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62.売れないアイドルに元気を

 女性ばかりの世界ですが、ロリコンがいると言う設定です。



 今夜の話相手は三人組アイドルグループのリーダー。

 学年は高二だから俺よりもお姉さんだけど、体格は小柄、肩とか物凄く小さいんだよ。


 お顔はちょっと垂れ目だけど、美人さん、何と言うか儚い感じがして守ってあげたくなりそうな雰囲気、それを後押しするのが、腰まで届く、スラリと長いロングヘアー。


 夜の闇の様に真っ黒で吸い込まれそう、それでいてツヤツヤして質感がある。

 身体は折れそうに華奢なのに、胸はしっかり有る、アニメの世界からそのまま出て来たのかと、錯覚しそうだよ。


 あれ? この子アイドルグループのリーダーって言っていなかったかな、一人でも充分な気がするけど、その事を訊いてみたら。


「……わたし一人では歌もダンスも中途半端ですし、なんと言ってもキャラが弱いから、ダンスの上手な子と、歌の上手い子の三人組で売り出す事になったのですよ」


「三人それぞれの特技を生かしていくグループなんだね」


「はい、ですが……」


 可愛らしい口から出て来た言葉はなかなか、ステージに立てないもどかしさだった、ネットやテレビで知名度を上げても、歌手はステージに来てもらうのが究極の目的。


「……アイドルはステージで立たないと、価値が無いと言うか」


「ステージをまったく経験してない訳じゃないんでしょ」


「だけど、単独ライブなんて、今まで一度もした事無いです、他のグループさんとのジョイントばかり、それも出番は前半ばかり……」



 ここまで話してふと頭によぎった疑問、こちらの世界は殆どが女性、こんな儚い系の女の子らしいアイドルのファンがいるのだろうか?


「あのさぁ、ステージはどんな人が観に来るのかな?」


「えーとですね、アイドル歌手と言っても、ハッキリと二種類に分かれまして……」


 こちらの世界のアイドル歌手、女性にしては体格が良くて、中性的な顔立ちの子は髪をショートカットにして、ボーイッシュな感じでステージに立つ。

 前の世界でも女性ばかりの有名な歌劇団では男役が活躍していたよね。


 それとは対照的に、ひたすら女の子らしさを追求したアイドル歌手もいるそうだ。


「……それじゃファンは女の人ばかりなの?」


「ええ、そうですよ、まぁ、わたし達を見て騒いでくれるのなら構わないのですけどね」


 なんか思わせぶりな事を言って来たよ、どう言う意味だろう。


「それは、どうしてなのかな? 何かあるの?」


「えっとですね、女の人の中には小さい子じゃないとダメだって言う人も一定数いるのですよ、小さい子なら思い通りになると思うのでしょうかねぇ~」


「それって、ロリコン?」

 俺の言葉に小さく頷いた美人さん、ロリコンと言う言葉通じた事にビックリだよ。


 世界はほぼ女性だと言うのに、オタクのポジションはしっかり残っていて、可愛い女の子を追いかけている人達がいるそうだ。

 女なのに、可愛いアイドルを追いかけ、アニメの妹キャラに興奮する。


「……やっぱりロリコンは犯罪なの?」


「別に、罪にはならないと思いますよ、そりゃ、拉致監禁とかしたらダメですけどね、写真を撮ったり、こっそりお触りくらいなら普通にいますよ~」


「それは大丈夫なの?」


「わたしも小学校の時に公園でお触りされた事あるし」


 ロリコンに対する罪が軽すぎる気がするけど、加害者が女性だからなのだろうか。



「あのさぁ、俺は悪い人で、女の子に酷い事イッパイしているんだよ。

 悪い事されても平気って言う子はいないかなぁ~」


「… えっとー … カイト君なら、何されても平気だけど」




 ▲




「カイト君、おはよう」


「ゴメン、起こしちゃった?」


「ううん、平気だよ、カイト君こそ大丈夫? まだ5時前だよ」


「撮影だからね、仕方ないよ、それに昨日はイッパイ元気をもらったからね」

 この一言が数時間前の痴態を思い起こさせたのだろうか、美人さんは顔を真っ赤にする。


「ありがとね、次に会う時は芸能人じゃないと思うけど、挨拶くらいしてくれたら嬉しいな」


「  ……  」


「わたし達のグループは解散すると思うの、いつまでも売れないグループにお金はかけていられないしね」


「そうなったら、どうするの?」


「たぶんだけど、普通の人に戻るのかな。

 ああ、ゴメン、これからお仕事なのに、変な話を聞かせちゃって……」



 ▽▽



 やっと日が出て来たくらいの時間帯から雑誌の写真撮影とビデオ撮り。

 河川敷でランニングをしたり、開店前のスポーツジムを貸し切って筋トレしたりするシーン。

 今日は写真だけでなく、動画も一緒に撮っているから、大変だったよ。


 ▽


「カイト君、お疲れさまでした、やっと日王市に帰れますね」


万世橋まんせいばしさんも、週末を潰してありがとうございました」


「わたしの事は良いんですよ、マネージャーは休みの日に働いて、みんなが寝ている時間まで動きまわるのものなんですから。

 そうそう、今日の写真は川講書店のKawateen、と言う雑誌ですよ」


「やっぱり、プチ・ジュニとかのライバル雑誌かな?」


「そうですよ、動画の方はテレビ放送で使う予定です、局は通電堂さんが交渉中だそうですけど、実質20分程のインタビュー番組になる予定です」


「いよいよテレビですか」


「はい、あえてネット配信を控えて、Xデーに一気に公開する算段だそうですよ、それからテレビ放送も決まりましたよ……」




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― 新着の感想 ―
追いつきました! 読みやすくて面白いな〜 続きが楽しみです
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