84.お嫁さんにしてください
脱衣場を出たら メイドの呉葉ちゃんが待っていた。
「…… お取り込み中申し訳ございません、カイト様、コンシェルジェのセリ様がどうしても伝えたい事があるといっております、いかが致しましょう?」
なんとも珍しい、この時間に用事とは、なんだろう。
「いいよ、この時間に来るなんて急ぎでしょう、会いますよ」
メイドのみんなと夜通しパーティーはおあずけだけど、仕方ないよね。
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玄関を開けると、完璧な装いのコンシェルジェのセリさんが待っていた。
「夜分にすいません、カイト様にどうしてもお会いしたいと言う方がおりまして」
「へぇ、誰なの?」
「学校関係者の明神坂と言うお方です、下のロビーでお待たせしておりますが、お会いになりますか?」
ヴィオラ学校の先生が何の用だろう?
「こんな時間に来られたのですから、会いましょう」
▽
「カイト様突然の訪問をお許しください、今日はどうしてもお伝えしたい事がありまして……」
挨拶もそこそこに明神坂さんが伝えた事は俺の心をザックリえぐる様な内容だった。
スタリオン学園生が稚草ちゃんを欲しがっているそうだ、あの子は俺がお気に入り宣言をしたのだけど、横暴なスタリオン生は、そんな事を無視して稚草ちゃんをよこせ、と言っているそうだ。
「……カイト様がお気に入り宣言をされましたが、スタリオン生はどうしても諦められないようでして。
この様な事を言うのは心苦しいのですが、男性は妊娠をさせた数で格が変わっていきますので……」
妊娠をさせた数だけなら俺だって負けてはいない、だけど俺の孕ませは無かった事にされれいるから“格”と言う点では下の方に位置するのかもしれない。
「とりあえず稚草ちゃんに会いたいです」
「はい、あの子もカイト様に懐いておりますから喜ぶと思います」
車両エントランスには3台の無人タクシーが止まっていた。
淡路島さんと海馬島さんが真ん中のタクシーに乗ると、俺と明神坂さん、そして護衛の礼文さんと利尻さんが最後尾のタクシーに乗り込む。
車列は駅前広場の方向に向かっていくが、ラウンドアバウトに入って右回りに回っている間に3台はバラバラになった。
もしも俺達を見張っている人がいたとしても、最後尾の車両がどちらに向かったかは分からないだろう。
ヴィオラ学校の応接間に通された俺にひたすら頭を下げる明神坂さん。
「……カイト様がお気に入り宣言をされたのに、まことに申し訳ございません」
「ちょっと待って、何とかならないの?」
「実は内務省の方にも相談をしたのですが、方法は無くは無いとの事でして……」
歯切れの悪い言い方になった明神坂さん。
「あるなら教えてよ!」
「中世の法制度で結婚と言う制度があったのです、これは男性が女性の所有を法的に正当化する事でして……」
「分かったよ、俺が稚草ちゃんと結婚するよ、それならスタリオンに連れていかれないのだよね」
「…… まぁ、その通りなのですし、カイト様と稚草なら法的には問題が無いのですが……」
15歳の俺と10歳の稚草ちゃんが法的結婚出来るなんて、前の世界では考えられなかったけど、今はそんな事を言っていられない。
今一つまとまらない話をウダウダとしていると、応接間の扉が開いて、三田さんが入って来た。
「カイト様、結婚はなりません」
「どうしてさぁ、法的に問題無いなら良いでしょ」
小さくため息をついた三田さん。
「カイト様、結婚をすると、その女性は出産しても殿方のもとに帰って来ると言う事ですよ」
まさに理想ではないか。
「俺が稚草ちゃんを面倒見ますよ」
「実は先程、稚草の身体検査をしてきましたが、まだ契りを結んでおりませんね、これでは結婚は認められませんよ」
寝屋を共にする事で結婚が正式化されると言う解釈だろうか。
「稚草ちゃんの部屋に案内してください」
連れていかれたのは、暖色系の照明にマットレスやビーチマットが置かれた部屋。
しばらくしてやって来たのはシンプルなワンピース姿の10歳児。
「カイト様、わたしをお嫁さんにしてください」
両手で軽々と抱えられる細い腰、蜂蜜色の髪が上下に揺れる。
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記念日を迎え、俺と素肌を重ね幸せそうに眠っている稚草ちゃん。
俺の欲求を受け入れるには小さすぎて、溢れている。
お風呂場でメイドさんに放出してきたけど、まだまだ溜まっているのかな。
あっ、でも、先にメイドさんシタから良かったのかな、何にしても手紙のおかげだね。
官僚にのせられて10歳児に手を出す主人公。




