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42.先生と仲良し

 最高の大学では最初の二年間はリベラルアーツと言って、基礎的な教養を学び、それぞれの専攻に分かれるのですけど、理系で入って文系の専門に進んだり、その逆があったりするそうですけど。

 医学部はほぼ理Ⅲの合格者だそうです。



 昼休みの短い時間で互いの体温を確かめる行為、最近は男性棟でリンちゃん先生と仲良くしてばかり。


 相性が良いと言うか、なんだかんだで一番よく喋っている相手だからだろう、女の子を連れて来て“さぁ、この子とエッチしろ”と言われても、あんまり楽しくない、単なる排泄行為で終わってしまいそうだ。


 互いを知る事が仲良しと排泄行為の違いなのだろう。


 そんな良く知る相手は首筋に汗を残し、乱れた髪でソファに座っている。


「はい、リンちゃん先生、コーヒーだよー」


「ありがとう、カイ君」

 カップを受け取るけど、表情は暗い副担任。


「あー、どうしましょう」


「どうしたの? リンちゃん先生」


「また、しちゃいました、生徒と気持ち良い事をするなんて、教師としてあるまじき行為です」


「また、その話し、俺がシタいからするんで良いじゃないの、放課後はちゃんと女の子達とデートしているんだしさ」


「実は先生は本当の教師じゃないんです、この学校は文部科学省の所管ですけど、男性担任は内務省の職員なんですよ、だから副担任なんて呼ばれているけど、みんなの前で授業なんて出来ません」


「へぇー、それは初めて聞きました、そう言えば専門教科が何か言っていませんでしたよね」


「専門も何も、単なる理Ⅱです」


 理Ⅱと言う事は最高の大学と言う事なの? なんとエリートじゃないかロリ先生。

「それで、専攻は何だったんです?」


「進振りまで行っていません、その前に内務省から学内スカウトを受けたのですよ、男性管理局と言う部署なんですけどね」


「せっかく受かったのに、もったいない」


「数年勤務したら、好条件で復学出来るし、そのまま大卒待遇で公務員になっても良いのですけどね」


「リンちゃん先生、辞めちゃうの?」


「大丈夫ですよ、ワガママなカイト君を残して辞めたりしませんよ、

 ただ今の自分の在り方に疑問があるのは事実です、一人でも多くの女性と接する様に仕向けなければならないのに、自分ばかりが … … その受け取ってしまって」

 ドヨーンと音が聞こえそうなくらいに落ち込む巨乳先生。



「リンちゃん先生、俺とシテいる時は嫌だった?」


「嫌な訳ありません、気持ち良いから困っているんですよ」


「最近は腰の振り方も上手になりましたしね」

 これは地雷だった、口を尖らせて横を向いてしまったロリ先生。



「先生、ゴメンなさい」


「…… 別に謝る様な事じゃありません、わたしは男性専門の教育者ですから、そんな言葉には動じませんよ」


「それなら良いですけど、実は相談があるんですよ」


「学校の女の子と仲良くなりたいと言う相談なら大歓迎ですけどね」


「ああ、それは全然関係ないです、実は小説を書いてみて、出版社に送ってみたら意外に高評価でして、今日の放課後出版社に伺う予定なんですよ、帝都ってチューブで行けますよね?」



「どーして、そう言う大事な事を言わないのですか! 男の子を一人で出版社に行かせるなんて有り得ません、怪しい会社だったらどうするつもりなんですか!

 監禁されていかがわしい写真をたくさん撮られて、脅されて、それは酷い目に遭うかもしれないのですよ」


「そんな、大げさな、これが名刺です」


「ふーん、小集館ですか、名前の通った大手出版社ですね、ですが、こんな物簡単にプリントアウトできますから、先生も一緒に行きますよ、これは絶対です」


 ▽


 放課後、玄関で待っていたのはリンちゃん先生と体育科の助教淡路島先生。


「カイト君、淡路島先生は実は警察からの出向者なんです、警備部と言う部署で男性警護の訓練を受けているプロ中のプロなんですよ」


「カイト君、まさかわたしの出番がまわって来るとは思わなかったよ、危ないと思ったらこれを押す様に」

 スマホより一回り小さい物を渡される。


「なんですか、これは」


「緊急ベルだよ、スマホにも同じ機能があるけど、相手が何らかの手段でスマホを無効化するかもしれないからね、それとこれはカプサイシンスプレー、顔に吹き付けたら悶絶するよ」



 まるで敵地に向かう様な装備、いつもバイトに行く時に乗る路線ではないチューブに乗った俺達、席はボックスシートだよ。


「これは通勤快速だから、40分くらいで着くね」


「はぁ、そうですか」


「カイト君は帝都に行った事がないはずだから、一応説明しておきましょう、言うまでも無くこの国の首都です、そして殆どの省庁がそこに有るし、民間企業でも帝都に本社を置いた会社が多かったのです」


「リンちゃん先生、多かったですって過去形だよね」


「ああ、まぁ、今でも本社は有りますけどね、ネットが普及して在宅勤務が普通になると、わざわざ通勤なんてしなくても良い、なんて動きになって行ったんですよ」


「巣籠りの季節ですね」


「淡路島先生、巣籠りの季節って?」


「ネットが発達して在宅勤務が当たり前になると、そもそも家から出ない人達が増えたんだよ」


「別に仕事をちゃんとしていれば問題ないでしょ、宅配業者は儲かるし」


「カイト君、そんな単純じゃないんだよ、退勤の時間帯になると駅前広場は大勢の会社員で溢れて、商店街で買い物したり、ちょっと一杯飲んで行った人達がいなくなったんだ、商業的には大打撃だろう」


 確かに、言われてみれば地域経済にはマイナスだ、ネットでは必要な物しか買わないからね、コンビニでは“あっ、これもついでに買って行こう”なんてお客をたくさん見たよ。


 淡路島先生の説明をリンちゃん先生が引き継ぐ。


「さすがに政府も、行き過ぎた在宅勤務に規制を入れて、年間の勤務日数の何割以上は出勤する様に、と言う法律を施行したんですよ」


「それなら、全て解決ですね」


「世界はそんな単純じゃありません、会社としては本社まで通勤して来るのなら、見合った通勤手当を支払わなければなりません、それよりも地方都市にサテライトオフィスを作って、地価の高い本社を縮小すれば安く上がると気がついたのですよ。

 せっかく複々線化したというのに、帝都行きの列車に会社員がギューギューになる事は、もうないでしょうね」



 コロナ全盛期には在宅勤務が一般的になりましたが、いつの間にか元に戻ってしまったような。

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