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XXI 海外生活から出来る二酸化炭素削減法

 これまで私は二酸化炭素削減に関することをたくさん書いてきました。

 これらのことは日本に住んでいることを前提にしてきました。

 しかし今の時代、海外旅行に行くことは珍しくありません。

 他にも留学をしたり海外で職に就いたり、海外に定住したりする人も多いと思います。

 その場合でも、私達は二酸化炭素削減のことを忘れてはならないと思います。

 なぜならこの問題は日本だけでなく、全世界が取り組んでいかなければならない課題だからです。

 ですから日本に住んでいる時に電気の消費を削減していたとしても、海外でホテルに宿泊した時などに、電気を使いたい放題でいてはいけません。

 では、私がこの作品の中で書いてきたことは海外でどれだけ応用出来るのでしょうか?

 私自身、執筆しながらそのような疑問が浮かんできましたので、この章ではそのことについて触れてみたいと思います。




1. 電気の場合


 以前、「III 家電製品から出来る二酸化炭素削減法」の中で、1kWh発電あたりの二酸化炭素排出量450gと書きました。

 これは日本国内におけるデータであり、海外ではこの数値を使うことは出来ません。

 そのため、その国ごとにおけるデータを集める必要があります。

 私は海外電力調査会のホームページを見ながら1kWhあたりの二酸化炭素排出量のデータを集めて、ここに掲載することにしました。

 さらには参考までに各国の発電に関する実態についても掲載してみました。

 ※韓国に関しては海外電力調査会のホームページに記載されていなかったため、エネルギー白書2010の情報を元にしました。




日本

 1kWh発電あたりの二酸化炭素排出量:450g

 石油:13.9%、石炭:27.7%、ガス:25.8%、原子力:23.5%、水力・その他:9.2%、



韓国

 1kWh発電あたりの二酸化炭素排出量:482g

(日本と同じ発電効率と仮定した場合の数値です。正確な値ではないかもしれません。)

