第一話 何でも屋
まだまだこれから構想は練りますが取りあえず投稿します。アドバイスなどあればよろしくお願いします。
一日中賑やかな繁華街の片隅に汚いビルがある、先日の地震でひび割れが如実に現れ今にも崩れそうな風貌である。
そんなビルの真ん中にこれまた汚らしい看板が掲げてある。
《アルガ屋本舗》
一体なんの店なのか名前だけではさっぱり分からないが看板の右下に小さくなんでもやります! と書いてあり繁華街の雰囲気も合わさってか怪しさ満点である。
そんなアルガ屋本舗の入ったビルの前で佇む綺麗な黒髪の女性がいる。
女性は不安げな顔で看板を見つめ、意を決して一歩を踏み出しエスカレーターのボタンを押す。____しかし反応は無い。よく見るとビルの汚さに負けず劣らずの汚い字の張り紙が張ってある。
《故障中、階段登れ》
女性はため息をつき張り紙の指示通りに階段を上がっていく。ヒールの高い靴を履いた女性にはしんどい道のりだ。
そして目的のアルガ屋本舗のドアの目の前まで来た女性。髪を手ぐしで整えてからドアをノックする。
__しばらくすると中から気怠げな男性の声が聞こえる
「新聞ならいらないよ」
汚い事務所お決まりといってもいいようなセリフが帰ってきて女性は思わず頬を緩ませる。
「仕事の依頼をしたいのですが____」
事務所の中が急に慌ただしくなり1分程でドアが開かれる
「いらっしゃいませ。どうぞこちらへお客様。」
先ほどの気怠げな声が嘘のように渋い声を響かせる見た目は若いのに無精ひげを生やした男が現れる。お気づきかも知れないがこの物語の主人公アルガである。
「いやーこんな若くては美人なお客さんは久しぶりですよ。こんな汚いソファーに座らせるのは申し訳ない、宜しければ私の膝の上に座って頂けますでしょうか?」
「こちらの汚いソファーで結構です。」
女性は自分の太ももを叩いてアピールするアルガを一瞥してからソファーに座る。
「さっそくなんですが看板になんでもやります!って書いてあるってことは何でも屋さんなんですよね?」
「さようでございます!迷子のペット探しから殺人事件の捜査までなんでもござれでございます」
アルガは親指を立てて爽やかな笑顔を浮かべる。
「ではさっそくなのだけれど人を殺して貰えるかしら」
アルガはキョトンとした顔で立てた親指を引っ込めることすら忘れて女性を見つめる。
「ビックリするのも無理はないと思いますが。本当の話です。殺して欲しいのは私の元夫です。」
女性はアルガを見つめ返し真剣な顔を向ける
「正当な理由がおありですか?何でも屋っても俺自身が納得いかない仕事は引き受けない主義なんですよ。」
ヘラヘラした顔を引き締めアルガも女性を真剣な面もちで見つめ返す。
「____もちろん、元ですが夫は私の弱味を握っています。というのも夫は夜の営みを撮影する趣味があり当時は夫婦だったので気にも止めていなかったのですが別れてからデータの消去を依頼したのです。しかし夫はデータを売りさばくと言ってきました。消してほしければ1000万用意しろと……そんな大金用意できるはずもなくあんな霰もない姿が流出するぐらいならと先日ホテルの一室に呼び出して殺そうとしました。しかし夫は3人引き連れて現れ私はそこで暴力を振るわれまた撮影されてしまいました。」
女性は肩を震わせ涙を流し始めた。
「もう自分ではどうすることも出来ないと、そう悟ってしまい途方に暮れていた時にこの看板を見つけ、藁にもすがる思いで……」
「奥さんの気持ちよーっく分かりました。この何でも屋アルガ全力をもって」
『その依頼、引き受けます!!』
アルガは満面の笑みで親指を立てた。
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