65.飛び散る滴
男性担任のリンちゃん先生も妊娠です、数だけなら一番多い相手ですから。
新川カイトは男女比の狂った世界に飛ばされ、どうやら無精子症みたいな状態だったらしく、責任を取らなくても良いと聞いてやりたい放題、放課後は同級生の子達をとっかえひっかえ、デートしまくり。
天国に来たと本気で信じていたのだけど、クラスの半分以上が妊娠していた事が判明、他のクラスの子達にも俺の子種がばら撒かれた様だ。
そうそう妊娠した子はリズムの里と言う超豪華な産婦人科みたいなところに送られて行ったそうだ、その間アカウントは停止されるので、どんな状態かは誰も分からない。
女の子を産めば親元に帰って来て、育児をしながら復学するそうだ、その間のベビーシッターとか経済的支援も政府が用意してくれるそうで、妊婦と新米ママには優しい世界だ。
問題は男の子を産んだ子、出産と同時に我が子から離され、全然知らない街の豪華マンションに送られて、優雅で孤独な生活を送る事になる、大学に通い新たな人脈を築くとはいえ、どっちが幸せなんだろうね。
▽
男子棟に入った水無月桜子先生、男性担当はロリ顔低身長と言うお約束でもあるのだろうか、
「改めて自己紹介しますね、わたしは水無月桜子、まだ研修期間中ですけど、優秀だから特別に荒川君の担当に選ばれました」
自慢気に胸を反らすとタユンッと音が聞こえそうなくらい巨乳が暴れる。
「よろしくね、桜ちゃんで良いかな、俺の事もカイトで良いからさぁ」
「桜ちゃんって……、引き継ぎの時に聞きましたけど、とんでもない問題児さんですね、先生には敬意を払わないとダメですよ」
「わかりました、桜ちゃん先生」
「仕方の無い問題児さんですね、ですけどわたしは優秀ですから、こんな事では動じないのです、大人の余裕で受け止めてあげますからね、荒川君」
「カイト君でお願いします」
「…まぁ、いいでしょう、カイト君、さっき聞いたと思いますが、妊娠が確認されたクラスメート達は、リズムの里という場所にいます、男の人は絶対に行く事が無い場所ですけど、出産の為に最高の環境を整えた場所だそうですよ」
「それだよ、俺は種なしの判定を受けたはずだよね、それなのにそんなに大勢が妊娠するなんておかしいんじゃない?」
「そうです、だから建前上は家庭の事情で引っ越した事になっているのです」
俺の精液に妊娠させる能力が有ると認める訳にはいかないのだろう、これだから官僚主義は。
「……それから、ここからが大切な事なんですけど、カイト君は女の子と仲良しするのは禁止です」
「そんなぁ~、あっ、分かった、ここで桜ちゃんとイチャイチャすれば良いと言う意味なんですね」
「そんなのもっとダメです、卯月先生は優しいから受け入れてくれたかもしれないけど、
シンフォニア高校でポンポン妊娠したら色々と問題が起きるのですよ」
「俺はどうすれば良いんですか、毎朝元気になって大変なんですよぉ~」
ゴクリッと唾を飲む音が聞こえ、俺の股間を凝視している桜ちゃん、我に帰ったのか軽く咳払いをすると。
「カイト君の記録を調べさせてもらいましたが、最近は帝都で芸能事務所の子達と交接していますね」
「まぁ、仲良くさせてもらっています」
「大変良い事ですよ、これからもなるべく学外で交接してくださいね」
「いや、だけど、あの子達は芸能事務所の子達だよ、妊娠させたら問題じゃないの?」
「既に聞いていると思いますが、男性の権利に関して確認しておきましょうね、シンフォニア高校の男子生徒は学内の誰でも指名してデートが出来ます、まぁ、殆どの男子は自分のクラスの子としかしませんけどね。
それから市内の学校、小中高の生徒なら誰でも自由に指名してデートが出来ますよ、小学生は初潮が来ている子限定ですけどね、ですがこれは有名無実、学外の生徒には手を出す男子はいません。
問題が起きるのは芸能人です、テレビで観て気に入った子がいて“あの子とやらせろ!”
なんて事を言う一般男性がいるのですが、彼らの要求はまず通りません」
「俺は毎週シテいますけど」
「芸能事務所の社長の許可が下りたからですよ、芸能人は事務所の所有物と言う考えです、経営者として、スキャンダルのリスクと男性に恩を売る事を天秤にかけたのでしょうね」
「つまり、テレビに出る様な有名人は指名しても社長が応じないと言う事ですね」
「記録を見させてもらいましたが、三船橋穂乃歌さんとも交接していますね、その日付で退社しているとはいえ、超有名人でしたよ、彼女は」
「全盛期は知らないですけど、素敵な女性でした」
「彼女も妊娠していますね、もうリズムの里に行ったかどうかは分かりませんが、
最近は週に一回のペースで帝都の芸能事務所に通っている様ですから、そこで女の子を紹介してもらう様にしましょう」
「なんか芸能事務所の子達とエッチするのが嫌になりました」
「どうして、芸能人さんでしょ? あこがれすよ」
「妊娠したら芸能人としてのキャリアが台無しになるのですよ、人生を踏みにじる様な事は出来ません」
「聞いていた通り、女性に思いやりのある性格ですね、自然妊娠程名誉な事は無いと言うのに。
記録を確認しましたが、個性的な顔立ちを選ぶ傾向にありますね」
「ブサイクってハッキリ言えば良いじゃないですか」
「そんな言い方する訳ありません、わたし個人の意見ですが美醜で優劣をつけるなんて意味無いと思っています」
「それには賛成します」
「さて、実はカイト君と仲良くなった芸能人の子とお話しをしたのですけど、物凄く褒めていましたよ」
「夜のワガママに文句を言っていなかったですか?」
俺のペースに乗せられまいと、少し間を置く桜ちゃん、
「……まぁ、睦言に関しては男性らしいですけど、いっぱいお話しが出来て嬉しかったと言う評価でしたよ」
「それはどうも」
「芸能事務所に関しては向こうの社長さんと相談するとして、夜の方は当分は新しいメイドさんに頑張ってもらいましょう」
「新しいメイドさんって何? もう三人もいるんだけど」
「ああ、三人とも妊娠が確認されました、近いうちにリズムの里に行く予定ですよ」
「そんなぁー、子供達はどうするんですか?」
「安心してください、施設に預ける事になりますから」