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赤雪姫と白雪姫
赤雪姫。
それが彼女につけられた名前。
白雪姫の童話には語られていない、哀れなもう一人の白雪姫だった…。
少女は、本来、白雪姫の主人公・白雪姫だった。だが、病は突然発症したのだ。
幻覚を見てしまう。
薬をやった訳ではない。
後天性の病気なのだ……。
城の中の者共は、皆その事を隠し続けてきた。
しかし、もう限界だったのだ。
白雪姫を城の奥深くに閉じ込めてしまったのだ。
新たに誕生した白雪姫。
この少女こそが、童話に出てくる本物の主人公の白雪姫だ。
成長してゆくに連れ、たいそうな美人になってゆく少女は、周囲からもとても大切にされていた。