I はじめに 〜チーム・マイナス6%のメンバーとして〜
私達は今、テレビ番組やCM、新聞などで、二酸化炭素削減やエコ活動、地球温暖化に関する報道を、毎日のように耳にしています。
これは、真剣に二酸化炭素の削減に取り組んでいかなければならないことを意味していることに他なりません。
私達は、これまで様々な技術の開発によって、世界の人達がうらやましがるほどの豊かさを手に入れました。
しかしその一方で、エネルギーの消費も増え続け、それに伴って二酸化炭素排出量も増加してしまいました。
日本は1990年における二酸化炭素排出量は約11億4千4百万トン、二酸化炭素以外の温室効果ガスも合わせると12億6千1百万トン(CO2換算)でした。
京都議定書では、日本は2012年までに1990年の排出量からさらに6%削減することになっています。
つまり、私達はこれから二酸化炭素排出量を10億7千5百万トン、二酸化炭素以外の温室効果ガスも合わせると11億8千5百万トン(CO2換算)にしなければなりません。
しかし、現実には二酸化炭素の排出量は増え続け、2004年には12億8千6百万トン、2005年には12億9千7百万トンになりました。
二酸化炭素以外の温室効果ガスも合わせた場合、合計排出量は2004年には13億5千5百万トン、2005年には13億6千4百万トンになりました。(参考資料:図解 CO2貯蓄テクノロジー)
この状態から京都議定書の目標を達成するためには、二酸化炭素排出量の場合、2005年の値から17パーセントを削減しなければなりません。
つまり、排出量を6分の5にしなければならないことを意味しています。
決して簡単に達成出来ることではありません。
それでも、テレビのインタビューや、新聞のコラムでは、
「もっと行政がしっかりしてくれないと。」
「一番多く排出しているのは産業なんだから、まずそちらが先決でしょ。」
という意見を耳にすることがありました。
私からすれば、このご時勢でそんな他人任せなことを言っていていいのだろうかと、疑問に思いました。
今、多くの技術者の人達はいかにして二酸化炭素を削減しながら製品を開発出来るのかという課題に積極的に取り組んでいます。
実際、エアコンの消費電力は以前と比べて約40%、冷蔵庫は約75%も減ったそうです。(参考資料:箕輪弥生著 あなたにもできる! 環境生活のススメ)
彼らはきっと私達が考えている以上に地球温暖化問題を深刻に受け止め、懸命に二酸化炭素削減に取り組んでいるはずです。
しかし、それだけの努力をしても、私達の意識が変わらなければ、京都議定書の達成など夢のまた夢に終わってしまうことでしょう。
地球温暖化が着実に進行している以上、私達はもはや妥協の理由を述べている訳にはいきません。
実際、大気中の二酸化炭素濃度は、産業革命前では280ppm(0.028%)でしたが、現在370ppmです。
これは200〜300年前と比べて、濃度が約1.32倍になったことを意味します。
今、世界の会議では、二酸化炭素をどうやって550ppmに抑えるかということが話し合われています。
正直言って、370ppmの今の状態でも、世界各地では氷河が小さくなったり、熱帯にしかいなかった生物が北上してくるなど、様々な現象が発生しています。
550ppmというのは様々な対策をした結果、増加を極力抑えた時の値であって、最悪のケースを想定した場合ではもっと増えてしまいます。
専門家の現段階における予想では、二酸化炭素排出量はその最悪のケースを上回る勢いで増えています。
また二酸化炭素は比較的水に溶けやすい物質で、水に溶けると炭酸になって酸性を示すため、海や湖に吸収され、pHが酸性側に傾いてしまうといったことも考えられます。
現に、世界の海水は産業革命前と比べて、pHが0.1下がったという報告があります。
pHが0.1下がるということは、水素イオンの濃度が約1.26倍になったということを意味します。
1.26倍くらいと思うかもしれませんが、実際にはすでにさんご礁が死んだりする報告がなされています。
また、海洋生物の殻が溶けてしまうなどのことが懸念されています。(参考資料:村沢義久著 手にとるように地球温暖化がわかる本)
ですから、私達は一人一人が真剣に二酸化炭素削減に協力し、地球温暖化を何としても阻止しなければなりません。
しかし、まだはっきりとした実感がわかない人も多いのではないかと思います。
また、何かしたいけれど具体的に何をしたら分からないという人も多いのではないかと思います。
私は、そういう人達のために何か出来ないだろうかと考え、色々情報集めをしました。
その結果、次のような結論を出すに至りました。
私達は努力次第で、一人につき二酸化炭素排出量を1日1kg削減することが出来ます。
1kgの二酸化炭素を27℃、1気圧における体積で表すと559リットルにもなります。
(0℃、1気圧では509リットルです。)
559リットルの二酸化炭素といえば、縦1m、横1m高さ59cmの直方体にあたります。
つまり、あなたの1日の努力によって、大体こたつの中の空間に相当する量の二酸化炭素を削減することが出来るのです。
私自身も2008年に「今日から出来る二酸化炭素削減法」を執筆してから、本当に1日平均1kg以上の削減に成功しました。
さらにその後、車を燃費のいいものに変えたこともあって、排出量をさらに削減することが出来ました。
もちろん、これがゴールではありません。これからもさらに削減していくつもりです。
皆様も今日からチームマイナス6%のメンバーとして、二酸化炭素削減に協力していきましょう。
きっとあなたにも出来ることがあるはずです。