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癖が強い
その日の夕方、その子はやってきた。
「こちらは今日からこの置屋に入る、高梨柚さんや」
政友さんの紹介を聞いて、私が初めて姐さんと、千晴に会った時のことを思い出す。
「高梨柚です。十四歳。よろしくお願いします」
肌が白くてまつ毛が長くて、かなりかわいい。
「千晴どす。よろしゅうおたのもうします」
「あや乃どす。よろしゅうな」
私たちが続けて挨拶したのだけど。
柚ちゃんは無反応。
「今日からは、うちらが喋ってるような京言葉を喋ってもらいます。最初は大変やと思うけど頑張ってな」
私の言葉をさらに無視。
「柚、返事」
政友さんに言われてやっと
「はい」
返事をした。
「これからは『はい』やのうて『へえ』や」
「へえ」
眉間にしわを寄せて、明らかに嫌そうな顔をしている。
思った以上に癖が強い。




