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戻りたい
「それからしばらくして、政秋が京にいるって、政秋の母上に聞いたんだ」
少し目を伏せて、藤堂さんは呟いた。
「新選組に入って京に来たのも、三割くらいは政秋に会いたかったからなんだ」
私だったら、会いたくない。だってその痛みはあまりにも大きすぎるから。
それでも藤堂さんは会おうとしている。この人の強さが、確かに見えた。
「もう一回、戻れるかなあ」
少しの鼻声。
政友さんも、きっとそうなることを心のどこかで期待してるはず。
「きっと、大丈夫どす。友情はそう簡単に壊れへんもん。
お金と異性が絡んだらわからしまへんけんど」
藤堂さんは笑ってくれた。
お客様のこの笑顔ひとつひとつが私は嬉しくて。
この仕事が結局大好きなのだ。
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それから、政友さんがお座敷に戻ってくることはなくて。
大盛り上がりの新選組のみなさんに紛れて、少し寂しそうな顔をして藤堂さんは帰っていった。




