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XX 照明機器から出来る二酸化炭素削減法

 私達はキャンプする時を除いて、どこで生活するにしても毎日必ず照明機器を初めとする家電製品のお世話になっています。

 これはこれからも変わることはないでしょう。

 それらを使えば必ず二酸化炭素を排出します。

 私達は生活をする以上、二酸化炭素排出量をゼロにすることは不可能です。

 しかし努力をして削減をしていくことは可能です。

 毎日使う機器であればなおさらです。

 この章では、数ある家電製品の中でも、私達が毎日お世話になっている照明機器にスポットを当てて解説をしてみることにします。

 私達が家電量販店で購入して使用している照明機器には、大きく分けて電球と蛍光灯が挙げられます。

 電球は以前までなら白熱電球が主流でしたが、最近は電球型蛍光ランプやLED照明が出回ってきました。

 まずこれらの照明機器がどのようにして明かりを出すのかについて見てみたいと思います。



1. 白熱電球


 白熱電球の内部にはフィラメントと呼ばれるバネのような形をした導線があります。

 このフィラメントは高い電気抵抗を持っているので、電気を流すと光りながら高温になります。

 これは電気ストーブなどに使われている電熱部分に電気が流れると、熱を出しながら赤く光るのをイメージすれば分かりやすいと思います。

 この赤く光っている電熱部分にさらに大きな電流を流していくと、色が段々明るくなっていき、ついには白色になります。

 これが明かりの正体です。

 つまり、白熱電球の原理は電気ストーブなどと同じと考えることが出来ます。

 そして私達は電気ストーブの場合は熱を、白熱電球では光の部分を利用していることになります。

 しかしフィラメントを白熱状態にしてしまうと非常に高温になります。

 この場合、融点、沸点の低い物質を使っていたのではたちまち液化または気化してしまいますので、使い物にならなくなってしまいます。

 そのため、非常に高い温度にまで固体を維持出来るタングステン(W)(融点:3380℃、沸点:5555℃)というレアメタル(希少金属)を使っています。

 また、電球の中に封入されている気体が高温のために化学反応を起こしてしまっては困ります。

 そのため、内部にはアルゴン(Ar)、窒素(N2)など、化学反応を起こさない、または非常に化学反応を起こしにくい気体が封入されています。

 しかし、水が沸点にならなくても気化するように(意外かもしれませんが氷も気化しています。)、フィラメントも使う度に少しずつ気化していきます。

 そして線が段々細くなっていき、やがては切れて使い物にならなくなってしまいます。

 その欠点を補うために、現在ではハロゲン(塩素や臭素、ヨウ素など、周期表の第17族に属する元素)を使った電球が広く出回っています。

 これは一般にハロゲンランプと呼ばれています。

 ハロゲンを含むガスを封入すると、気化したタングステンをフィラメントに戻すことが出来ます。

 そのため、ハロゲンランプは白熱電球よりも高い温度に設定出来ます。

 実際、白熱電球は2500℃~2650℃、ハロゲンランプは2700℃以上になります。

 高い温度に設定出来れば、その分強い明かりを出すことが出来ます。

 そのため、ハロゲンランプは電気ストーブや自動車のライトによく使われています。


 白熱電球は構造が簡単で安く作れるので、当然値段も安いです。

 しかしほとんどの電気エネルギーは熱になるため、使用時に触るとやけどするくらい熱くなります。

 一方で、光エネルギーになる割合は低いため、明かりとして使うためには多くの電気エネルギーを使ってしまいます。

 調べたところ、100W電球の場合、可視光線放射は10%、赤外線放射が72%、残りが熱放射と書いてありました。

 そのため、電気代も高くなってしまいます。

 さらには二酸化炭素の排出量も他の照明機器より多くなります。

 そのため日本では今後、白熱電球の生産を行わない方針を打ち出しています。

 また、すでにオーストラリアやフランスでは法律で白熱電球の生産、販売が禁止される予定です。



2. 蛍光灯


 蛍光灯はガラスで出来た管の内側に蛍光物質が塗られています。

(※蛍光物質に何が使われているかのついても知りたかったのですが、レアメタルが使われているということ以外、よく分からなかったので割愛します。)

