表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

桃の節句の梅物語

作者: 白鷺雪華
掲載日:2026/03/03

本日は3月3日

日本ではひな祭りと呼ばれる日である。


ひな祭りは、

3月3日に女の子の健やかな成長と健康、

幸せを願う行事で「桃の節句」とも呼ばれる。

雛人形を飾り、人形には女の子の厄を

代わりに引き受けてもらうという意味がある。


と、言ってはみたものの、

雛人形も持っていなければ、

着物を着ることもない私にとっては

普段通りの一日の始まりである。


今日は飲食グループでの仕事もないし、

タイミーでの仕事も入っていない

完全なるオフ日である。


自然と目が覚めて

スマホのディスプレイを見ると、

午前9時を過ぎたところである。

…なんだ…まだ9時か…

と思いながらも布団の中で

「う〜〜ん!」と大きく伸びをする。

布団から起き上がりグラスに水を注いで

飲み干すと「さ〜てと…」と呟いて、

ベランダに向かって干しっぱなしの

バスローブやタオルを取り込んでいく。


必要なものを取り込むと

そのまま風呂場へと向かう。

私は年中シャワーで済ませるので、

バスタブにお湯を貯める必要もない。

衣服を脱いで風呂場に入り、

クレンジングを手に取る。

3回プッシュした後に手のひらで広げて

頬やおでこ、鼻に手をクルクルさせながら

汚れを落としていく。

私は朝に入ることが多いので、

軽く落とすくらいである。

その後にシャンプーとコンディショナーで

頭皮に揉み込ませるように洗髪して、

固形石鹸で全身を洗っていく。

最後にシャワーで全身を洗い流して

バスローブを羽織る。

このバスローブはフード付きなので

髪を乾かすにも重宝している。

「ふぅ…」

「やっぱりスッキリすると気持ちいいね」

上機嫌でフードを被ったまま

歯磨きと風呂掃除を終わらせて、

着替えた後にバスローブやタオルなどの

洗濯物を洗濯機に入れてスイッチを押す。

洗濯機を回している間に

掃除機で床を掃除していく。

綺麗になった床を見渡して

「うんうん」と頷く。

洗濯機が止まるまでの間に

私は布団に横になって

近くの文庫本を手に取る。

この本は全て読んでいるため、

お気に入りの場面を再読していく。

「……」

無言で読み進めて行くと、

洗濯機が止まる「ピー」という音が響き、

私は本を閉じてベランダに向かう。

全ての洗濯物を干し終えると

出かける準備を始める。

「さ〜てっと今日は…」

購入予定の食材や消耗品を思い浮かべながら

準備を終えると「行くか…」と

鍵を空けて扉を開いた……



普段使いのスーパー店内。

まずは野菜売り場へと向かう。

「キャベツは一玉だと多いから半玉」

袋に入った半玉カットのキャベツを

手に取ってかごに入れる。

「人参と玉ねぎはもちろん必須」

「ここはバラ売りしてるからいいよね」

「複数個入りのだと傷んじゃうことあるし」

人参玉ねぎを一つずつ手に取って

袋へと入れていく。

「それからきゅうりもいるね」

きゅうりも一つ袋に入れる。

「かぼちゃ……」

「今回はスライスカットで」

どうやってスライスにカットしてるんだろう

と思いながらかごに入れる。

「野菜はこれでいいかな」

「次はマカロニ」

そしてパスタの売り場へと向かう。

「ん〜〜」

「どういう種類のがいいかな……」

「マカロニって言うとUの形をしたのが

 思い浮かぶけど……」

「これにしてみようかな」

そして一つのマカロニの袋をかごに入れる。

「後は梅干し」

梅干しが売られているコーナーに行き、

しゃがみこんで「ん〜」と唸る。

「しそ……はちみつ……」

「種なしもあるか……」

一通り眺めて種ありのしそに決める。

「やっぱさっぱりとさせたいしね」

「種を取るのも仕込みの一つだしね」

