表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/12

一話

「蓮君、おはよう!」

笑顔で挨拶しながら、毎度、飛びついて来るのは、桜木真侑、保育園時代からの長い付き合い、いわゆる幼なじみ、というやつである。まあ、毎朝、飛びついて来る事になったのは、彼女の友達である菊池奈美氏の助言によるものらしい。彼女曰く、

「好きな男は、いつも掴まえて置かないと逃げちゃうぞ♪」

との事である。

桜木真侑は、黒髪を耳が隠れる位迄伸ばした、いわゆるかわいい系の顔立ちで、小柄で笑顔もかわいいという事で、ロリ○ン系・オ○ク系の男子のみならず大人に迄目をつけられ、付きまとわれ、が多く、僕は昔から用心棒をやっていた。


「真侑たん!」

と叫びながら近寄って手を引っ張って行こうとしたり、

「真侑たんは僕の物だ!」

と、僕を学校裏に呼び出し、集団で殴りかかって来たり、トラブルには事欠かなかった。

僕自身は、小さい頃から空手・剣道・柔道の道場に通っていたし、すごく身体に馴染むようで、めきめきと上達したので、相手にならなかった。前置き、長かったね……。

「おはよう、真侑」

少し小柄な僕よりも小柄な彼女は、小動物みたいにかわいらしい。

「はあ、蓮君の香りだ♪今日も1日幸せに過ごせそう」

「それは良かった」

ただ、少し変態な所もある。

「いつまでも、イチャイチャしてないで、学校行くよ、二人とも」

声を掛けて来たのは、件の菊池奈美氏だ。

「そうだね。蓮君、行こうよ♪」

「うん、行こうか」

僕達も学校に向かう。僕達はもう中学生だが、やはり、真侑は手を離さない訳で……。

「相変わらず、熱いわね……、妬けるわ」

呆れたように呟く、菊池氏……

「何言ってんの。菊池さんだって、この前……」

「うん! イケメンな男子と歩いてたよね?」

「そうだね。天は二物も三物も与えたか!?という、イケ面、成績優秀、スポーツ万能、の三拍子揃った高城悠哉君だったよね」

「うん、うん。腕を組んで……」

「わかった、わかった。あれは偶々よ」

途中で遮った菊池さん。と、まぁ、話している間に、学校に着いた。そして、玄関で靴を替え、教室に向かう……。

平和な日常は、容易に破壊される……。それは僕自身にとって当たり前に感じている事だったが、何故そう感じるのかは、この時点では判らなかった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