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44.ポルノ実演

 この世界に柔道はなく柔術です。



 相撲小説の話で帝都にある出版社に行ったけど、どうも相撲が正しく伝わっていない。

 実演してみようと言う事になり、女性にしては体格の良い人がやって来た。

「製作部の伊予いよです」


「仕事中にすまないな、伊予いよさん、君は学生時代に柔術部だったと聞いたが、そうだったかね」


「ええ、大学まで続けましたが、特に結果は残していません」


「大丈夫、今からこちらにいる荒川君とスモーの実演をして欲しいんだ、協力してくれるね」

 スーツを脱いでシャツ一枚になると、これでもかと言うくらいのボリュームが晒される、バスト100センチとかありそうだよ、カップは何だろうね?


 ▽


「それじゃあ、スモーの実演といきたいですが、まず試合開始前は、こうやって向かい合います」


 俺は両手をカーペットに上に置き、伊予いよさんと見合った形を取る。


「うん、これが見合いか、文章で読むのと実際に見るのでは大違いだな」

 社長さんは感心している。


「お互いの息が合ったら取り組み開始です、相手のまわし、この場合はベルトですけど、最初に掴んだ方が有利ですので、こうやって掴みに行きます」

 お姉さんの懐に入る形になって、ベルトを掴む。


「ほら、俺のベルトも掴んでみて」


 伊予いよさんは俺のベルトを優しく握る、まぁ、男性相手に全力は出せないよね。


「とりゃー」

 カーペットに転がるお姉さん、心配していたけどキレイな受け身で衝撃をかわす。


「すいません、お姉さん、大丈夫ですか?」


「心配しないで、学生時代は柔術をやっていたの」


「互いにまわしを掴まないといけないルールなのかい?」


「そんな事はありませんよ、張り手とか突き押しと言って、ひたすら相手を押して土俵の外まで押し出すと言う手もありますよ」


「荒川君、それではスモーには体重別のクラス分けが有ると言う事ですね?」

 柔術経験者の伊予いよさんらしい意見だ。


「ありませんよ、そりゃ重い方が有利と思うかもしれませんが、軽い選手はそれなりに動きまわります」


 その後数回伊予いよさんと取り組みの姿勢を取った。

 彼女は柔術経験者だけあって、スモーのコツもあっという間に掴んだのだろう、お互いに決め手がないまま組み合っているのだけど、ほんのりと甘い香りがするし、息がシャツ越しにかかって来てセクシーだった。



 ▽▽



 結局スモーの実演以外は何も決まらず、お開きになったけど、リンちゃん先生や淡路島先生は伊予いよさんと一緒に食事に行く事を強く勧めた。

“あれだけ、二人で抱き合っていて、ハイ、さようならでは寂し過ぎます”

“そうですよ、ここは男として責任をとってください”

 男の責任って、俺には、ご褒美なんだけどね。


 ▽


 伊予いよさんは体格こそ俺とそん色ないけど、顔つきは優しそうだよ、そして男なら目が言ってしまうのが溢れ出るバスト。


「……男と縁の無い人生だと思っていたけど、役得をありがとう」


「俺はこちらの世界の事を知らないんで、色々教えてくださいね」


「教えるなんて、わたしは文字通り住んでいた世界が違うのよ、柔術とかレスリングとか格闘技をやっている女性はスタリオン学園やシンフォニア高校には進めないの、分かるでしょ」


「武術を極めた人は精神も鍛錬されていると思いますけどね」


「そう言ってくれると嬉しいわ、けど世間では格闘技経験者は力任せに男を嬲る様な無法者と思われているのよ」


「それは風評被害ですね、心の強い女性だと思いますけどね~」


「わたしみたいな体形で男性の近くの職場は警護員か軍隊くらいよ」


「あのー、警護員はともかく、軍隊は?」


「内務省の直轄軍と言う部隊に入れば、男性居住区の警備を任されるらしいの。

 男性居住区って、周りを鉄条網に囲まれた山奥の要塞みたいな場所で……」



 伊予いよさんの話によると、俺達シンフォニア高校生に付く警護員は警察出身、不審者を近づけないための抑止力としての役割。

 直轄軍は軍隊、男性居住区に近づく不審者には問答無用で射撃加えるような、存在だそうだ。



「へぇ~、そうなんだ。

 ところで、伊予いよさんは出版社で何のお仕事をしているの?」


「ああ、わたしは製作部って言うところよ、編集部って極論すれば文字や画像のデータを作者さんとか、漫画家さんから集めるだけなのよ。

 そのデータを加工してもらって、デザイナーさんにレイアウトを決めてもらい、印刷の手配をかけたりするのがわたし、まぁ、外注先さんと編集さんとの折衝が多い部署よね」


「それは大変ですね」

 首元より下に視線を移しながら俺は言う。


「カイト君、やっぱりお胸が気になるの」


「分かります?」


「視線って分かるものなのよ、同じ女同士でも視線は感じるもの、こんな物重いだけなのにねー」


「その重さを感じさせてください」


「わたしで良いの?」



 ▲



 同級生や後輩たちはベッドの上では暴走したり、緊張してとんでもない事をしたりするけど、伊予いよさんは普通だった、いや俺はそもそも普通の交わりを知らないのだけど。

 以前リンちゃん先生が言っていた“自制心”があると言うのだろうか?


 もっともコーヒーカップを挟むと、明け透けにな。、

「……いやー、ありがとうね、正直言うとあんなに気持ち良くなるなんて思わなかったわ、わたしは寝技が得意だけど、まだまだ上がいるのね、カイト君の横四方固めは逃げられないわよ」


 終わった後はカフェでマッタリと過ごす、同級生の女の子達はちょっと前の行為を嬉しくも恥ずかしく、なるべく関係ない話題をふるけど、伊予いよさんは開放的だね、体育会系はこんな雰囲気なんだろうか?


「ところで伊予いよさん、格闘技の経験者はシンフォニア高校に入れないって言っていましたよね」


「ええ、そうよ、と言うか格闘技経験者じゃなくても、体格の良い女性は選ばれないはずよ、カイト君、どうかな、同級生に男子よりも背が高くて、肩幅もしっかりした子はいる?」


「そう言えば、いないですね、部活が盛んな学校だけど、格闘系の部活も無いし」


「そうなのよねー」


「シンフォニア高校にスモー部は作れると思いますか?」


「難しいわね、攻めるなら低学年からやってみたらどうかしら? 小三くらいの子達で力比べ大会のノリで」



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