40.お風呂は水着着用です
俺はモテる、どんな子でも“デートしよう”と言えば断る子はいない、だけどここは男性が極端に少ない世界、男と言うだけで魅力的になる世界だから、素直に喜んで良い物なのか。
「…… ちゃ…」
例えば体形、今はまだ引き締まった筋肉質、細マッチョと言ったところだろうけど、これがお腹周りに無駄な贅肉がついたデブになったら、女の子はどう言う反応をするのだろうか。
「…… ちゃん……」
そう考えると、現状は黙っていてもモテるから何もしないは悪手だ。
常に女性から見て魅力的に見える容姿を保たないといけな……
「…… お兄ちゃん……」
「あっ、葵咲か、どうしたんだ」
「どうしたんじゃないわよ、さっきから話しかけているのに、上の空で、何考えていたの?」
可愛く首を傾ける、ちょっとした仕草でも、下品にならない可愛らしさを見せてくれる子だね。
「あのさぁ、葵咲のクラスとかで、男の人の話とかする?」
「えっとー、時々そう言う話をしている人がいるかも……」
「女の子から見て、好みの男性の体形とかは有るのかな」
「女の子より、頭一つ大きくて、やせて見えるけど、しっかり筋肉がついた男の人が一番に決まっているよ」
クイッと自慢気にアゴを上げる葵咲だけど、これって俺を持ち上げているだけだよね。
「それは葵咲の好みだろ」
「えっ、そりゃまぁ……」
頬を赤らめる美少女。
「クラスの子達の好みを知りたいんだよ、やせ形よりも太っている方が良いとか、ガッチリした体形が好きだとか、自分と同じ身長が好きとか、好みは多種多様じゃないのかな?」
「あのですね、個人の好みと言うか、そのー、好き好きとかは、えっとー……」
頭の回転の速い子だけど、こういう話題は苦手な子だね。
「カイト様、お話し中に失礼致します、お風呂の準備が整いました、よろしかったらどうぞ」
回答に困っている葵咲を助ける為にやって来た、メイドの紅玉さん。
普段は、
“わたしご主人様の話しには興味ありません”
なんて顔をしているけど、しっかり聞き耳を立てているんだね。
「それじゃ、少し早いけど、お風呂に行って来るね」
「お兄ちゃん、ゆっくり汗を流して来てね~」
可愛く手を振る妹。
▽▽
メイドさんが俺の部屋に来て、数日経つと次第にルーティンの様なものが出来あがって来た。
掃除や洗濯とか雑用はいっぱいあるけど、今までは葵咲一人でもなんとかなっていたんだし、華奢な中学生一人の仕事をベテランメイド三人で受け持つのだから、オーバースペック。
そんな彼女達の一番のイベントはお風呂でのご奉仕、実は少し前に。
“本来なら主人の入浴はメイド一人でこなさなければならないのですけど、非力なわたくし共には荷が重いです、どうか二人でのご奉仕にして頂けませんか?”
なんて言って来たよ、二人からご奉仕してもらえるなんて、男の夢じゃん。
そんな訳で今日は雲母さんと、琥珀さんの二人でお風呂のお世話をしてくれている。
二人ともバスタオルではなく、紺色のスクール水着みたいなものを着ていて色気が無い。
ちょっとがっかりしていたら、生地がレオタードくらいの厚さしか無くて、身体がそのまま浮き出ている。
母性の象徴は根元までしっかりと形が分かり、おヘソの下の方は背徳感で思わず目をそらしてしまった。
今まで女体なんて何十も見て来ているのに、布を一枚まとっただけで、淫靡になるなんて、奥が深いね。
紺色の水着から伸びる、四本の腕が身体の上を自由自在に動き回り頭の中がキュルキュルしてきた。
剣道の竹刀は、気がつけば木刀の様な硬さになっている。
これが同級生や後輩達ならキャーキャー騒ぎだすか、理性を無くし覆いかぶさってくるかのどちらかなのだろうけど、さすがはメイド、メイドスマイルを絶やす事無く丁寧なご奉仕を続けてくれている。
本能に突き動かされている高校男子とはいえ、超えてはいけない一線は引いてある、その一つが仕事中のメイドさんにエッチな事をしない。
このママ達は俺に一生懸命ご奉仕をしてくれている、そんな人達に情欲に駆られ性欲を解消するのはいけない事だよね。
木刀はもはや真剣の様に硬く研ぎ澄まされて来た、一人なら我慢出来たけど、今日は二人で肌から感じる刺激も二倍。
俺の腕を軽く掴み、優しく泡を塗ってくれる雲母さん、水着越しでも母性が浮かび上がっているよ、
俺の視線に気がついたのか、ニッコリと微笑み返すメイドさん。
やっぱり視線は分かってしまうのだ。
こう言う時は子供たちの事を考えよう、白音ちゃんと黄美夏ちゃん、二人とも小一、子供と言うか、やっと赤ちゃんを卒業した、そんな感じの子達だよ。
9歳の実紅梨ちゃんと違い、まだ男女の営みなんて良く分かっていない、天真爛漫な子達。
そんな天使を女手一つで育てて来たんだよ、一生懸命俺の腕を洗ってくれている雲母さんも、きっと人には言えない苦労をして来たのだろう。
泡を流してジャグジーに入った後は、お楽しみのエアーマット。
いつの間にか浴場の照明は落され、オレンジ色の間接照明のみ。
「今からマットの準備をいたしますね」
そう言うと、俺の見えるところで紺色の水着を脱ぎ始める、全裸を散々見て来た相手だと言うのに、ガン見してしまう。
そんな俺の視線に気がつき、
“困った子ね”
そんな表情でニッコリと微笑み返される。
メイドさんを食べていた俺だけど、実は逆に食べられていないか?
ベッドの上のでの主導権は誰が握っているのでしょうか。