 石油:5.9%、石炭:40.1%、ガス:19.3%、原子力:33.6%、水力・その他:1.1%


 発電の割合で日本と多少の違いはありますが、基本的に「III 家電製品から出来る二酸化炭素削減法」で書いたことは韓国でも応用出来るのではないかと思います。



アメリカ

 1kWh発電あたりの二酸化炭素排出量:549g

 石油:1.8%、石炭:49.0%、ガス:21.2%、原子力:19.4%、水力・その他:8.7%


 技術面や工業面で世界をリードするアメリカですが、二酸化炭素排出量が近年まで世界一多く(現在は中国)、一人あたりの二酸化炭素排出量も世界一多いです。

 排出量が多い理由として、国民の意識がまだまだ低いことや、消費電力の多い白熱電球を多く使用していること、自動車の使用量が多いことなどが挙げられます。

 そして発電時に二酸化炭素を最も多く排出する石炭の割合が多いことも挙げられます。

 二酸化炭素削減に消極的というイメージのあるアメリカですが、それでも燃費のいいプリウスがたくさん出回るなど、対策は行っています。

 しかし現段階では削減のための努力をもっとしていかなければなりません。

 アメリカ旅行または生活をする場合には、日本以上に電気使用について注意する必要がありそうです。



フランス

 1kWh発電あたりの二酸化炭素排出量:90g

 石油:1.8%、石炭:5.0%、ガス:3.9%、原子力:77.9%、水力・その他:12.1%


 フランスはすでに京都議定書の目標をクリアしています。

 そして1kWh発電あたりの二酸化炭素排出量がかなり低いです。

 これは発電における原子力の割合が高いことが大きな理由です。

 しかし、ここまで原子力発電の割合が高いと別の不安も生じてきます。

 せめて原子力発電所で事故がないことを祈りたいです。



ドイツ

 1kWh発電あたりの二酸化炭素排出量:427g

 石油:1.8%、石炭:49.3%、ガス:11.6%、原子力:22.3%、水力・その他:15.0%


 ドイツはすでに京都議定書の目標をクリアしています。

 これは古い石炭火力の廃止と、それに代わって風力発電開発を推しすすめたことが挙げられます。

 それなら日本でも風力発電をすすめたいところですが、赤字の自治体が多いことや、(因果関係ははっきりしませんが)健康被害が出たとされる報告もあります。

 他にも旧東ドイツ地域の経済停滞が結果的に二酸化炭素削減に一役買ったということもあります。



イタリア

 1kWh発電あたりの二酸化炭素排出量:388g

 石油:11.5%、石炭:16.1%、ガス:56.0%、原子力:0%、水力・その他:16.4%


 見ての通り原子力発電の割合が0です。

 これは1986年にチェルノブイリ原子力発電所の大事故を受けて、原発をなくそうという動きが広がったためです。

 結果として1988年以降原子力発電は行われていませんでした。

 これはある意味人類の目指した理想像かもしれません。

 しかし現実は甘くなかったようで、それ以降慢性的な電力不足が問題になってしまいました。

 そのため電力を外国から輸入(しかもその一部は原子力発電由来!)していたという実態があります。

 上記のデータでは二酸化炭素排出量が388g/kWhとなっていますが、私としては化石燃料の割合が高い割に、何か数値が低いような気がしました。

 もしかしたら、輸入の分を0として考えているためかもしれません。

(そしてそれが輸出国に上乗せされているのかもしれません。)

 イタリアは慢性的な電力不足を解消するため、背に腹は代えられないとばかりに、2008年に原子力発電所の建設を開始することになりました。

 原発に反対する意見は世界中どこを探してもあります。

 しかし、もし原子力発電がなくなったら、このような現実が待っているかもしれません。

 結局私達は原子力に反対する前に、使う電気を減らすための努力をしていかなければならないのです。



イギリス

 1kWh発電あたりの二酸化炭素排出量:500g

 石油:1.2%、石炭:35.3%、ガス:41.9%、原子力:16.1%、水力・その他:5.5%


 イギリスはすでに京都議定書の目標をクリアしています。

 石炭火力からガス火力への転換を図ったことが大きな理由として挙げられています。

 ただ、1kWh発電あたりの二酸化炭素排出量は日本よりも大きいので、電気は大事に使いましょう。



中国

 1kWh発電あたりの二酸化炭素排出量:758g

 石油:1.0%、石炭:81.0%、ガス:0.9%、原子力:1.9%、水力・その他:15.2%


 まず1kWh発電あたりの二酸化炭素排出量の数値を見て驚きました。

 その原因として、石炭の割合が非常に高いことが挙げられます。

 中国は今、目覚しい経済成長を遂げています。

 しかしその反面、消費するエネルギーも増加の一途をたどっています。

 さらには国民の環境に対する意識もまだまだ低いと言わざるを得ません。

(中国政府も、もっと環境のことについて考えて、国民にPRしてほしいです。)

 中国では日本と同じ量の電力を消費した場合、二酸化炭素排出量は計算上758÷450≒1.7倍になります。

 つまり中国旅行をしたり、中国で生活をする場合、私達は日本以上に電気に気を使わなければなりません。

 また私としてはもし中国に電気自動車が出回った場合、果たしてそれがどれくらいエコになるのだろうかという疑問もわいてきます。

 石炭は1kWh発電あたりの二酸化炭素排出量が最も多いです。

(日本の場合、石炭975g/kWh、石油742g/kWh)

 これまでガソリン(石油)で動いていた自動車を石炭で動かす形になってしまったら、電気自動車の意味がありません。

 むしろ逆効果になるかもしれないという気持ちにすらなります。




2. ガソリンなどの燃料の場合


 国によって有鉛、無鉛の違いや、脱硫(硫黄を取り除くこと)などに違いがあります。

 しかし二酸化炭素の観点から見た場合、基本的に1リットルの燃焼で2315g(2.3~2.4kg)と考えていいと思います。

 灯油、軽油もそれぞれ同じことがいえるのではないかと思います。

(灯油:2458g/リットル、軽油:2494g/リットル)


