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5-73.コンセル戦

久々の更新です。

仕事が落ち着いたので、元のペースで更新再開…出来るはず!

5-73.コンセル戦


 この場を支配しているつもりになっているのか、愉悦の表情を浮かべながら手に持つマグナムを揺らすコンセルへ向けて石針を射出する。

 属性【雷】なら、石を使えば属性相性は有利になるはず…!


「ヒャハッ!ヌルい!落雷が岩を砕く事を知らないのかなぁ!?」


 コンセルのマグナムから雷が迸り、石針を尽く粉砕していく。


「チッ…!そんなら!」


 相手の土俵で戦うんじゃダメだ。銃使いのウィークポイントは、インサイトだろ。


「龍劔術【黒刀】!」


 龍魔力を夢幻に纏わせ、駆ける。


「ヒャハッ!潔い判断だなぁ!?」


 ズババババン!と銃声がマシンガンのように連続で鳴り響き、雷の弾幕が襲い来る。更に、俺へ接近したタイミングで散弾へと変化するおまけ付きだ。


「蜂の巣になりなっ!」


 俺の負けを確信したのか、勝利という愉悦に歪んだ笑顔を見せるコンセル。

 ここでの最適解は、足を止めて全力で魔法障壁を張って耐える事。けど…。


「…1人ならな!」


 俺は更に加速した。


「はぁ!?イカれてんのかテメェ!」


 信じられない。とばかりにコンセルが目を見開いたその時、俺を追い越すように魔弾が後方から飛来、拡散してコンセルの魔弾を相殺していく。


「龍人!!!」


 遼だ。こういう時、遼なら支援攻撃をしてくれるって信じてたぜ!


「おうよ!龍劔術【牙突閃】!」


 龍魔力を普段よりも注ぎ込んだ特大の一撃は、黒い特大魔力刃を彗星の如く飛翔させる。


「ちっ!…滾るじゃねぇか!」


 拡散弾を突き破る魔力刃を見てギラギラと瞳を輝かせるコンセルは、マグナムを両手で構える。


「ヒャハッ!これはどうだぁ!?」


 ゴウッ!

 そんな轟音を立てながら巨大雷レーザーが放たれる。

 このまま避けたら、攻める隙が減っちまう。

 …そんなら!


「龍劔術【破爪斬】!」


 無限の両サイドに2本ずつの魔力刃が出現し、本体を含めて合計5本の刃が巨大レーザーを迎え撃った。


「ぐ……!!」


 夢幻から物凄い圧力が俺の両腕に伝わってくる。

 くそっ。なんなんだよ。何でコンセルが敵なんだよ…!!

 分からない事が…多すぎる。

 ても、だからこそ、ここで負ける訳にはいかない。まだ見えない真実を掴むためには、裏切り者のコンセルに負けてはいけないんだ。


「ぅぁぁぁあああ!!」

「……ぐ、これが……!?」


 龍魔力の刃が巨大レーザーを斬り裂き、軌道を上部へ跳ね上げた。

 多分、コンセルの中でも特級の攻撃だったんだろう。それを防がれた事で「信じられない」といった顔をするコンセルへ接近する事に成功する。


「……倒す。」

「ひ、ひゃは…!」


 夢幻の一閃がコンセルの胸を斜め一文字に斬り裂き、鮮血が迸った。

 これで無力化。あとは、バーフェンス学院長に今回の戦争を起こした目的をちゃんと聞かない…。


「ヒャハハァハッハッハハハッ!!」


 …は?

 おかしな光景。

 血が、止まっていた。

 斬りつけたコンセルの傷から出る血が止まっている。とか、そんなレベルではない。

 噴き出したすべての血液が、その場に浮かんで…空間に固定されていた。


「私にコレを使わせるとは!!火日人が見込むだけの事はあるなぁ!龍人!」


 コレ…って、血が止まってる事か。これも魔法なのか?……聞いたこと無いぞ。


「ほぅ……。珍しい属性持ちがこんな所にもいたか。」


 バーフェンス学院長が面白そうにしてやがる。

 コンセルは天を仰ぐように両手をババっと広げた。


「久々だぜ!!私の、真骨頂を、全身で味わぇ!」


 血が…蠢く。そして、一瞬で空中に固定されていた血が無数の刃を形作った。

 ……そういう事か!