 内部の空間には非常に気圧の低い状態(数百分の一気圧)のアルゴンと気体の水銀が封入されています。

 両端には電極があり、そこに電圧をかけると、マイナス極から高エネルギーの電子が飛び出してきます。

 その電子が気体の水銀原子に衝突して水銀にエネルギーを渡します。

 高エネルギー状態になった水銀はそのままでは不安定なため、安定化するために紫外線やX線という形でエネルギーを放出します。

 その紫外線、X線が蛍光物質に当たって可視光線になり、それが明かりになります。

 エネルギーの内訳は可視光線放射が25%、赤外線放射が30%、紫外線放射が0.5%で、残りが熱放射となります。

 白熱電球と比べると熱効率が高く、基本的に消費電力は白熱電球と比べて低いです。

(白熱電球は消費電力が40W~100Wなのに対し、蛍光灯は28W~40Wとなっています。)

 欠点は、まず管の内部の気体には水銀が含まれていますので、割ってしまうと有害な水銀をばらまいてしまい、近くにいた人が水銀中毒になる可能性が考えられます。

(水銀の気体を吸い込むと神経が侵されて危険です。)

 使用済みの蛍光灯も適切に処理されなければ水銀による土壌汚染などの環境問題を起こす可能性もあります。

 他にも紫外線などを放出しているため、至近距離に長い時間い続けると健康面に悪影響があるかもしれません。



3. LED照明

 LEDはLight Emitting Diodeの頭文字を取ったもので、直訳すると「光を出すダイオード」、すなわち「発光ダイオード」という意味になります。

 ダイオードはp型、n型の2種類の半導体をつないだものです。

 基本的に電源のプラス極側にp型、マイナス極側にn型を接続した場合にだけ電流を流すことが出来るため、交流を直流にするための機器(アダプターやDC電源など)に使用されています。

 p型の部分には価電子の数が少ない物質を混ぜることで通常よりも電子の数が少なくなっているため、所々に電子の入り込める隙間(正孔またはホールと言います。)があります。

 反対にn型の部分には価電子の数が多い物質を混ぜることで通常よりも電子が多くなっているため、所々に余分な電子(自由電子)が漂っています。

 電流の正体である電子はマイナスの電気を帯びているため、電流を流すとマイナス極→プラス極(n型→p型)の方向に引かれていきます。

 一方、ホールは電子とは反対にp型→n型の方向に進んでいきます。

(電子がプラス極に近いホールに移り、その電子のあった場所に新たなホールが生じます。そのため、見かけ上ホールがマイナス極に移動しているように見えます。)

 すると電子とホールはp型とn型の境目付近でぶつかり合います。

 この時にエネルギーが放出され、それが光になります。

 発光ダイオードは紫外線や赤外線が非常に少なく、白熱電球のように熱くはなりません。

 熱効率が良いので、消費電力も白熱電球や蛍光灯と比べて低いです(数W程度)。

 また寿命が非常に長い(普通に使用した場合で20年くらい)のも大きな特徴です。

 欠点は、電球や蛍光灯と比べて暗いことが挙げられます。電球や蛍光灯並みの明るさのものもありますが、その場合は値段が高いです。

(それでも価格競争などで段々安くなってきています。)


※以上の内容はウィキペディアや「チャート式シリーズ 新物理II」の本、さらにはYahoo! JAPANで色々とキーワード検索をしながら調べたものです。

 かなりたくさんのサイトから情報を集めたため、サイト名は割愛させていただきます。



 ここまででは白熱電球、蛍光灯、LED照明のしくみについて色々と書きました。

 また、消費電力が白熱電球>蛍光灯>LED照明であることにも触れました。

 ではこれらの3つを比較した場合、どれくらい使えば金銭面で得出来るのか、また二酸化炭素排出量にどれだけの差が出るのでしょうか?

