺影は肩を竦める動作をしつつ答えた。


「そうだよ。」

「なら、俺の過去について教えてくれ。なんで俺はこの星にきたんだ!?」

「教えねぇよ?」

「……ん?」

「いや、だから教えないよ?今はその時じゃないだろ。」

「…なんで?」

「秘密〜。お前はお前自身を知るに値しない。現状では。」


 マジかよ。一瞬前の俺の覚悟はなんだったんだ。


「現状では…って事は、条件を満たせば教えてくれるって事か?」

「まぁ…な。単純な条件なんだけどな。まず、そこにら辿り着く前に最低条件…スタートラインに立つ為に、俺からミリア影を守り切ってみせろ。」

「こんな実力差があるのに?イジメみたいになってんの、気付いてんだろ?」

「あぁ。けどよ、俺はお前の影だ。なら、お前が俺から守れない理由はない。例え…使える能力が違かっとしてもだ。」


 能力に違いがあるっていうか…使える能力の数も質も全く違うんだが。


「簡単に言えば、実力がなければ何も得られないってか?」

「だな。良く分かってんじゃん。じゃぁ行くぞ。」


 これで会話はお終いらしい。俺影は双刀を構えながら物凄い勢いで突っ込んできた。

 閃く斬撃が縦横無尽に襲い掛かってくる。

 対する俺は魔力で身体能力の強化と、木刀2本の強化を行って…まさに生きるか死ぬかのギリギリラインで攻撃を捌く事しか出来ない。

 しかも嫌らしいのが攻撃を回避すれば後ろで膝をつくミリア影に攻撃が当たるって事だ。

 どうにか立ち位置をズラしたいんだけど、俺影の巧みな攻撃と足捌きで常に俺の後ろにミリア影が居る状況を強制されてしまう。

 戦闘の技術も劣っているって事か…!


「けど…!」


 ミリア影が攻撃の軌道に入る攻撃をするってなら…。


「ぅん?」


 強制的に体を横へズラす。そうすれば…俺影は俺とミリア影を同時に狙える立ち位置へ動く。更に防御の姿勢を見せて攻撃を……誘う!


「……ははっ!そう来たか!」


 俺影の攻撃を誘導した事で、ほぼ想定通りの方向から放たれた斬撃を巨大刃型へ形状変化をさせた魔力で弾き返した。俺影の両手が上へ弾かれる。


「ははっ!そうきたか!いいねぇ!」


 剣撃の応酬で初めて作った隙。ここを逃すわけには…いかない!


「ぬぅぅっ!らぁぁ!!」


 俺の最大攻撃を叩き込む!


「龍劔術【双刀6連閃】!」

「なんだそれ…!?」


 全力の連閃を放つのと、俺影が驚愕!の声を出したのはほぼ同時。打撃力を強化した木刀の斬撃(打撃)が俺影にクリーンヒットして吹き飛ばす。

 地面へ落ちた俺影へすかさず接近し、首元へ剣先を突き付けた。


「これで俺の勝ちだ。」


 勝敗が決した筈なのに、俺影楽しそうな雰囲気を醸し出していた。


「おいおい…俺の知らないスキルかよ。ただ無駄に過ごしてたって訳じゃねえのか。」


 …連閃のスキルを俺影が知らない?

 もしかして、俺が白金と紅葉の都で習得したものは、俺影は使えないのか。だとしたら…。


「はははっ!ならよ、お前は俺の劣化版ではないって事になる。並行世界で別の成長を遂げた俺ってトコか。こりゃぁ…面白いな。」


 …なんだ。俺影の雰囲気が変わった。


「もう、手加減の必要も無いだろ。倒すべき相手として、礼を尽くす。」


 ブワッ!と俺影を中心に魔力が吹き出した。


「うわっ!?」


 まさか…吹き出した魔力に飛ばされるとは…。どんたけ密度の濃い魔力を出してやがんだ。


「よぉ。俺。お前はどう成長した?俺は相手を倒す事に特化した成長をしていた。敵を倒す。それが俺の役割だ。見せてみろ。『今』のお前をよ!全力で行く!龍人化【破龍】。」


 俺影の魔力の質が…変わった。キラキラと黒く光る魔力が周囲に浮かんでいる。

 なんか周りもバチバチしてんだけど。めっちゃ強そうなんですが!


「……くそ。」


 どうする。どうする。どうする。

 俺が使える魔法は魔力の形状変化のみ。これで俺影に勝てる気がしない。

 このままじゃ、ミリア影がやられて中の箱が壊れ…有毒ガスが充満して………ミリアとブリティが死ぬ?


 どうすれば良い?どうやったら勝てる?

 俺が使える最大の攻撃は……。


「さぁて、ミリア影を守りながら、俺に勝てるかね?」


 俺影の姿が一瞬で消え、気付いたら俺は天井付近迄打ち上げられていた。


「かはっ…!?」


 今、何をされた?何も見えなかった。

 衝撃が、腹部への激痛が遅れて脳髄を刺激する。

 斬られて……はいない。下を見ると拳を振り上げた格好の俺影が俺を見上げていた。

 今、殴られたってのか。そんな普通の攻撃でこの衝撃。マジでヤバイぞ。


「ほら!力を見せてみろよ!お前は仲間を守るんだろ!?その為の力を使ってみせろよ!じゃなきゃお前は理想を掲げるだけの弱者に過ぎない!」


 俺影の周りに魔法陣が次々と展開される。


「ほーら、仲間が死ぬぞ?」


 魔法陣群が輝き…気付く。俺の方を向いていない。

 狙いは………ミリア影か!


「させる……かぁ!!」


 天井付近へ打ち上げられた事で結界の天井が真上にあったのを利用する。魔力をありったけ込めた木刀で結界の天井を強打、更に魔力を破裂させる事で推進力を生み出す。方向は…ミリア影と魔法陣の間!!


