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対策を考える2 俺は簡単に死ねないぞ


 専用キャンプに戻った俺は、専用通路の真ん中にへたり込み、心底ほっとした。


 最初、「ここまで本格的なものにしなくてもいいんじゃ?」なんて思っていたんだが、そりゃ大きな間違いだった。

 やっぱり、落ち着ける安全な場所があると、違うわー。


 そもそも、人間は寝ないといけないしな。




「戻ると、ほっとしますね」

「あ、ちょうど今、俺もしみじみそう思ってたところ」


 微笑むマイに、俺は何度も頷く。特に魔獣の大軍に襲われかけた、直後だしな。

 ついでにチュートリアルの姿を探すと、例によって、通路向かって左側の先頭の店にポツンと座っていた。


 ただ……なんかこう、違和感がある。

 目を細めて用心深く近付くと、その違和感の正体がわかった。




「おろ?」


 なにかの間違いかと思い、よくよく観察したが……いや、間違いじゃない!


「あんた、ちょっと成長してないか!?」


 金髪碧眼に、似合いまくりのゴシックドレスは同じなんだが、明らかに最初に観た頃より、年齢的に上に見える。

 前が十歳前後とすれば、今は十二~十三歳くらいに見える。

 まあ、小学校高学年か、ギリ中学生?


「それについては、お二人――特に、ハヤトのお陰ですね」


 夜店の売店じみた店の椅子に座ったまま、彼女は低頭した。


「信徒であるハヤトの力が強大化すれば、当然、私の神力も補強されますし。元の姿に戻るまではまだ遠いですけど、ひとまずほっとしました」


 信徒の力は女神の力でもある……てなことを聞いたような気がするな、そういえば。


「あ、それはそれとして!」


 俺は慌ててチュートリアルに頼んだ。


「約束してるし、エレインを蘇らさないとっ。スキルの取得、頼む!」

「わかっています」


 チュートリアルは、なだめるような目つきで俺を見た。


「ただその前に、お二人とも現在のステータスを確認しておいてください。これも、特にハヤト。今まで、ほとんどステータス見ずに戦ってたでしょう? 本来、HPとMPは、視界の隅に出して、いつでも確認できるようにするものですよ」

「あ、そうか……戦っていて、知らないうちにガツンと減ったら、まずいもんな。幸運にも、最初の方で怪我したくらいで、それからは割と順調だったけど」


 ぶつぶつ言いながら、俺はお勧めに従ってステータス画面を立ち上げた。

 まず最初に自分の基本ステータスを調べると――。



【ハヤト:レベル38(エクストラクラス) HP5896 MP5201】



 その下に例によってずらずら攻撃力のSTRやら、VIT(ヴァイタリティ? 生命力らしい)やらの数値が続く。


 俺は特に、STRとAGI(敏捷性)が、飛び抜けて高いようだ。

 一番重要そうな部分が割合優秀そうで、有り難い!





「う~ん……数字だけ見れば、強そうに見えるな、俺。マイは?」


 隣を見ると、またしても困惑顔で「レベルは一気に28まで上昇してます……大してサポートもできてないのに、申し訳ないですね」などと言う。


「いやいや、実際マイは役に立ってくれてるよ。助かってる!」


 お世辞じゃなくて心から述べ、俺は一通りの確認を終えた。

 ちなみに、どういう基準で上がるのかさっぱりだが、スキルポイントも5000以上貯まってたりする。


「死者復活のスキル、取得できそうか? あの子もまじえて、あのステージの攻略を相談しないといけないしな」 


 これはチュートリアルに訊いたのだが、チビ女神様は頼もしく頷いてくれた。


「問題なく。ではお二人とも、新たな魔法とスキルを選択してください」




 死者復活スキルを使うと、どんな凄いことが起きるんだ? と思って俺は密かにドキドキしていたが、思ったより事務的に済んだ。


 具体的にはスキルを取得した後、「死者復活待機リスト」からエレインを選び、選択するのみである。


 待つほどもなく、通路の真ん中に光が収束して弾け、エレインが姿を見せた。

 いきなり、「こんなのないわあっ」と叫んだのにはびびったけれど。

 多分、死に際の感想なんだろうな、今の。蘇って、意識が繋がったわけだ。


 まだ頭がはっきりしないのか、「え、ええっ!?」なんて声を出してるが。


 それにしても、本当に死者復活が可能だったとは……こりゃ、他に同じスキル持つ奴が見つかるまで、俺は簡単に死ねないぞ。


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