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宝箱の中身2(終) ビキニ鎧の、派生タイプかな?

 俺の呟きに、チュートリアルが答えた。


『どうやら、開けたと同時に、そちらのBOX内に入ったようですよ。しかも、ちゃんとハヤトの分とマイの分の両方があります……ちゃんと開けたプレイヤーに対応しているようで、驚きました』


「ほほう?」

「便利なものですね」


 チュートリアルの声は不満そうだったが、俺達にしてみりゃ、二人分あるのは嬉しい。揉める心配ないしな。

 早速、俺はステータス画面を開き、BOXを確認する。


 ちなみにBOXというのは、現在装備していないアイテムなどを、一時的に保管する場所だ。小型の倉庫のようなもので、容量に限界はあるが、手で持ち運ぶ必要がないので便利である。





「あったあった、本当にあった! 俺のは胸の部分を覆う、部分鎧らしい。ステータス上では、ブレストアーマー+3ってなってる。ということは――魔力付与の鎧っ」


 実際にBOXから出して手にして見て、俺はかなり満足した。

 色は目立たない黒だし、つやつや光ってていかにも性能高そうだし、なにより今所持している魔剣の+1より、魔力付与レベルが上だっ。


 魔力付与+1の今の刀だって、引き替えにごっそりライフボール持って行かれたのに。


「これは役に立ちそうだなっ。どっかで装備してみる」

『それなら、アーマーを胸の近くに持って行って、「装備」と声に出せば、瞬時に実際に装備できますよ』

「本当か? いや、便利だなあ」


 またもやチュートリアルが教えてくれて、実際そのやり方に従い、一瞬で装備できた。

 黒シャツとブラックジーンズという格好で歩き回っていたが、これだと防御のための装備が皆無だったので、これでようやくまともな鎧を身に着けたわけだ。


 いや、魔法を何種類か購入したせいで、買いたくてもそこまでライフボールが残っていなかかったためだが。

 この黒いブレストアーマーは色が服と合ってるし、しかも胸部鎧と言いつつ、胴体はほぼへその部分までカバーしているので、かなり心強い!




「で、マイは――て、うわー」


 思わず唸り声が出た。

 いや……彼女が複雑な表情で両手で摘まんでいたのが、サテン地かと思うほどきらきら光る、黒いレオタードだったので。


 しかもこれ、生地うっすいように見えるが。

 黒い色とはいえ、いろいろ透けてまずくないのか。


「いわゆるビキニ鎧の、派生タイプかな?」


 自信はないが、一番近い架空鎧を思い出して訊いてみた。


「い、いえ、そんな名前じゃないですね」


 マイはそんな鎧など聞いたこともなかったらしく、慌てて首を振った。


「ステータス上では、ボディースーツ+3となっていて、分類上ではこれも鎧です。注釈に……彼氏も喜ぶ、えっちな鎧?」


 うっかり棒読み口調で読み上げた後、どっと顔をしかめるマイである。清純な女の子が、クラスの男子がたまにするようなエロ話を聞いてしまった時の反応、そのままだった。

 これが邪神が書いた注釈なら、かなり趣味が悪い。

 気まずいだろうから、俺は何事もなかったように頷いた。


「つまり、それも魔力付与の鎧――の一種だな!」


 俺は手を叩いて絶賛してやった。

 いや、褒めまくったら実際に装備してくれて、俺が眼福じゃないかと思ったので。

 俺の期待に充ち満ちた顔を見て、マイは大いに困り顔になったけど。


「……これ、今着ている服の下に着るには、どうすれば?」


 下かよ、つまらんっと俺は一瞬、思ってしまった。

 しかしチュートリアルもあっさり賛成し、『同じく服のそばで、装備と声に出せばいいでしょう。自然と肌着のように装備されるはず』などと言いやがった。

 裏切り者めぇえええ。


 マイはほっとしたように俺の時みたいに「装備」と小さく声に出したが……どうやら、このボディースーツを入れた混沌とやらは、俺達が思う以上に性格悪かったらしい。


 というのも、俺の時のように自然と装備されはしたが……その代わり、それまで着てた忍者服と下着が全部外れて落ちた。

 計らずも、願い通りにボディスーツ(鎧)姿を見られた俺は嬉しかったが、一瞬置いてマイが小さく声を上げ、胸押さえてしゃがみ込んでしまった。


 おまけに、忍者服と純白のレース付きパンティーと、カップの深そうなブラのセットが足元に落ちてたりして。


 さすがの俺も、慌ててわざと背を向けたけど、もう脳裏に焼き付いてしまったな。

 いやあ、大人っぽい下着だった。多分、一生忘れない気がする。 


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