一話
僕達は、その日も授業を受け、昼飯を食べ、午後の授業を受け、帰宅する……という当たり前の日常を送っていた。
僕達の日常は、突然に壊された。
「……!」
「蓮くん!」
「真侑!」
菊池さんと別れ、真侑と帰宅途中、突然、魔法陣的な幾何学的文様が出現し、僕達は取り込まれた。後に、男女中学生神隠し事件と呼ばれた……らしい。
強大な風圧が掛かって来たが、互いにその手を離す事はなかった。
リ・アーク某所
「“我らの世界を救い足る勇者よ! 破滅から救いたまえ……、勇者召喚”!」
ベタな詠唱と共に魔法陣が発動し、眩い光を放った。
「今度は、我々の期待を裏切る事無いように、隷属術を掛けるべきでしょうな……」
「男であれば戦わせ、女であれば我々の○奴隷と為すが良いな」
「(この人達、普段は平和とか国民の為とか言っちゃってるけど、自分たちの事しか考えてないじゃん! って知ってたけど! 世界を破滅させるのは、お前達だっつうの! 寝言は寝てから言え!)」
男達の後ろに控える少女は、心の中で突っ込み入れてた。
「これは、これは、輝かしい未来を授けて下さる勇者様、私達にお力添えを……(少年は戦闘奴隷に、少女はなかなかの上玉だな!)」
媚び諂う男達に対して、現れた黒髪の少年と少女は唐突に告げた。
「何、言っちゃってんの? 僕達の日常をぶっ壊してくれちゃったツケ……!」
「しっかりと賠償して貰うからね! 奴隷にしようとかバレバレだから!」
「心配ご無用!」
「痛いのは一瞬だけだからね。私はやらないけど!」
「待て! お主達!」
止めようとする男達。
「おじさん達の心の声は十分に聞こえたからね?」
「“暗黒爆炎破”!」
どす黒い、禍禍しい炎が周囲を包み込み、爆発した。
「やったよ、真侑!」
「さすがだね、蓮くん! デウスのおじさんのお蔭だね!」
「そうだね。一応、創生神様、自称なんだけど……。とにかく、これからも二人、力を合わせて頑張って生きて行こう」
「うん。二人で頑張ろう♪」
「「オー!」」
唯一、防御魔法で自身への被害を抑えた少女は気絶しながら思った。
「(この二人、魔王より最凶なんじゃない?)」