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平助過去編「大好きだったから」
やけに夕日が綺麗な、稽古終わりのことだった。
道場の裏庭から、陣内とその取り巻きたちの話し声がする。
「あいつに伝えといたぜ」
「これで跡取り息子さまも終わりだな」
跡取り息子さま––––––––。それは確実に政秋のことだった。
心臓が気味悪く跳ねる。
それを合図に俺は館長先生のところへ走った。
「先生、政秋が、陣内に……!」
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「ありがとう。お前はすぐに帰れ」
それから先生はそういうと、陣内を呼びに行った。
本当は俺も付いて行きたかった。しかしこれは先生なりの優しさだから踏みにじるわけにはいかない。
先生のことが大好きだったから、自分は守られた。
先生のことが大好きだったから、大切な人を守れなかった。




