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61.飲んだら死にます



 芸能生活のルーティンの様なものが決まってきた。

 金曜は学校を休んで帝都で打ち合わせ、太陽が傾く時間にはホテルに入り、家庭教師の先生に勉強を見てもらう。

 勉強で溜まったストレスを受け止めるまでが家庭教師の仕事だよ。


 翌土曜はお仕事、写真撮影だったり、CM撮りだったり、一見簡単に見えるけど、指先にまで神経を行き渡らせた演技で結構疲れる。

 そんな疲れを癒してくれるのが、芸能事務所の子達、最近は事情が分かって来て、俺の話相手に選ばれるのは、落ち目で将来の無い子、最後の思いで作りに俺と話をするご褒美をもらえる感じ。


 常に性欲が臨界値、コップのすれすれまで水が入っていて、表面張力でなんとか保っている状態な俺の性欲。

 頭はお猿さん、下半身はお馬さんの男子高生には理想的な週末だけど、なぜか先生はロリ娘ばかり、童顔ではなく、リアルロリだよ。


 先生の平均年齢は下がる一方、高一の俺からみたら歳の差は四歳くらいだと、言い聞かせるけど、背徳感はついて回る。


 とは言え、彼女達はこちらのワガママ男性の犠牲者で、俺と肌を重ねる事で辛い経験が忘れられるのなら、これも男としての仕事なのだろう、と割り切っている、別にロリコンじゃないからね、本当だよ。



 ▽▽



 生臭い臭いが立ち込める部屋、シワだらけのシーツで目が覚める、隣には女の子がいるはずなのに、寝室に人の気配は無い。

 ドアがゆっくり開かれ、新鮮な空気が入って来るのが分かる。


 二人の女の子がゆっくりと入って来る、昨夜の背徳の宴で嬌声を部屋中に満たしていた、ロリ淫乱娘。

「カイト君、起きなさい」

「もう、ご飯の支度ができていますよ、お寝坊さん」


 小さな腕が俺の身体を遠慮がちに揺する、昨夜はもっと激しく掴んでいたよね。

光莉ひかりちゃん、輝美てるみちゃんも、二人とも朝早いね」


「ええっ? そうかな」

「普通だよね」

 早起きが自慢になる歳なわけだ、いったい何歳なんだろうね。


 幼さが残るではなく、本当に幼い二人の女の子、昨夜は数学の家庭教師をしてくれた、途中から数学理論の雑談になってしまったが、教養の有る会話は楽しいよね。


 ▽


 どこから見てもJSにしか見えない華奢な二人、だけど俺の家庭教師に選ばれたと言う事は、男性居住区で男の暴力に遭い、孕まされて、更に腹を痛めて産んだ子まで取りあげられたと言う、地獄を味わって来たんだ。


「はい、トーストですよ」

「カイト君、牛乳です、美味しいですよ、あっ、もしかして牛乳苦手な子だったかな?」


「あのさぁ、二人とも、そろそろ歳を教えてよ」


「大学生ですよ、昨日言いましたよね」

「君みたいな、可愛い男子高生を見ると面倒を見たくなっちゃうんですよ」


「  ……  」



 ▽▽



 土曜日は帝都のスタジオでLLLと言うティーン誌のグラビア撮影。

 撮影は何回目になるのかな、最初の撮影で言われた“役に成りきる”と言う事に徹している。


 ちなみに今は、ビロード張りのソファとかが置いてあるアンティークな喫茶店みたいなセットで執事っぽい服を着て撮影。

 カフェのバイトの時を思い出して、その役に成りきっているよ。


 今回の撮影は俺だけ、女の子の影すら無い、この事を言ったら、

“カメラのファインダーを女の子だと思ってください”

と言われた。


 バイトに明け暮れていた新川しんかわカイト時代、コンビニの棚に並んでいる、青年誌の表紙が心の清涼剤だった。

 水着のお姉さん達、男性の影すら感じさせなかったよね。



 ノースリーブのパイル地のビーチウェア、に着替えると同じスタジオの反対側でビーチハウス風の前でトロピカルドリンクを持って撮影。


「カイト様、このジュースは絶対に飲まないでくださいね」


「味がついていないの?」


「発色を良くする為に工業系の着色剤が入っています」


「  ……  」


 俺は工業物質を美味しそうに持ちながら撮影、フォーカス音が部屋中に響いて次第に頭がマヒして来るけど、役に集中。

 ここは浜辺で、目の前には気になる女の子がいるんだ。


 何故か頭に浮かんだのは優等生のダリアちゃん、優等生だけど、胸が薄いのがコンプレックスな子だった、

 胸元にボリュームの有るフリルの水着で、頬を赤らめテレテレしている顔が浮かんで来るよ。



 トロピカルな撮影が終わると、オーバーオールに着替えて牧場っぽいセットで撮影、その後はジャージに着替えて、マネージャーっぽいスタイルでスモー部の撮影に臨む。


 早い時間にスタジオ入りして、全ての撮影が終わったのは西の空がオレンジ色に染まる時間帯、ホテルに向かうタクシーの中で、芸能事務所のマネージャー万世橋まんせいばしさんと話をする。


「LLLって言う雑誌は、プチ・ジュニよりも歳上の子が読む雑誌なのかな?」


「いえ、ターゲット層はほぼ同じですよ、カイト君」


「どうして、同じ出版社で潰し合いをするんですか?」


「いえ、LLLは講英社の雑誌です、まさにライバルですね」


「今日は知らない人が多いと思ったら、違う出版社の人だったんですか、けどこれってビジネスの上ではマイナスじゃないのですか、よく小集館がOKを出しましたね」


「これも全て通電堂の作戦ですよ、まずはスモーを広めるところからです、消費者は敏感です、小集館だけがスモーを推していても、単なる企業戦略としか見てくれませんが、そこかしこでジワジワとスモーを広めていけば“本物”と思いこむのですよ」


「その為にはライバルとも手を組むですね」

 何と言うか、大人の世界を垣間見た気分だよ、


「雑誌だけではありませんよ、ネットでの活動も順調ですよ、この前中学校でスモー大会を開きましたよね、あれくらいの小さいイベントをそこかしこで開いているみたいなんです」


「それネットじゃないよね」


「いえ、今の子達はすぐにSNSで拡散しますから、さすがは広告代理店ですよね」


「さすがと言う点は同意します」


「そうそう、カイト君、今日もホテルに泊っていくのですよね」


「その予定だけど」


「実はアイドルデビューしたけど、なかなか芽の出ない子がいるんです、最近落ち込んでいるから、元気を授けてあげてくれませんか?


 万世橋まんせいばしさんの言葉を翻訳すると、全然売れないアイドル、芸能事務所としては手を引きたいから、最後の思いで作りをしてあげて。

 と言う残酷な意味だよ、芸能界は闇が深い




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