24.わたし下がいい
翌日も軽い身体で登校して、厳しめの授業とその間に、女の子達とちょっとした雑談、一見自然に見えるけど、既に致した、野バラちゃんとダリアちゃん、そして鈴蘭ちゃんと紅葉ちゃんは距離を置いている。
“あんた達は、もうシテもらったんだから、次はわたし達にアピールさせなさい”
そう言う心の叫びが聞こえて来るよ。
「……それじゃヒナゲシちゃんはテニス部には入らなかったの?」
「そうなのよ、テニスって軟式と硬式の二種類があるんだけど、中学は軟式のみなのよ、高校に行けば硬軟両方あると思っていたのに、硬式だけだなんて、しっかり調べれば良かったわ」
「けど、テニス自体は続けるでしょ」
「うん、家の近くにテニスコートがあるし、軟式のクラブにも入っているんだ、そうそうテニスの軟式はボールが違うだけじゃないんだよ……」
ヒナゲシちゃんとのお話しが終わった後、席につこうとした時、鈴蘭ちゃんがすれ違いざまに紙きれを手渡してくる。
「一人の時に読んで」
小さな声で呟いた、スパイ映画じゃないんだから。
▽
メモの内容は。
“お昼ご飯が終わったら、初めてシタ場所に来て”
鈴蘭ちゃんと初めては屋上階段の踊り場だったよね、行ってみると鈴蘭ちゃんと紅葉ちゃんが待っていて、俺の顔を見た途端に深々とお辞儀。
『カイト君、こんな事を頼むのは失礼だと分かっているのだけど、お願いします』
「二人ともどうしたの?」
「あの、わたしがいけないんだ、昨日は乙夜と色々あっただろ」
「けど、仲直りしたんじゃないの?」
鈴蘭ちゃんは悲痛な顔をしながら言葉を紡ぐ。
「……あいつと勝負して、わたしが負けたのは事実だろ、だけどそんなの我慢できないから、デートをする権利を譲ってくれって乙夜に頼んだんだ」
「別に、俺は気にしないよ」
「譲ってくださいって言う条件がカイト君の写真を渡す事だったのですよ」
真っ青な顔した鈴蘭ちゃんの代わりに紅葉ちゃんが言う。
「写真ならプリ機で撮ったじゃない、まぁ、減るもんじゃないし幾らでもいいけどね」
「モデルお願い出来ますか? カメラはわたしが準備してあります」
そう言いながらコンパクトなカメラを取り出す紅葉ちゃん。
「これはフィルム式カメラって言います、昔はこの中に入っているフィルムで写真を撮っていたそうなんです。
スマホのカメラと違って簡単にコピーが出来ないし、現像が終わった後のネガはカイト君に返しますからモデルをお願い出来ますか?」
小柄な紅葉ちゃんが説明してくれる、新川カイトの時にもフィルム式のカメラって言うのがあったよね、デジカメよりも味が出るとか言われていたけど。
少しネクタイを緩めて、シャツを第二ボタンまで外した感じでモデル撮影会。
▽▽
なんと紅葉ちゃんの家にはフィルムを現像するセットがあるらしい、よくは知らないけど、現像って色々な液体を使っていた気がする、新川カイトの世界よりも進んでいると思っていたけど、昔のテクノロジーもしっかり残っていた。
「紅葉ちゃんのお家に行ってみたいな~」
「それは、光栄な事ですけど……」
小柄な女の子は更に小さくなってしまった様だ。
▽
登月と書かれた表札の家、どこにでもありそうな二階建の一軒家、
「ママはデザイナーの仕事をしているんです、毎日残業ばかりで家に帰らない日も有るくらいだから心配ないですよ」
「他に家族はいないの?」
「芸大生のお姉ちゃんがいます、最初の頃は通学生だったけど、3年になって課題が増えたから大学の近くにアパートを借りていますよ」
「アーティストの一家なんだね、紅葉ちゃんも将来はそっちの道に進みたいの?」
「さぁー、どうなんでしょうねぇ」
小柄な子はさりげなく進路をはぐらかすけど、これはまだ何も決まっていない状態だね。
▽
この家は普通の建て売りに見えて意外に奥が広い、その奥の一角が現像スペースになっている様だ。
暗幕を閉じ、赤いランプを頼りに作業を進めている紅葉ちゃん、現像なんて初めて見るけど、手際が良いぞ。
「あっ、大丈夫です、上手く定着しましたよ」
「紅葉ちゃん上手だね、将来は写真系に進めば?」
「フィルム現像なんて必要の無い技術ですよ、今は高性能のデジカメがありますから、こう言う技術が重宝されるのは、デジタルデータを残さないからなんですよ、この写真は乙夜に渡しますけど、コピーなんてさせませんから、安心くださいね」
▽
目の前で現像を見せてもらったら、紅葉ちゃんの部屋に上がる、子供の部屋が二階と言うのは定番なのだろう。
「適当にくつろいでくださいカイト君、何か飲み物持って来ますね」
「それよりも、早くこっちに来てよ紅葉ちゃん」
「はい、それでは失礼します」
近づいて来た小柄な女の子の腰を掴むと、そのまま持ち上げて膝の上に乗せる、女の子を抱っこした形、この体勢は本能的に女の子を守ってあげよう、そう言う気持ちにさせてくれるよ。
「えっとですねぇ、わたし下でも平気です……」
▲
小柄な紅葉ちゃんと仲良しした、小さい子はなるべく体重がかからないような体位を考えていたのだけど、本人の希望で下に組み敷き、欲望を押し込む様な交わりをしてしまった。
激しい行為は終わり、恍惚感に満ちた表情で俺の胸板を愛でている小柄な同級生。
「アリガトネ、カイト君」
「ギューギューして痛かったでしょ?」
「わたしが頼んだんだよ、痛くしてくださいって」
「痛いのが好きだなんて、紅葉ちゃんは変態だぁ~」
「アッッ、ダメだってカイく~ん」
乳繰り合いは突然幕を閉じる。
「こらー、紅葉、昼間っからオナッているんじゃない、オナると脳みそのシワが減るんだぞ~」
そんな声と共に布団を剥がされ、文字通り白日のもとに晒された俺と紅葉ちゃんの肢体、
「バカーッ! 青葉姉のバカー」
布団を被って声をあげていれば、最初に自慰行為を疑われます。
本当は乙夜と絡ませるつもりだったのですけど、話が上手く持って行けなく、それぞれ二回ずつとなってしまいました。
ここまで書いて気がついたけど、同級生達は全員姉がいますね、特に他意はないですよ。