「へぇ…突っ込んでくるか。」


 俺影が冷静に分析してるけど、そんなん関係ない。

 先ずはミリア影を守り切って見せる!!


 ダァン!!と着地する。衝撃に足が痺れるが、構っている暇はない。

 今、出来る最大の攻撃で最大の防御を!


「龍劔術【双刀6連閃】……魔力刃極大だ!!」


 木刀に纏わせた魔力の形状変化で作る魔力刃を可能な限り大きくする。何回か練習して失敗してたんだけど、この土壇場で成功した…!確実にいつもよりも集中力が増している気がする。

 それに、なんつーか体の中心から…白く輝く魔力が湧き上がる感覚がある。これならいつもより魔力を操作できる気がする。

 これで俺影が放った風刃を全て弾き飛ばして………




 キィィィィィン




 耳鳴りがしたと思ったら……周りが止まっていた。文字通り、時間が止まった世界にいるような光景。


「貴方は仲間を守る覚悟がありますか?」


 この声は….巨大ネズミと戦っていた時に聞こえたのと同じ声?


「貴方は…….誰を守るのでしょうか?」


 再びの問い掛け。


「誰だ。」


 ボワっと俺の前方に白い靄の塊が現れた。

 ゆらゆらと揺れて形が定まらないけど、靄の中に…何かがいる気がする。


「貴方は何を選択するのでしょうか。」

「何を言いたいんだ。」

「………。」


 俺の疑問返しに対して、声は反応しない。


「貴方に仲間を守る覚悟はありますか?」


 再び同じ問い掛け。


「過去の痛みに耐えられますか?」


 何の事だ…?俺の過去に痛みがあるって事か?耐えられるかどうかって、そんなに酷い何かがあったのか…?


「答えなさい。貴方の道は、選択は、守るものは。」


 ……………。俺の、守るもの。

 今、俺に語りかけているやつが何者かは分からない。何を目的に語りかけているのかも分からない。

 でも、答えなければならない。

 そう感じる。


 俺は…どうしたいんだろうか。記憶をなくす前はどうしたかったのか。俺の過去に何があったのか。俺に語りかけてくる声が言っていた「過去の痛み」が何を意味するのか。

 ……正直、分からない。俺は、記憶をなくした俺を受け入れてくれたミューチュエルの役に立ちたいって思った。白金と紅葉の都に住む皆の笑顔を守りたいっていう、ミリアの想いを少しでも手伝いたいって思ってきた。だから、過去の俺がどうとか全く分からない。だって、記憶がなくて知らないんだもんな。




 違う。語りかけてる声は「過去の俺が」とは言っていなかった。「過去の痛み」に耐えられるか。だったな。つまり、俺がこれから進む道は…俺の記憶を取り戻す道に繋がってるのか?

 だとしたら、俺に守る覚悟があるのか。誰を守るのか。俺の選択は………これまで俺が白金と紅葉の都で生きてきた、短い時間が全てだ。

 答えは決まっている。迷う必要はない。


 意を決して口を開く。語りかけてくる声の求める回答か。なんて関係ないんだ。俺の、俺の本音を話す。


「俺は…全てを守るつもりだ。味方を、仲間を守るのは当然で、敵であっても守りたい。対立を避けられない事だって何度もあるかもしれない。それでも、相手の命は守るつもりだ。俺は、命を失って…そこから始まる憎しみの連鎖なんてごめんだ。例え、例え仲間の命を失ったとしても、相手を憎みたくはない。…いや、憎むかもしれない。けど、憎しみの連鎖は俺で断ち切る。それが、俺の選択だ。だから、俺はこの武器…木刀を選んだ。これは、俺の誓いだ。」


 これで答えになっているかは分からない。それでも、俺の本心である事に偽りはない。


「……………。」


 俺の答えを聞いて、靄はゆらゆらと浮かび続けていた。

 なんも反応が無いっていうのは…もしかして俺の答え、トンチンカンだったか?


「………聞き届けました。」


 靄が何かの生き物の形を成していく。


「私は貴方に悲しんで欲しくない。しかし、前へ進んで欲しいとも思っています。背負うべき運命があるからこそ。その運命と立ち向かう必要があるからこそ。」


 ふわっと白い靄が広がり、晴れる。

 その中から現れたのは白い龍だった。


「貴方の覚悟を信じましょう。そして、その覚悟を成すに値する力を授けましょう。」


 白い龍の前に浮かぶ金の輪が光に変換され、キラキラと輝きながら俺に降り注ぐ。まるで女神の祝福を受けているかのように。

 これは……内側から力が湧いてくる。


「守護の力を使い守ってみるのです。願わくば守るが護るとならん事を。」


 白い龍が静かに浮かび上がる。


「そして、唱えるのです。我が名を。我が力を使うための言葉を。」


 鋭くも優しい眼光が俺を射抜く。


「私の名は護龍。全てを守護する存在。」


 頭に言葉が浮かぶ。一瞬で理解した。この言葉を口にする事で、新しい力を得られることを。それと同時に…穏やかな生活がほんの少し遠ざかる事もなんとなく感じた。

 俺の前に立つ美しい姿をした護龍を見る。そして、時間が止まった世界で風刃を放つ俺影を見る。

 覚悟を…決める。前に進む覚悟を。


 口にする。頭に浮かんだ言葉…スキルを。


「龍人化【護龍】!」


 俺の内側から白く輝く魔力が溢れ出た。

やっと龍人が2つめの龍人化を使う所まで来ました!

とは言え、白金と紅葉の都編はまだまだこれから話が動いていく予定です!

もう少し更新頻度を…あげたいと思っています。

が、頑張る。

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