66.小学生は俺のもの
俺と仲良くした同級生達の半分近くが妊娠していた、更にママメイドさん達も妊娠が確認されていた、妊婦はリズムの里と言う超豪華な産婦人科に送られるが、その間は家族と離ればなれ、小学生の白音ちゃん達は施設に預けると言っているけど、そんなの絶対にダメだ。
なんでだろう、一緒に暮らしたからか、メイドさんも子供達も家族の様な感覚があるのだよ。
子供達と離ればなれになるのが嫌だと副担任の桜ちゃんにゴネたら、三田さんと話をして決めましょうと言う事で落ちついた。
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政府の偉い人三田さん、良く分からないけど副担任の上司に当たる人らしい、俺には当たりが良いけど、広告代理店との交渉では強気で動いていたから、本当は頑固で押しの強い人なのだろう、今は帝都の本省にいるらしいので、ネットを使ってのお話しの中。
「……それではカイト様はメイドの子達と離れるのは嫌だと言う事ですね」
「ええ、とにかく施設にだけは入れないでください」
「それがカイト様のお望みでしたら、その様に手配いたしましょう、ですがメイド達が出産して帰って来ても、再びメイドの仕事に就く事はありませんよ、自然妊娠をしたのですから、もっと待遇の良い職場を斡旋されるはずです」
「ママ達が帰って来るまでの間でも、俺が面倒を見ます」
「カイト様の希望は分かりました、善処致します
パソコンの画面が切り替わる、
「桜ちゃん、これで大丈夫だよね」
「ええ、聞いてはいましたが、メイドにも優しいのですね」
「メイドさんだって一人の人間だよ、取り換えのきく部品じゃないんだから」
「家に帰ると新しいメイドさん達が待っているはずです、優しくしてあげてくださいね、
さぁ、カイト君、午前の授業ですよ、早く教室に行かないと」
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一クラスがたったの八人となって寂しい限りだけど、授業になるとそんな事は忘れて集中して勉強した。
そして放課後、デートの約束も無く家路を急ぐ俺、三田さんの話だとメイドさん達はリズムの里に行く事は確定だ、理由は分からないけど、ちょっとでも顔を見ておきたい、そんな気持ちが胸の中にグルグルとしている。
コンシェルジェのセリさんが迎えてくれる、
「お帰りなさいませ、カイト様」
「ああ、セリさん、俺のメイドさん達は? まだいる」
「申し訳ございません、午前中にこちらを発たれました」
「あっ、そう」
なんか急に力が抜けた、急いで帰る意味すら無かったんだ、
何とも言い様の無い無力感、天涯孤独だったこちらの世界、身内ではないけど、家族の様に俺の世話をやいてくれたママ達、せめて別れの挨拶くらいはしたかったよ。
「お三方からはお手紙を預かっております」
セリさんはそう言いながら優雅な仕草でトレーを俺に差し出す、
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カイト様へ、短い間でしたが、子持ちのわたしを雇ってくれてありがとうございました、
ご存知ないかと思いますが、わたし達メイドは人ではなく道具や置き物の様に扱われておりますし、その様に仕えろと教育を受けて参りました。
ですがカイト様はそんな道具の様なわたし共をまるで家族の様に扱ってくださいましたし、お情けまで授けてくださり、子種まで頂けて、お礼の言葉も有りません。
今聞きましたが、リズムの里から帰って来るまで、白音達をお手元に置いてくださるそうですね、使用人の子供に過ぎたご配慮でございます、
まだ分別もつかない歳ですので、叱る時にはしっかりと叱って欲しいと言うのが愚かな親の願いでございます。
必ず元気な子を産んで帰って参りますので、それまでは子供達をお願い致します。
どうか健康に気をつけご自愛ください。
宇治雲母
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琥珀さんや紅玉さんも文体こそ違え、同じ様な事を書いてあった、
「カイト様、そろそろお部屋に戻られてはいかがでしょう?」
「うん、そうだね、これからはボクが実紅梨ちゃん達をしっかり守ってあげないとね」
今日のベルガールはハコベさんだった、いつもマンションのエントランスから、部屋まで荷物を運んでくれる為だけの人だけど、毎日顔を合わすので、何とも言えない距離感だ。
「カイト様、お話し宜しいでしょうか?」
「何かな? ハコベさん」
「ご存知だと思いますが、メイド達使用人はここではない別のエレベータと玄関通路を使用しております」
「それは知らなかったよ」
「このカーペットは居住者専用なんですけど、今日は特別に宇治さん達お通りになり、お出かけになりました」
「わざわざ俺のメイドさんの為にありがとう」
「いえ、メイド達に夢を授けてくださりありがとうございました、居住階で子供達別れて来たからでしょう目元が赤かったですけど、誇らしい表情でタクシーに乗り込みましたよ」
メイドさん達との別れに立ち会えなかった俺に気を使ってくれているのだろう、使用人通路ではなく、主人用の通路を通してあげたのも彼女達の配慮だろう。
ハコベさん、ありがとうね。
最後に一目でも会いたかった相手が既にいなかった、虚無感です。