と自分を納得させる。

「じゃ、最後はお酒〜」

お酒売り場の中のワインコーナーに進む。

「やっぱ無添加の赤ワインよね〜」

迷わずに普段購入しているボトルを

手に取って念のためラベルを確認して

かごに入れる。

「前に違うワインだったことあるしね」

「じゃ、これくらいかな」

かごの中に購入予定の商品が

入っていることを確認してレジに向かう。

セルフレジで会計を済ませて

エコバッグに商品を入れて、

鮮魚や野菜売り場を見て回りながら

気分よく帰宅した。


帰宅後

購入した商品を冷蔵庫に入れて

ハンドソープで手を洗う。

水を飲んで「ふぅ」と落ち着くと

立ち上がりキッチンへと向かう。

「さ〜て、作るか」

私はまず鍋に水を入れて火にかける。

その間にきゅうりを斜めに細く切っていく。

そして梅干しの種を取って、

果肉を少し大きさを残しつつ刻んでいく。

水が沸騰したらマカロニと塩を入れて

規定時間茹でていく。

茹でている間にザルやタッパーを

準備しておく。

茹で上がったらザルにマカロニを

流し入れて冷ましておく。

触れるくらいに冷めたら

マカロニをタッパーに移して

きゅうりと梅干しを加える。

そしてマヨネーズを加えて全体を和えたら

塩胡椒と醤油を加えて和える。

「よし、できた」

赤と緑が美しいマカロニサラダを眺めて

私は「うんうん」と頷く。

「でもこれで終わりじゃないのよね」

「夜まで冷やして最後の仕上げ」

「ふふ」と笑いマカロニサラダを

冷蔵庫の中に入れる。

鍋やザルを洗って片付けたら

布団に横になり「ふぅ」と息をつく。


目を閉じてウミガメのスープの問題を考える。

「SNSでウミガメのスープ開催してたから

 参加したんだよな」

「これが結構面白くて」

「DSでウミガメのスープのゲーム

 遊んでたから流れは知ってるんだよな」

「それを題材にした小説も

 面白くて読んだからね」

「まぁ、今は持ってないけど」

「その主催者の人と仲良くなって

 私が作った問題も出してもらってるし」

「そこから問題考えるのが楽しくなって

 外出かけてるときとかも考えちゃう」

私はスマホのメモアプリを開く。

そこには私が作った問題が並んでいた。

中にはこんなの誰が分かるのかと思う

問題も含まれている。

回答できない問題など出しても

困らせるだけなので死蔵している。

「それでも問題作るのは楽しいからね」

もはや問題作りが目的になっているが

出題しない問題なので私は構わない。

そんな事を考えていると

だんだんと眠気が襲ってきて、

知らず知らずのうちに眠りに落ちていた……



「…っん…」

重い瞼を開けてスマホの

ディスプレイを見ると18時を過ぎていた。

「あー… まだ作るには早いな…」

と布団に寝転んだままYouTubeを開き、

アニソンや邦楽を聴くことにする。

「♫♪♬」

イヤホン越しから聴こえてくる

馴染みの音楽に目を閉じながらも

気分は弾んでいる。

時折歌詞を口ずさみながら

堪能していると時刻は19時を少し過ぎていた…


「よし、作るか!」

私は布団から起き上がり、

軽い足取りでキッチンへと向かう。

冷蔵庫から各種野菜類を取り出し、

利き手である左手に包丁を握る。

「まずは人参から〜」

人参とかぼちゃを一口大に切っていく。

玉ねぎはスライスに切っていく。

キャベツは芯を切り落として

一口大にちぎっていく。

全ての野菜を鍋に入れて油を入れたら

火をかけて軽く炒めていく。

途中で塩を加えてさらに炒めていく。

野菜がしんなりとしてきたら

火を止めて水を加える。

味噌を溶かしながら入れていって

卵をそのまま割り入れる。

最後に醤油を加えて煮込んでいく。

野菜はお好みで塩や醤油は目分量なので

その時によって味わいが変わる。

「まぁ、自分しか食べないし

 家での料理は自分の自由だしね」

