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VI 石油・石炭製品から出来る二酸化炭素削減法

 私達のまわりには、石油(または石炭)から出来た製品が数多く存在しています。

 その代表的なものとして、まずプラスチックが挙げられます。

 一口にプラスチックと言っても、その種類は様々ですが、ここでいくつか取り上げます。

・ポリエチレン …袋やラップなどに広く使用。エタン、エチレン(石油、ガスに由来)から合成

・ポリプロピレン …容器などに広く使用。プロパン(石油、ガスに由来)から合成

・ポリエチレンテレフタレート(PET) …ペットボトルなどに使用。パラ-キシレン(石油、石炭に由来)とエチレングリコール(石油、ガスから取れるエチレンに由来)から合成

・ポリスチレン …発泡スチロール、プラスチックトレイなどに使用。ベンゼン(石油、石炭に由来)とエチレン(石油、ガスに由来)から合成


 他にも、次のようなものが石油(石炭)製品に該当します。

・6-6ナイロン、6-ナイロン …衣類、カーペット、魚網などに使用。ベンゼン(石油、石炭に由来)から合成

・ポリ塩化ビニル …サランラップや人工芝などに使用。アセチレン(石油、ガスに由来)から合成

・アクリロニトリル …アクリル繊維などに使用。アセチレン(石油、ガスに由来)から合成

・合成ゴム …クロロプレン、ブタジエンの場合、アセチレン(石油、ガスに由来)から合成

・アスピリン …風邪薬などに使用。ベンゼン(石油、石炭に由来)から合成

・合成洗剤 …アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの場合、ベンゼン(石油、石炭に由来)から合成

・合成染料 …橙色の染料となるパラ-アミノアゾベンゼンの場合、ベンゼン(石油、石炭に由来)から合成

・爆薬(TNT、ピクリン酸) …TNTはトルエン、ピクリン酸はベンゼン(どちらも石油、石炭に由来)から合成

(参考資料:くわしい化学の新研究、理系 化学精説)


 他にも石油、ガス、石炭などの化石燃料から作られている製品はたくさんあります。

 これらを仮に燃やした場合、どれくらいの二酸化炭素が排出されるのでしょうか。

 私は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレンそれぞれ100gあたりについて調べてみました。


・ポリエチレン…化学式は〔-CH2-CH2-〕nとなっています。

 この中には炭素原子が2個、水素原子が4個あります。

 分子量をC=12、H=1とした場合、28g中24gが炭素になります。

 つまりポリエチレン100gあたりには85.7gの炭素が含まれています。

 炭素85.7gが燃えた場合、排出される二酸化炭素は85.7×44÷12=314.2gになります。


・ポリプロピレン…化学式は〔-CH2-CH(CH3)-〕nとなっています。

 この中には炭素原子が3個、水素原子が6個あります。

 分子量をC=12、H=1とした場合、42g中36gが炭素になります。

 つまりポリプロピレン100gあたりには85.7gの炭素が含まれています。

 よって排出される二酸化炭素は314.2gになります。


・ポリエチレンテレフタレート…化学式は〔-CO-C6H4-CO-O-CH2-CH2-O-〕nとなっています。

 この中には、炭素原子が10個、水素原子が8個、酸素原子が4個あります。

 分子量をC=12、H=1、O=16とした場合、192g中120gが炭素になります。

 つまりポリプロピレン100gあたりには62.5gの炭素が含まれています。

 炭素62.5gが燃えた場合、排出される二酸化炭素は62.5×44÷12=229.2gになります。


・ポリスチレン…化学式は〔-CH2-CH(C6H5)-〕nとなっています。

 この中には、炭素原子が8個、水素原子が8個あります。

 分子量をC=12、H=1とした場合、104g中96gが炭素になります。

 つまりポリスチレン100gあたりには92.3gの炭素が含まれています。

 よって排出される二酸化炭素は338.5gになります。


 私達はプラスチックを可燃ゴミとして出すことは少ないかもしれません。

 しかし、ごみ収集として出されたプラスチックは、大半が石油、石炭の代わりに燃料として使用されています。

(ポリエチレンテレフタレートは衣類やぬいぐるみ、枕、植木鉢などに生まれ変わっています。)

 ですからある意味、私達はプラスチック類をゴミとして出すことで、化石燃料を燃やしていることになり、結果として二酸化炭素排出にもつながっていることになります。


 また高校、大学レベルの化学の参考書に載っていることですが、これらの製品が合成されるまでには、たくさんの化学反応を起こす必要があります。

 これらの条件を作り出すためにも、またエネルギーが必要になります。

 以前、Yahoo!JAPANで検索したところ、レジ袋1枚作るのに石油20ml(約15〜16g)という記述がありました。

 これを考慮した場合、レジ袋1枚を作るためには、その2〜4倍の重量の石油が消費されることになると考えることが出来ます。

 ですから、私達はプラスチックを購入して使い、それをごみとして出すことで、プラスチックの2〜4倍の石油を使い、さらにその石油の2〜3倍の二酸化炭素を排出すると考えることが出来ます。

 分かりやすく言えば、プラスチックを100g燃やせば、二酸化炭素を大体0.5〜1kg排出すると考えることが出来ます。


 石油、石炭から製造された製品は、値段は安価なものが多いですが、排出される二酸化炭素は私達が考えている以上に多いです。

 しかし、だからこそ、私達は努力をすれば二酸化炭素の排出をかなり減らすことも出来ます。

 私が実践していることとしては、次のようなことがあります。


・買い物をする時、袋を持参する。

・風呂掃除や皿洗いをする時、合成洗剤ではなく、せっけんを使う。

・ペットボトルの飲み物を買うとき、最初の1回目は500mlペットボトルを用意し、次からは大きなペットボトルや1リットルのパック入りを買って、移し変える。

・ボールペンのインクがなくなったとき、中身のインク部分だけを変える。

・歯磨きをする時、出来るだけ歯ブラシが長持ちするように磨くように心がける。

・プラスチック類を可燃ゴミに入れないようにする。(可燃ゴミに入れると、ただ燃やされてしまうだけだが、プラスチックゴミとして出せば燃料として利用されるため。)

・プリンターの使用済みインクカートリッジを販売店の回収箱に持っていく。

・使用済みトレイをスーパーの回収箱に持っていく。


 作品を執筆している中で思い浮かんだことはこれぐらいでした。

 どれも一見地味なことですが、少しの量であっても、その5〜10倍の二酸化炭素を削減出来ると考えれば自然とやる気もわいてきます。

 皆様もこのように考えながら、プラスチックなどの石油、石炭製品の使用量の削減、ならびに分別に取り組んでみてはいかがでしょうか。

 1人が1日努力しただけでは、その成果は小さいかもしれませんが、1年間続ければきっと大きな成果になるはずです。

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