58.生意気です
ロリだけど、秀才タイプ、いつか出したいと思っていました。
金曜日は学校を休んで帝都に行き、CM撮影の打ち合わせ、丸一日かかったけど、実際はこう言った準備が必要、ここで手を抜くと現場でトラブルが頻出するそうだ。
一日頭を使った後は、家庭教師の先生とまた勉強だ、今日の先生もオッパイ大きかったら良いなぁ~
「お帰りなさい、カイト君、お仕事お疲れさまでした、さっそくですけど勉強ですよ、今日は化学です、学校から連絡を受けましたが、小テストで酸化数の部分を間違えていますね、今日はそこを重点的に……」
「ちょっと、待って、君は誰?」
「失礼しました、先に自己紹介でしたね、わたしは本日の家庭教師を任された、木曽瑪瑙と言います」
自慢気に胸を反らしているけど、身長は俺の肩より低い、リンちゃん先生も低身長、童顔とはいえ、目の前の瑪瑙ちゃんは本当にロリ、何と言うか佇まいと言うか雰囲気と言うか、身体にまとっている空気が子供のそれだ。
「えっとー、瑪瑙ちゃんは何歳なのかな?」
「わたしは大学生ですよ、女性に歳を訊くなんて失礼ですね、まぁ、わたしの講義について来られたら教えてあげるのも、やぶさかではないですけどね」
ほらわたしが先生ですよ、勉強について来られますか、と言う自慢気な態度を取っているけど、生徒に舐められない様に虚勢を張っているだけだよ。
「それじゃ、まずは小テストです、学校の小テストと似ていますが、数字や構成元素は違っていますからね、しっかり問題を読んでくださいね」
そう言ってスッとプリントを差し出すけど、手が真っ白でプニプニしている、間違いないリアルロリだ。
▽
リアル小学生にしか見えない、瑪瑙ちゃんだけど、学力は本物だった、こちらの世界では飛び級が普通に有るのかな?
「化学はずいぶん進みましたね、二学期の範囲もほとんどカバーしましたよ」
「瑪瑙ちゃんの教え方が上手だからだよ、最初は疑っていたんだけど、ゴメンね」
「……いや、えっ、その、男の人の家庭教師だから、 … ちょっと、予習を頑張っただけで」
耳まで真っ赤にした瑪瑙ちゃん。
「だけど、勉強頑張ったんだねー」
「一応、クレセントの乙女でしたから、学校で頭が良くて美人さんが選ばれるのですよ」
エッヘンと声が聞こえそうな、ドヤ顔。
「何それ、クレセントの乙女って?」
「カイト君も男性居住区にいたのでしょ、ママとかお姉さんが、それですよ」
どうしよう、ここは俺が記憶を無くした事を言った方が良いか、迷うところだが、色々と訊きたい事があるから、素直に記憶を無くした事をはなそう。
「瑪瑙ちゃん、実は俺は……」
この世界の男性は中学までは数人の疑似家族に囲まれて暮らす、それがクレセントの乙女と言うそうだ、つまり妹の葵咲はまさにこのポジションだった訳だ。
瑪瑙ちゃんは10歳の時にクレセントの乙女に選ばれ、数か月で妊娠したそうだ、こちらの世界の男達、もはやワガママレベルではないよ、鬼畜レベルだろう。
脳裏に浮かぶのは白音ちゃんや黄美夏ちゃん達の幼い顔。
目の前の小さな女の子は小学校を卒業する前に、妊娠・出産を経験して、腹を痛めた我が子を取りあげられた。
「…… わたしは男の子を産んだんですよ、と言っても顔も見ていませんけどね」
「その、子供を取りあげられたんでしょ、辛かったんだよね」
人さし指を下唇に当てて、考える仕草。
「わたし、その時5年生だったんですよ、女の子が産まれたら育てなきゃならないし、どうしようか、怖かったんです。
けど、男の子だったから、子育てしなくて良いし、一安心ですね」
「それで、今はF棟にいるの?」
「F棟? ああ、高校生とか大学生のお姉さん達が行くところですね、わたしはママの家に帰りましたよ。
矢那坂市って言う街の学校に通っていたのだけど、帝都の鳶の背って言う地区に引っ越せて、学校は転校になっちゃったけど、今の学校も悪くないですよ」
「今何年生?」
「小六ですよ …… 」
ハッと言う顔になった瑪瑙ちゃん。
「生意気です、カイト君のくせに生意気です」
細い腕でポカポカ俺を叩くけど、心地良いじゃれ合いだ。
俺も反撃で瑪瑙ちゃんをくすぐり攻撃。
「あっ、やだ、ダメだって、生意気ですぅぅぅ」
数回脇腹を攻めただけで、秀才JSはすっかりメスの顔になっていた。
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ベッドサイドのアラームで目が覚めた、いつもなら隣には幸せそうな顔をした女性がいるのだけど、隣にいるのは12歳。
口を半開きにして、とんでもない方向を向いて寝ている。
こう言った姿は歳相応だね。
瑪瑙ちゃんが大学に通っていると言うのは本当で、週の半分は大学の部外聴講だそうだ、来年小学校を卒業すれば、晴れて大学に入学できるそうで。
こちらの世界では出来る子は幾らでも伸ばすと言うのが教育方針らしい。
十代前半で妊娠、それが当たり前だった時代があったし、今でもそんな地域が有るって言う事は知識として知っている。
だけどこのあどけない顔の子供に無理やりとは、この世界はおかしいよ。
▽
一人でシャワーを浴び、ルームサービスで朝食を準備してもらっている頃にやっと起きて来た、瑪瑙ちゃん。
「どーして、お兄ちゃんが先に起きているんですか、わたしが朝ご飯を準備して、
“お寝坊さん、早く起きなさい”
って起こすところでしょ、ドラマとか観ないんですか?」
▽
朝から賑やかに過ごして、俺は仕事に向かう、可愛く手を振って見送ってくれるJSが、
ちょっと手招きする。
「何かな?」
「昨日はありがとうございました」
「いえ、俺も楽しかったよ」
「えっとですね、わたしには勉強が有ったから、クレセントの乙女の事を忘れる事ができたけど、そうじゃない子もたくさんいると思うの。
そう言った子達にもお兄ちゃんのご褒美をわけてあげて欲しいの」
俺は優しい小学生の頭をクシャと掴む、ちょっと乱暴なナデナデ。