30.お勧めは子持ちメイド
トレーニングルームに行ったら謎の巨乳美女に声かけされて、何の考えも無しに部屋までついて行く。
する事は一つとばかり、豊満な胸に手を伸ばした瞬間、今までしなだれかかっていたサンゴさんが、拒絶の声をあげる。
「あの、ゴメン、痛かった?」
「違うの、違うの、カイト君は悪くないの……」
突然泣き始めたサンゴさん、こう言うのは感情の発露だから、無理に話しかけないでしばらくは泣くのに任せていた。
鳴き声が収まり“エッグ、エッグ”と喉を鳴らし始めた。
「サンゴさん、ゴメンね、嫌な事を思い出させちゃって」
「 あの、カイト君は悪くないの、 わたしがおかしいだけなの」
「サンゴさんはおかしくないですよ」
少ししょっぱいキスをした。
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男児を産んだと言う赤石サンゴさん、男の子を産んだと言う事は自然妊娠で、こちらの世界の我儘な男性に酷い目に遭ったのであろう。
そんな性犯罪被害者のサンゴさんの気持ちを少しずつ解してあげた。
オレンジ色の灯りの下でコーヒーのマグを差し出される、目の前にはロリ顔巨乳のママ、ママとは言うものの、自分の子とは一度も出会ってないし、子供の名前すら知らない、それってママって言うの?
「ありがとうね、カイト君」
「こっちも気持ち良い思いをしたのだからお互い様ですよ」
「最初は取り乱してゴメンね、ビックリさせちゃったでしょ」
「嫌な思い出があるなら、同じ男として謝り…」
「そんな事言わないで、嫌って言ってもたいした事じゃないの……」
俺の言葉を遮り、滔々と自分の過去を話し始めたサンゴさん、予想通りレイプ同然のセックスを強要されたらしい。
いつの間にかつき物が落ち、達観した表情になったサンゴママ。
「……こんな話し聞かされて、気分が悪くなったでしょ、ゴメンなさいね」
「いえ、色々考えさせられる話しでしたよ、ところで男児を産んだご褒美でこのマンションに住めると言う事だけど、普段は何をしているんですか?一日中筋トレと言う訳ではないと思うのだけど」
「大学に通っているのよ、F棟の女性はどこの大学でも学費がただなの、と言うか勉強をしないとここから追い出される仕組みなんだけどね」
「サンゴさんの専攻は?」
「音大なの、音大のピアノ科よ、ここにも防音室を造ってもらったわ」
「それは凄いですね、今度聴かせてください、サンゴさん指が細いから優しい音がしそうですよね」
「カイト君はお上手ね、学生の間は贅沢を堪能できるのだから精一杯楽しむつもりよ、院にも進むつもり。
女性達の中には今の生活を手放すのが嫌で、卒業したら別の大学に入り直す人もいるみたいなの」
「好きなだけ勉強出来るなんて最高の環境じゃないですか」
「そうね、大学で友達もたくさん出来たし、それとは別にF棟の子達とホームパーティーを開いたりするのよ」
「なんか充実した学生生活ですよね、憧れますよ」
「そうだけど、子供が持てないのよね、男の人には分かりにくいと思うけど、女は自分の子が欲しくなるものなのよ、あっ、ゴメンなさい、わたし無神経な事言っちゃった?」
「全然、むしろ責任を取らずに気持ち良い事が出来るので役得だと思う位なんですよ、人としてサイテーでしょ」
前の世界基準で考えると避妊の事を考えずにセックス三昧の日々を送れる、男の天国みたいな場所だよ。
そんな男の本音をダダ漏れすると、サンゴさんは苦笑するだけ。
「全然話し違うけど、カイト君の部屋にはメイドさんはいるのかな?」
「いえ、まだですよ、そもそも、どうやってメイドさんを選ぶのかも分からなくて」
「メイドを選ぶ時には使用人斡旋所と言うところに自分の希望を言ってから、数日後に面会して選ぶ仕組みなの、そこでお互い話しをして相性の良い人を選ぶ仕組み。
規則上はメイド側も気に入らない相手なら断ることも出来るけど、買い手市場だから、こちらの好きな子を選べるわよ」
「そうなんだ」
「お勧めと言うかお願いなんだけどね、子持ちのメイドさんを選んでくれないかな」
「そりゃまた、何で?」
「さっきも言ったけど、女の人は子供が欲しくなるものなの、だけどメイドが自分の子供を申請すると、ほとんどの主人は解雇してしまうのよ」
「それは酷いね」
「本当は、そう言った解雇は違法なんだけど、別の理由をつければ幾らでも解雇出来るしね。
そりゃ住み込みの仕事は難しいし、子供の行事とかで休みも増えるから、メイド学校を出たばかりの新人を雇いたくなる気持ちも分からなくはないの。
ほらっ、わたしってメイドの側とメイドを使う側の両方を知っているじゃない」
「それよりも解雇された人がどうなるのかが気になりますよ」
「短期の仕事を繰り返す人が多いそうなの、そうなると経済的にも不安定で、苦労して手に入れた娘も10歳になった時にメイド学校に入れる、なんて事も普通らしいのよ」
世界観の説明を入れましたが、男性天国の暗部を描いてしまいました、
本当は暗部をもっと書きたいのですけど、自重いたしております。
メイドさんの子供にはもっと期待をしないでください、男性天国でも超えてはいけない一線です。