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貞操逆転世界で好き放題  作者: miguel92
メイド編
34/72

34.生まれながらのメイド ◆ 淀川琥珀 ◆

 メイド視点でのお話しです。




 わたしは親の顔を知りません、父親の顔を知らないのは当然として、母親の顔も知らないです、幼い子を抱えて苦労し若くして亡くなったのか、奔放な性格で子育てを放棄したのか、それすらも分からないのです。


 強いて言えば施設で世話をしてくれたおばさんが親といえるでしょうか。

そうわたしは孤児院出身です。


“良い子にしていれば、お迎えに来てもらえますよ”

 そう言われて、良い子にしていたけど、もらわれて行くのは可愛らしい子ばかり、人並な容姿のわたしは、そんな話し一つなく、10歳の時にメロディ学園に送られていきました。


 メイド養成学校のメロディ学園、まだ年端もいかない子達にご奉仕の大切さと、それがどれだけ名誉な事なのかを教えてくれます。

 身体の発達が早く、容姿に優れた子はスタリオン学園に呼ばれ、殿方からお情けを頂けると言う、ご褒美があるのですが、人並の容姿のわたしにはその様な話し一つなく卒業を迎えたのでした。


 学科成績も人並だったわたしは、進学ではなく就職に、就職先は20代半ばの男性のもとでした。

 まぁ、わたしは大勢いるメイドの一人でしたけどね。


 それでもご主人様に満足してもらえるように、全身全霊を尽くしてご奉仕をしましたよ、わたしの様な人並のメイドに出来る事は、一生懸命尽くす、これにつきます。


 朝は東の空が紫色に時間帯には目を覚まし、朝ご飯の下ごしらえをして、起きて来たご主人様をノリの効いたメイド服と、完璧なメイドスマイルで出迎え。

 日中は家事に汗を流し、夜はお呼ばれがあれば心を込めたご奉仕。


 大変だったけど、一番充実した日々だったかもしれません、ですが、買い物などで外に出かけ、小さな子を見かけると、わたしの中の母親が疼いて来ます。


 ご主人様にご奉仕するのが第一だと自分に言い聞かせてきましたが、ある日、遂に限界が来て、受精申請のページにアクセスし、承諾をタップしました。


 その日のうちに、わたしは職を失いました。

 その後はリズムの里と言う場所に送られ、天国の様な場所で娘を授かり、数年間は“母子援護法”のもとで、比較的安穏とした生活を送る事ができました、わたしの様な家族の援助が望めない親には行政の支援も手厚いのですよ。


 黄美夏きみかが大きくなり、母子援護法の援助額が少しずつ減らされていきます。

メイド斡旋所に登録はしましたが、子持ちメイドの需要は少なく、わたしに残された道は夜の街だけです。


 求人票には“エステサロンにて接客業務”とありましたが、

 現実は、仕事に疲れた女性を笑顔でお迎えし、軽くお話しした後は、汗を流してあげ、ご奉仕をする、最初は見ず知らずの人、それも女性を相手にご奉仕は抵抗がありましたが、やってみると男性にご奉仕するのと同じです、心を込めたご奉仕には相手も答えてくれます。


 人並の人生を送って来たわたしですが、夜の街では一気に売れっ子に大躍進です、収入はメイド時代の三倍以上はもらっていますし、同じ様な境遇の友人も大勢出来ました。


 街で一番の高級店にまでステップアップしましたが、高級店の同僚はメロディ学園出身者ばかりでした。

 メイドも夜の街も求められるものは同じなのでしょうか。


 そうそう、夜の街のお仕事についてお話ししておきましょう、女性にしては凛々しい容姿と立派な体格の女性が髪を切り揃え、男性つまり“タチ”に成りきって接客するお店。

 簡単なドリンクを出してお話しをするだけのコンカフェ、もっと濃密なホストクラブ、更に濃密な接触をするお店と段階がありますが。

 店員 = 仮想男性、 

 お客 = 女性、

 と言う図式です。


 それとは逆に、お客さんが男性に成り切り、店員さんは女性に徹する“ネコ”のお店もあります。


 両方の店の客同士をマッチングさせれば良いじゃないかと言う人もおりますが、夜のお店はそんな単純ではないのです、お客が望んでいるのは、何かをしてもらうと言う行為にお金を払っているのですよ。


 わたしは当然の様に“ネコ”役ですが、その様な性別に関係なくご奉仕に徹していましたよ。



 これが天職と思っていたわたしですが、心の奥に小さなトゲが刺さっています。

“今の仕事を娘に誇れるのか?”

 わたしのご奉仕は3時間限定で良いのでしょうか? そもそもご奉仕は男性にするものでは。


 そんなわたしを雇いたいと言ってくださる男性が現れました、カイト様と言う15歳のお方です、男性居住区から移り住んで来たばかりの方でしょうね。


 カイト様は何事も型破り、わたしと同じ境遇の子持ちメイドを三人も雇って(ポイントが充分にあるのにですよ)

 更にわたしの娘も抱っこしたい、なんて言うほどです、男性は子供が嫌いと言われております、珍しいですね。


 そんなカイト様の初日のお風呂係に選ばれたわたし、夜の街でしっかり学んだ手管で15歳を泡で包みます、

 久しぶりに男性にご奉仕が出来嬉しい限りです、ですがわたしはメイド、感情を表に出してはいけません、あくまでもメイドスマイルでお身体を手入れします。


 気がつけばカイト様の下半身がとんでもない事になっていました、内臓がそのまま出て来てしまったのかと思いましたよ。


 数年間男性のメイドをしていたわたしですが、前のご主人様は勃起不全 …… ではなく、

“優しいお方”

 でしたので、本当の男性をみたのはこれが初めてです。


 大理石の彫刻の様なカイト様はいっこうに収まる気配がありません、これはお病気ですね、主人の病を癒すのもメイドの務め。

 夜の街で覚えたマット洗いで“カイト様のご主人様”を鎮めてさしあげましょう。


 すりガラスの向こうに娘の気配を感じます、照明をしっかり調整したから、わたしのご奉仕はしっかりとガラスに影を作っています。

 黄美夏きみか見ていなさい、これがママのお仕事なのですよ。



 ▲



 娘の黄美夏きみかが見ているにも関わらず、情けないご奉仕になってしまいました、腰が抜けてヘロヘロですけど、そんな事をカイト様に悟られては、メイド失格、追い出されてしまうかもしれません。

 内腿がビクビクケイレンを起こしながらも、頑張りました、ご主人様のストレスは解消されたでしょうか。



 貞操逆転世界でもソープ嬢がいる世界です。

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