 私はそれについても調べてみることにしました。

 なお、それぞれ白熱電球と同じソケットにはめるという設定で比較するため、蛍光灯は電球型蛍光ランプに、LED照明はLED電球に置き換えて考えることにします。

(※以下に記載する白熱電球、電球型蛍光ランプ、LED照明の比較内容は、私が家電量販店で見つけた資料をもとにしています。また、1kWhあたりの二酸化炭素排出量は「III 家電製品から出来る二酸化炭素削減法」の値(450g/kWh)を使っています。)


 各照明機器(全て40W型)を1日6時間、年間2000時間使用した場合の比較


1. 白熱電球

 消費電力:40W

 寿命:1000時間(6ヶ月)

 価格:およそ150円

 年間の電気代:1580円(1ヶ月あたり約131.7円)

 年間の二酸化炭素排出量:0.04kW×2000×450=36000g(36kg)



2. 電球型蛍光ランプ

 消費電力:8W

 寿命:6000時間(3年)

 価格:およそ1000円

 年間の電気代:350円(1ヶ月あたり約29.17円)

 年間の二酸化炭素排出量:0.008kW×2000×450=7200g



3. LED電球

 消費電力:6.4W

 寿命:40000時間(20年)

 価格:およそ5000円(価格は段々安くなってきています。私は家電量販店で2000円程度のLED電球を見かけたことがあります。)

 年間の電気代:280円(1ヶ月あたり約23.33円)

 年間の二酸化炭素排出量:0.0064kW×2000×450=5760g


 白熱電球は値段が一番手ごろですが、電気代と二酸化炭素排出量がかなり多いです。

 電球型蛍光ランプは多少値段がかかるものの、使い続ければ値段の面で最も有利と言えます。

(ただし、蛍光灯はここで取り上げた電球型蛍光ランプより消費電力が多いです。)

 LED電球は電気代が最も安く、二酸化炭素排出量が最も少ないですが、現段階では全体的に値段が高いため、購入に関してちょっと勇気がいるかもしれません。

 ここで私は電球型蛍光ランプとLED電球をどれくらい使い続ければ値段の面で白熱電球より得になるのか計算してみました。


 白熱電球

 1個150円の白熱電球は購入してから6ヶ月で1個目の電球に寿命がくる計算になります。

 それを考慮して費用を計算した場合、購入後の電気代は次のようになります。

(1ヶ月あたりの二酸化炭素排出量は3000gになります。)

 1ヶ月:281.7円(=150+131.7)

 2ヶ月:413.3円

 3ヶ月:545円

 4ヶ月:676.7円

 5ヶ月:808.3円

 6ヶ月:940円(ここで1個目の電球の寿命がきます。)

 7ヶ月:1221.7円(2個目の電球を購入)

 8ヶ月:1353.3円

 9ヶ月:1485円

 10ヶ月:1616.7円

 11ヶ月:1748.3円

 1年:1880円

 2年:3760円

 3年:5640円


 電球型蛍光ランプとLED電球

 それぞれ1個1000円の電球型蛍光ランプ、1個5000円のLED電球を購入します。以降は電気代(電球型蛍光ランプは29.17円、LED電球は23.33円)を足していくことになります。

(1ヶ月あたりの二酸化炭素排出量は電球型蛍光ランプ:600g、LED電球:480gになります。)

 このような形で計算をしていった場合、電球型蛍光ランプは7ヶ月で白熱電球より得になります。

(7ヵ月使用した場合の電球型蛍光ランプ:1204.2円、白熱電球:1221.7円)

 また、LED電球は3年2ヶ月で白熱電球より得になります。

(3年2ヵ月使用した場合のLED電球:5886.7円、白熱電球:5903.4円)


 以上の情報が、今後皆様が照明機器を購入して使い続ける時の参考になればと思います。

 なお、蛍光灯はさすがにLEDに変えようがないので、値段や消費電力(二酸化炭素排出量)、寿命などを見た上で購入していただければと思います。

 白熱電球は電気代と二酸化炭素排出量こそ多いものの、単価が安いため、まだまだ家電量販店に並んでおり、現役で活躍しています。

 しかし、白熱電球はこれから衰退の一途をたどっていくのは間違いありません。

 私の好きな歴史上の人物、エジソンの発明品として有名な白熱電球が、この世から段々姿を消していくのは寂しいですが、これも時代の流れだと思います。


 冒頭でも書きましたが、照明機器は私達の毎日の生活で欠かすことの出来ないものです。

 それ故に、二酸化炭素排出量を0にすることは不可能ですが、工夫し次第でたくさんの二酸化炭素を削減することが出来ます。

 これから照明機器を買い換える時には、消費電力の少なく、寿命の長いものにしてみましょう。

 特に、これまで白熱電球を使っていたところを、電球型蛍光ランプやLED電球に置き換えれば効果的に二酸化炭素を削減することが出来ます。


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