 ほぼ条件反射のような速度で展開した物理壁に血刃がズガガガガ!と突き刺さる。


「ヒャハッ!まだまだぁ!」


 羽虫の大群のようにうねる血刃群がコンセルの周りを飛翔し、上下左右に分かれて襲い掛かってきた。

 これ、ヤバイくないか?1個1個の血刃が別個の軌道を取れるとしたら、全方位の防御壁…物理壁を使わないと防ぎきれない。でも、そんな事をしてたら守り以外の選択肢が無くなっちまう。


「龍人!後ろに下がって!」

「…!?」


 遼の声に反応して後方へ下がるのと入れ替わるように、無数の拡散弾が血刃を撃墜していく。


「龍人君!少し休むべきですの!」


 更に、ルーチェの光球が乱れ飛び、拡散弾が撃ち漏らした血刃を相殺した。


「私の実力も御披露目するとしよう。魔槍士の演舞、とくと目に焼き付けよ!」


 魔槍士…ベルの職業、見た目にピッタリだな。

 体勢を低くして取り出した槍は、銀色に輝いていて格好いい。上の持ち手部分が輪っかになってるから、アレを使って槍術に変化を出すのかな。


「はぁっ!!」


 ベルは気合の声と共に槍をシュン!とひと突きする。


 ブッパァン!!


「うわ…!」


 圧巻のひと言。

 槍の先端から放出された衝撃波が放射状に広がり、残っていた血刃を全て吹き飛ばす。

 コンセルの後ろでは、衝撃波の余波を受けた北区の人達が転がりまくっているし、恥ずかしい縛られ方をした火日人さんが「何かのプレイ?」みたいな格好で北区の人と絡まり合っている。うん。悲劇だ。悲劇だけど無視しよう。


「いいなぁ!強いじゃないか!俺の求める強さに到達できるかもなぁ!?まだまだ…行くぞ!!」


 両手を広げたコンセルの周囲に再び血刃が広がる。

 あの量の血を体内から出したら、普通は失血状態になると思うんだけど…何かカラクリがあんのか?

 それに、後ろで平然とした顔で立っているバーフェンス学院長が攻撃してくれたら、もっと簡単に決着まで持っていけると思うんだけど、何故か小難しい顔をして俺達の戦闘を観察している。


「小細工なしの物量攻撃!!耐えられるかぁ!?」


 言葉の通り、無数の血刃が真っ直ぐ俺達に向かってくる。

 …さっきより血刃が多いんだけど!?


「くそっ!」

「龍人、遼、ルーチェ!凌ぐぞ!」


 衝撃波を撒き散らす槍を振り回しながらベルが叫ぶ。

 俺達は呼応しながら威力の高い範囲攻撃を出し、血刃を何とか押し返していく。

 …これ、ヤバイな。拮抗しているように見えるけど、俺たちの方が不利だ。遼の拡散弾はやや範囲攻撃としては不確定要素があるし、ルーチェは質量攻撃よりも技巧派だ。ベルは…範囲攻撃バッチリって感じだけど、俺は龍魔力を使った攻撃に範囲攻撃が無い。魔法陣の並列励起で範囲を広げて、直列励起で威力を上げながら対応しているけど……使える魔法陣にはストック数の問題がある。現に、もうストックの半分は消費済み。

 このまま拮抗状態が続けば、俺の魔法陣ストック切れを皮切りに…一瞬で押し負ける。


「龍人!!」


 焦りながら対抗策を考えていると、槍を凄まじい速度で振り回すベルが近づいてきた。露出の高い服装で全身が汗ばんでいるのが分かるし、動きが激しくて…とても揺れていてエロい!!……なぁんて、一瞬だけ思ってしまいましたとさ。


