三話
王都への旅路二日目……、予定通りに行けば、夕方にはアクアシティに到着予定である。
「蓮くんと二人っきりでこんなに過ごすなんて、今まで無かったから、とても嬉しいよ!」
真侑は手を繋いで嬉しそうに横を歩いている。
「そうだね……」
僕も同意だった。
「そうなんだよ、あの人達! いつも、私と蓮くんの貴重な時間をぶち壊してばかりだったよね?」
興奮して来たのか、毒を吐く真侑……。
「仕方ないよ、真侑……。多分、あの人達は、現実を見る事、認める事が出来なかったんだ、真侑を偶像崇拝に位置づけていたんだろうさ……。よくあるやん? アイドルは恋愛しない、してはいけない、とか、自分はアイドルに好かれているんだ、みたいに思い込み強い人達……」
柄にも無いことを言って、宥めすかす。
「確かに……」
納得して、興奮を収めてくれた真侑……。
「まあ、僕は、特定の集団だけを救う神とか、その神を信じてない者達は邪教だ!とか言っているのは信じないからね……」
「そうだね! 蓮くん、運命とか、試練とか信じてないよね……」
「だね!」
僕達は、予定通り、アクアシティに到着する事が出来た。
まあ、途中、ビッグタートル(デカイ亀)、アリゲイツ(デカイ鰐)、ニードルホーク(嘴が針の様に尖って鋭い鷹)等の水辺の魔物が出て来た、まあ、問題無かったけどね……。
そして、入市の手続きを終えると、ギルドに向い、素材を売った。先ほどの魔物は、ゴブリン等より、倍以上の買い取り価格だった。まあ、それを見た時のギルド職員は驚きの顔をしていた。これらの魔物は、Dランクのパーティー又は、Bランクの個人で漸く一体撃破できる位の強さらしい……。それをFランクの二人が一体どころか、各20体程討伐して、魔石を持って来たものだから、驚いて当然というものだ。まあ、Fランクというものは、登録したばかりのランクであって、実力に伴うランク付けではないから仕方ない。
素材を売った僕達は、早速、宿を取り、休息を取った。
この街の郊外には、グレードディアモール湖という巨大な湖があり、水の宝庫という事が、この街の名の由来になっているという事である。王都を目指す現在の僕達に、観光している余裕は無いので、見る事は出来ないけれどね……。