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幸せでありますように
「よかったなあ、帯留めもらえて」
「はい!」
あのあと、帰ろうとしたところで女将さんに声をかけられた。
「よかったら。これもらってください」
手渡された袋の中に入っていたのは、あの帯留めだった。
「実はこれ私が初めて考えた帯留めで、まだ少ししか売れてなくて、あや乃はんがこれを褒めてくれた初めてのお人なんや。
そやから受け取って欲しいんです」
すごく、嬉しかった。
「ほんまにええんどすか?」
「へえ。もらっておくれやす」
本当は、「この帯留めは将来篠原呉服店の看板商品になってずっと受け継がれる」そう言いたかったけど。
知らなかったことを知る喜びを奪ってしまってはいけないと思った。
「おおきに。大事に使わせてもらいます。
うちは、この帯留め絶対人気の商品になると思います」
どうか、篠原呉服店の未来が幸せでありますように。
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