煮込んでいる間は再び音楽を聴いて

ゆったりと過ごしている。

鍋が沸騰して部屋にいい香りが

漂ってきたら火を止める。

お椀に注いでマカロニサラダとキムチ、

赤ワインをテーブルに並べれば

今宵の晩餐のセッティングが完了である。


テーブルの前に座り、

両手を顔の前で合わせて

「いただきます」と唱える。

まずは赤ワインをグラスに注ぎ、

一口分口に含む。

舌の上で転がしながら

馴染みの味わいに頬を崩す。

飲み込んで「はぁっ」と息を漏らす。

「あ〜やっぱいいね〜」

「無添加だからなのか

 余計なものが入ってないから」

「純粋にぶどうの美味しさを味わえる」

あくまでも個人の感想だが

自分がいいので良しとする。

グラスをテーブルに置いて箸を手にする。

そしてマカロニサラダへと箸を伸ばす。

きゅうりと梅とともにマカロニを掴み、

そのまま口へと運ぶ。

その瞬間に梅の酸味ときゅうりの

さっぱりとした風味が混じり合い、

強い酸っぱさだが爽やかさが包み込む。

そして噛むたびにマカロニの

独特の歯ごたえときゅうりの

「シャキッ」とした食感で

口の中が楽しくなってくる。

塩胡椒を効かせてあるので

少し辛い感じもするが私の中では

いい塩梅と言っていいものだ。

お酒と合わせているというのもあるが。

「うんうん、

 この組み合わせは大成功!」

「梅ときゅうりってやっぱり合うよね〜」

「マカロニも小麦だから

 たいていの食材を合わせられると思うし」

「それにひな祭りは梅の花を

 飾ることもあるって言うしね」

マカロニサラダを何口か堪能した後、

お椀を持ち上げて野菜を箸で掴む。

「ふぅふぅ」と息を吹きかけて口へと運ぶ。

熱い熱とともに玉ねぎの優しい甘さや

かぼちゃのほっくりとした食感など

その野菜たちが持つ旨味や風味が

口の中で広がっていく。

そのどれもが誇示することなく、

味噌でまとめられたほっこりと

心が落ち着く味わいである。

私はお行儀が良いとは

言えないかもしれないが、

お椀に直接口をつけて熱いと感じながらも

口に含ませるように飲んでいく。

そしてお椀から口を離し、

「はぁっ」と満足気に息を漏らす。

「あ〜〜

 やっぱ椀物は落ち着くね〜」

「野菜もたくさん食べられるし、

 流れ出た栄養素も丸ごと摂れるからね」

「煮込み料理は身体に優しくて

 染み渡るのは私だけじゃないはず」

などと思いつつ、お椀の中の卵を

マカロニサラダに移して半分に割り、

少し散らしていく。

「これでマカロニサラダの仕上げ完了」

梅の赤、きゅうりの緑、卵の黄で

美しく彩られたマカロニサラダを見て、

私は満足気に頷く。

「卵が加わることでまろやかさが増して、

 彩りや栄養価も上がる」

「もともとマカロニサラダには

 卵は欲しいんだけど」

「ゆで卵にすると殻を剥く手間がかかるし」

「うずらの卵の水煮をわざわざ買うのもな」

「こうすれば殻を剥くことも

 新しく買う必要もなくなる」

「沸騰するまで煮込んであるから

 完全に火が通ってるし

 生煮えの心配もない」

「丸ごと割り入れてるから、

 殻を剥いて白身が殻に付いていくことも

 溶き卵のように黄身を無駄にもしない」

我ながらいいアイディアだな…

と思いながらマカロニと卵を一緒に口に運ぶ。

熱で程よく硬くなった

白身と黄身がマカロニと絡み合い、

ゆで卵とはまた異なる美味が口に広がる。

卵の余韻が残っているうちに

赤ワインを口に含んで「ふふ」と微笑む。


グラスを軽くクルクルと回して

中のワインが揺れている様子を眺めながら、

私もいつかお内裏様になれたら

姫として殿にこの料理を作って、

一緒に笑い合いながら食べたいな……


…梅の花を飾りながら…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