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では、カウントダウン開始

 俺達どころか、周囲の連中もお通夜みたいな有様だったが、俺は待っている間、おかしな感覚に悩まされた。




「どうかしましたか?」


 顔をしかめて一方向を見ている俺に気付き、マイが尋ねる。


「いや……この方向から」


 わざわざ、斜め向こうを指差した。

 とはいえ、巨大な円陣になって待機しているため、指差した方のパーティー達まで、あきれるほど距離があるのだが。


「なんというか、圧力みたいなのを感じる。みんなは感じないか?」


 俺は他の二人にも訊いたが、反応は乏しかった。


「特になにも感じませんねぇ」


 チュートリアルが首を傾げ、エレインが「気のせいじゃない?」と軽く言う。真剣に俺が見てる方を観察しているのは、マイだけだった。


「マイはどう?」

「私もなにも感じませんが……ただ、あそこ」


 俺とほぼ同じ方向を指す。


「パーティーじゃなく、ソロのプレイヤーがいます」

『ソロ!?』


 俺達の声が見事に重なった。

 そこら中の世界から、勝ち残った奴らばかりが集まるこの第三ステージに、ソロ(一人)プレイヤー!





「ああ、あの黒ずくめの奴だなっ」


 驚いた俺は、すぐさま問題の戦士を見つけた……ていうか、向こうもこっちを観ているような。

 きになったが、あいにくそこでタイムアップとなった。


『さて、異なる世界から集いし戦士達よ。いよいよ第三ステージの開始だ。この日本という国、そして東京全域に多重世界を構築し、ステージの戦場とする。ルールは前に通達した通り! 他のパーティーが全員倒れるか、それともステージの最深部まで辿り着くかだ』


「最深部!?」


 俺は思わず声が出た。


「それはステージの説明になかったよな?」

「ありませんでしたっ」


 強張った顔でチュートリアルが頷く。


「最深部ということは、地下でしょうか……いえ、どのみちこの都内の次元の狭間に構築したステージでしょうから、あまりそういうのは関係ないかもですが」





『スタートはまず、おまえ達が円陣で待機する中央だ』


 俺達の雑談に関係なく、混沌の説明が続く。

 言葉と同時に、本当に中央にマーカーみたいな赤い印が見えた。

 丁度、円陣の中央に当たるので……まあ、あそこまで数百メートルはあるな。、


『中央の赤いマーカーの下に、フロア1へ通じる入り口がある。まずは、私の合図と共に、そこを目指して一斉にスタートしてもらおう……ただし!』


 混沌の声がやたら楽しそうな響きを帯びた。


『私が定める制限時間以内にたどり着けなかったパーティーは、その場で全滅することとなる。仮に制限時間内でも、たどり着くまで、天から容赦なく炎が降り注ぐ。どれだけの時間があるかは教えぬが、多分、大多数の者が考えるより、制限時間は短いぞ? ここで何割かは消えるであろうな。くっくっく!』


 顔を見合わせる俺達をよそに、混沌はまた笑った。


『では、スタートまでのカウントダウンを開始する。先に言っておくが、カウントダウン終了前に飛び出すと、その場合も死に直結するからな? 気を付けるがよい。では、カウントダウン開始。10、9、8――』





「うわっ、えんがちょ!」


 思わず声が出たっ。


「カウントダウン始まった! ここは、俺が加速してみんなを運ぶっ。制限時間不明な以上、慎重に行きたいからなっ」

「そ、そうね、スタートで死にたくないわっ」

「お世話になりますっ」


 おおっ、マイが真っ先に背中におぶさった! 早いっ。


「ずるいわよおおおおおっ。せめてじゃんけんっ、いえっ、あみだでっ」

「女神の私が、小脇に抱えられる役ですかっ」


「二人とも、もっと危機感持てっ。あと三秒だぞっ」 


 マイを背負った俺は、喚いた。

 あみだなんか、してる場合かあっ。


「いいからこっちへ寄れって、二人を左右それぞれに抱えて、加速に入るっ」


 俺が喚いて、ギリギリ三人を運ぶ体勢ができた瞬間、混沌のカウントダウンが、ゼロを宣告したっ。


『――ゼロっ! よし、スタートだっ』


 その瞬間、俺は新たにバージョンアップした加速スキルを使った。


「加速、レベル8っ!」


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