※他のこと(紙や木材、金属製品、プラスチックなど)についても調べられれば良かったのですが、さすがに資料を集めることが出来なかったため、割愛します。

(多分、日本と同じような感覚でかまわないと思いますが…。)




 ここからは二酸化炭素と直接関係がありませんが、この場を借りて、ガソリンについて私が知っていることを書いてみようと思います。


 以前まで日本で売られていたガソリンには燃焼効率を上げるために鉛が使われていました。

 この鉛は、正確にはテトラエチル鉛(化学式:Pb(C2H5)4)と言います。

 この物質は猛毒で、皮膚につくと皮膚を浸透して体内に入り込んでしまうため、取り扱いには十分な注意が必要です。

 また燃焼した時に排出される鉛の酸化物が環境汚染の原因となっていたため、日本では使用が廃止されました。

 現在日本で流通しているガソリンは全て無鉛です。

 しかし、海外ではまだまだ有鉛ガソリンが出回っています。

(参考資料:くわしい化学の新研究)


 以前にも書いたとおり、ガソリンは炭素数が4~10程度の炭化水素から成っています。

 そのため、理論上は燃焼すると二酸化炭素と水が発生します。

 しかし実際のところ、全ての炭素が完全燃焼するわけではありません。

 もし十分な酸素がないと不完全燃焼して有害な一酸化炭素になります。

 水素と結合すると気体の炭化水素(これも人体に有害です。)になります。

 燃焼しなければススという黒い煙(炭素から成ります。)になって出てきます。

 またエンジン内部の空気に含まれる窒素と酸素が高温のために化学反応を起こすと、窒素酸化物になります。

 窒素酸化物は人体に有害なだけでなく、酸性雨の原因になります。

 そのため、自動車にはエンジンの近くに排気ガス浄化装置が内蔵されています。

 その作用によって一酸化炭素とススは二酸化炭素に、炭化水素は二酸化炭素と水に、窒素酸化物は窒素と酸素になります。

 そのため、基本的に日本国内で走っている車の排気ガスはきれいなほうです。(発車直後を除く。理由は後述。)


 この浄化装置には白金(Pt、別名:プラチナ)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)などの高価な金属レアメタルが使用されています。

 それらのレアメタルが化学反応の触媒作用を示すことで、上記の反応が起きます。

 しかし高温にならないと効果を発揮しないという欠点もあるため、発車直後でエンジンが温まっていない場合には有害なガスが排出されてしまいます。

 浄化装置に使用されているレアメタルは硫黄に弱いため、燃料に硫黄が含まれているとダメージを受けてしまうという欠点もあります。

 日本のガソリンは硫黄を極力排除した上で製品として売られていますので、硫黄については気にする必要はないでしょう。

 ただし、世界には硫黄を十分に除去しないままの劣悪なガソリンを使用している地域もあります。

 そのため、もし日本で買った車を海外に持ち込んで使用する場合には注意が必要かもしれません。


 もう一つのレアメタルの欠点は非常に値段が高いということがあげられます。

 それを使用することは当然値段に反映されますので、価格は高くなります。

 発展途上国の場合、安い値段で売られている車には浄化装置が取り付けられていない、または浄化装置の作用が不十分である可能性があります。

 浄化装置の価格を下げることと、排気ガスをきれいにするということは、相反する要素でもあります。

 自動車に関わる人達は、今後も難しい課題に立ち向かいながら開発をしていくことになりそうです。

(参考資料:カラー版徹底図解 自動車のしくみ)




 この章の冒頭でも書きましたが、二酸化炭素削減は世界の国々、世界の人達が一致団結して取り組んでいかなければならない課題です。

 自分くらいと考えていてはいけません。

 私も日本にいる時だけでなく、海外旅行した時にも積極的に削減のための努力しています。

 例えば海外旅行をしてホテルに泊まった場合であっても、電気を無駄遣いするようなことはしません。

 皆様も、海外に住む場合、または海外に旅行に出かけられる場合にも二酸化炭素削減のための努力は怠らないようにお願いします。


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