「はい!?」

「汝はあとどれ位耐えられる?」

「……正直、5分。魔法陣のストック切れがリミットだ。」

「マズイな。」

「あぁ。かなり。」


 数秒の沈黙の後、ベルは激しい動きを続けながらも静かに深呼吸をした。


「腹を括るぞ。」

「……何の?」

「恐らく、この場で一点突破に長けているのは汝だ。故に、そこに全てを掛ける。私が吹き飛べ!と叫んだ3秒後に全力で血刃を突き抜け、セフを貫け。」

「それ、賭け要素が強い……」

「準備を頼んだぞ。」


 ベルは一方的に告げると、踊るように槍を振り回しながら遼とルーチェの方へ移動していった。

 いやぁ…出来るか?俺の使える龍劔術【牙突閃】【破爪斬】どちらも突破力には欠けるんだけど……。

 …………いや、待てよ。何もスキルだけが攻撃じゃないか。となると……。

 ある程度考えが纏まりかけた所で、ベルが叫ぶ。


「吹き飛べぇ!!」


 斜め下からの斬り上げに合わせて、渦を巻く衝撃波が前方広範囲へ放たれる。

 この攻撃に合わせるように遼が放ったのは…貫通弾か?

 そして、ルーチェは光レーザーを乱射。


「ヒャハハハハハハハハハ!!!!その程度、私が読めないと思ったのかぁぁぁ!???」


 唾を撒き散らしながら叫んだセフが放ったのは…血刃よりサイズが大きい血槍群。

 これまでよりも質量の大きい攻撃は、俺達の波状攻撃を少しずつ突き抜けてくる。

 そんな中、俺は捨て身の覚悟でベルの前へ躍り出ていた。ここから……突き抜けてやる。


「ヌルい!ヌルい!!!」


 セフが指を鳴らすと、雷レーザーが血槍と血刃の中央を貫くように放たれる。その延長線上に居るのは…勿論俺。

 あ、ヤバイかも。血を使った魔法だけに思考を割きすぎて、雷の事忘れてたよ。


「龍人!!信じて進め!引くな!行け!!」


 一瞬、逃げを選びかけた俺を、ベルが力強く鼓舞する。

 そうだ。ここで引いたら…勝ちはない。俺の、全力で!


「龍魔力を…集中!行く!」


 俺の操れる龍魔力を龍刀と夢幻の切っ先に全て集中させて駆ける。これで、全てを突き抜けるしかない。

 目の前に迫る極太の雷。

 そこに両刀の切っ先が触れる…!と思った寸前で俺の前を薄青の刃が閃いた。続け様に氷の壁が斜めに形成されて雷レーザーの軌道をズラす。


「……オルム!」

「うむ!行くでござる!」

「あぁ!!」


 雷レーザーの軌道を避けるようにして突き進む。

 そこへ襲いくる血槍群。

 でも…!


「真焔【流星】。」


 拳大の焔が流星のように飛来して血槍を次々と粉砕していく。…火乃花だ。

 皆のお陰で道が開けた。

 あとは…。


「突き抜けるだけだ!うぉぉぉおおおお!!」


 足元に爆風を発生で、一気に加速する。

 俺とコンセルの間を阻む血刃群に切っ先を突き刺し、左右へ切り開く。

 ゴウッ!と、血刃が吹き飛んでいき、狂喜するコンセルを目視する。


「これで、お終いだ。」

「ヒャハハッ!!最高の展開じゃぁないか!!」


 血走った目で叫び狂うコンセルへ、両刀の峰打ちを無数に叩き込む。


「グボヘッ………!?」


 斬撃だと血を固めて傷口を防げるかもしれないけど、打撃なら別問題だろ!

 体をグネグネと揺らしたコンセルは、グリンと白目を剥くと静かに倒れていって……沈黙した。

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