表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

62/109

魔獣達と複数パーティーの大乱闘1 地下鉄への入り口が!

 それどころか、今も背中の方でマイがゴソゴソと(多分)今まで着ていた忍者服と下着をかき集める音がして、なんだか余計に妙な気持ちになったりして。


 もちろん、油断せずにマップは開いて警戒はしているが、気合いが入らないこと、おびただしい。

 脳裏に浮かぶのは、しゃがみ込んだ時のマイの、細身のくせに曲線豊かな肢体と、足元に落ちてた純白のブラとパンティーだけだったりする。


 恋愛カースト最下層だった俺には、目に毒だ。


 だいたい、レース付きとかアダルトですげーな。さすがに、安物は穿いてないんだなぁ――などと、茹だった頭で考えていると、マイが小さな声で「もう、いいですよ」という声がした。

 大いに期待して振り向いたけど、あいにくもう忍者服に戻っていた。


 ……がっかりすぎる。

 いや、他の野郎がアレ見ると思うと腹立つから、これでいいっちゃいいのか。





「一応、下には着てるんだよな?」

「……はい」


 試しに尋ねると、恥ずかしそうに俯いた。

 アイスドールのこんな表情は、滅多にお目にかかれないだろう。


「そ、そう、デザインはともかく、鎧としては魔力付与の高価なものだろうし、もったいないしな。見た目じゃ全然わからないし、まあ、めでたしめでたしか」


 あの、競泳水着みたいな姿を直接観た俺は、もう忘れないしなっ。


「あうっ!?」


 ふいにマイが妙に色っぽい声を上げて、俺はまたどきっとした。


「どうしたのさ!」

「その……ボディスーツが不意に収縮して、ぴったりのサイズになったみたいで」

「なんという便利な」


 感心したが、よく考えると、俺のブレストアーマーも同じである。

 やたらとサイズぴったりだが、最初から偶然そうであるはずないだろう。これも、こちらのサイズに合わせてくれたようだ。


 これも、魔力付与防具の恩恵かもしれない。




『それにしても、不可解です』


 チュートリアルが考え深そうに呟く。


『あのやり方で装備して、あんな風に下着が落ちたりすることはないんですが』

「混沌の悪戯じゃないのか?」


 俺は肩をすくめた後、ふと気になってマイを見た。


「下着は、あのボディスーツ+3の下に着けてるとか?」

「いえ……あのスーツ着てる以上いらないと思ったので……BOXに収納しちゃいました」

「そうか」


 そう言われると、マイの胸元が気になったりするが、なるべく考えないようした――まあ、かなり難しいにせよ。


「よし、それじゃ行軍再開といきますか」


 今になって照れてきて、俺はさっさと歩き出すことにした。

 ウイングドラゴンと宝箱で、もうだいぶ時間をロスしたし。






 用心のため、歩き出してもすぐにはマップを解除せず、視界の隅に出しっぱなしにしていた。

 それでわかったのだが、プレイヤーはともかく、生き残りはやはり、そこそこ残っている。まあ、以前の人口から比べれば全然少ないのは確かだが――固まっているらしき青い光点(人間)が、散見できるのだ。


 その大半が、どこかの地下室、あるいはどこかの店の地下フロアか、さもなくば高層ビルの上層階にいるらしい。

 タワーマンショの横を通った時なんか、遥か上の方で窓を開けてこちらを窺う人達を、何度か確認した。


「やはり、階段を塞いでバリケードを作っているのでしょうか」


 同じくマップを見ていたマイが、独白した。


「……多分ね」


 俺は同意したが、遠くに見えるビルを指差してやる。


「ただし、空にもさっきのみたいなのがいるから、ああいうこともあるわけだ」


 路地二つほど向こうのビルだが、最上階近くがギタンギタンに破壊されているのだ。おそらく、さっきのドラゴンみたいなのが、飛び込んで暴れまくったということだろう。


「絶対安全な場所なんかないわけですね」


 心配そうに彼女はため息をついた。

 まあ、助けに行きたくても、現実的に無理だが。

 救いを求める人は幾らでもいるだろうけど、俺達は俺達で、この馬鹿騒ぎを終わらせる目的があるのだから。


 希望も皆無じゃない。

 本当に願いを叶えてくれるというのなら、その時に――。

 俺の夢想は、突然のマイの声に破られた。


「ハヤトさん、マップを見てくださいっ。地下鉄への入り口が!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