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はじまり
私は音楽高校の一年生。
そう言うとみんな、
「ピアノ弾けるの?」
「ヴァイオリン?」
華やかな楽器ばかり尋ねてくる。
それで、
「長唄三味線」
と答えるといつも気まずそうな顔をされる。
……嫌だった。
あまり有名じゃなくて、それなのにやけに難しくて。
早くやめたいと思ってた。
でも。
三味線が運命を繋いでくれたから、
あなたと私を繋いでくれたから、
今は「長唄三味線」をやっていてよかったと思う。
三味線がこんなに素敵だなんて、初めて知ったんだ。
百五十年のときだって超えちゃうくらい素敵な音楽を、あなたへ−−−−−。
『時を越えた、その先で』