19.メイドさんを貰おう
最初に豪華な生活を体験させて、この生活を手放したくなければ、デートをしろ。
そう言うスタンスです。
今はまだ新しい学校に通える嬉しさが勝っているからマンションのエントランスを抜ける足取りも軽い。
「あれ、君、シンフォニアの新入生かい」
なんと男子生徒、こちらの世界に来て初めて男と会話したよ。
「はい、一年の荒川カイトと言います」
「そうなんだ、俺は天竜シュウ、三年だよ」
「よろしくお願いいたします、これから色々教えてください、天竜先輩」
「そんなガチガチにならなくても良いよ、ここに男は少ないんだ、もっとフレンドリーに行こうぜ」
「はぁ」
「それより、荒川君、カイトって呼んでいいか?」
「もちろんです」
「じゃあ、俺もシュウって呼んでくれよな」
「はい、シュウ先輩」
「カイトは何階に住んでいるんだ?」
「えっとー、良く分からないのですよ」
これが序列か、初対面の相手だし黙っておこう、まだ相手の手札も見ていないしね、
だけど先輩は俺に威力偵察。
「もしかして部屋にメイドとかいるのか?」
「いえ、メイドさんはいません」
妹と一緒に住んでいる事は言えないね、
「副担任にクラスの女の子とデートしろって、言われただろう、もしかしてもう頑張ったのか?」
「まぁ、多少はしましたけど」
「とにかくたくさんの女の子とデートしろよ、それと女の子には丁寧に」
「それは心がけていますけど」
「俺達男にはポイントがあるんだよ、女の子とデートすれば加算される仕組みなんだけど、これには裏があってな、デート内容を女の子が評価するんだ、こんな事副担任は言わなかっただろ」
「つまり誰でも良いから適当に選んで雑なデートをしても、ポイントが貯まらないと言う意味ですか」
「そうそう、その通り、更に累積減少率と言うのもあってな、高評価をくれる子だけと、ずっとデートしていても、もらえるポイント率が減って行く仕組みなんだ。
お気に入りを作るなって言えば分かり易いか」
「なるべく大勢の子とデートすれば良いと言うのは分かりましたけど、そもそも何でポイントを貯めるのですか?」
「ポイントが貯まればマンションの階が上がっていくし、メイドと交換も出来るんだぞ、俺は一年の夏休みにはメイドをもらったよ、去年からはバイトも始めたんだ、メイドをアップグレードするぜ」
天竜先輩の話を聞けば聞くほど良くできた仕組みだ、ただデートをすれば良いのではなく、女の子を満足させる必要がある。
一人か二人のお気に入りを作って何回もデートを重ねても、もらえるポイントがだんだん減って来るから、新規開拓も怠らない様にしなければならない。
ポイントをメイドと交換と言うのはどうかと思うけど、葵咲はまだ中学生、家事と学業のかけもちは大変だろうから、メイドさんを雇うのも有りか。
怖いのはデートもバイトもしないで引きこもっている様な連中、タワマンの階はズリズリ下がっていき、最後は追い出されて、安アパートに、それでも改善しないとタコ部屋みたいな場所い放り込まれるそうだ、男の天国みたいな世界だと思っていたけど、意外にシビアだぞ。
最初にコンシェルジェ付きのマンション生活を味あわせて。
“この生活を手放したくなければ女の子とデートしろ”
って言っているみたいだよ。
▽
昇降口にはロリ巨乳のリンちゃん先生が待っていた。
「カイト君、偉いです、今朝も通学して来てくれてありがとう」
「当たり前でしょ」
「そーでもないんです、学校がキライって言う男子も少なからずいるのです、副担任はマンションの前まで迎えに行ったり、部屋まで迎えに行ったりするのですよ~」
相変わらずポアポアした喋り方で気が抜けるけど、この先生を甘く見てはダメだ、ポイントの事を隠していたしね。
「リンちゃん先生も俺のポイントが気になるの?」
「もう、さっそく悪い先輩に捕まっちゃったのですね、カイト君にはポイントなんて気にしないでデートして欲しいんです」
「どうしてポイント制度を隠すの? オープンにしても良いでしょ」
「知らない方が良いからですよ、デートをすれば基礎ポイントが付きますけど、それとは別に女の子からの評価ポイントが付くのは知っているかな?」
「まぁ、多少は」
「デートの最後に男の子から“俺の評価を上げておいてね”なんて言われたら女の子は興ざめですよ、あくまでも自然体で付き合ってください」
▽▽
ずっと後に知った事だが、評価値の計算方法は複雑、女の子の入力する評価は0が普通。
良かったら+1、+2、+3、+4、+5、ダメだったら-1、-2、-3、-4、-5、と評価されて行くのだけど、基礎ポイントに複雑な係数を掛け算していくので。
例えば、同じ基礎ポイント100の行為でも+5評価と-5評価では、かたや200ポイント、かたや10ポイントなんて、とんでもない差が付く。
しかもこの係数は基礎ポイントの多寡、貢献度にも応じても変動していく仕組みらしい。
男の天国みたいなシンフォニア高校だけど、大事な部分は女子生徒が押さえているんだよ。
それとは別に搾精ポイント、勃起はしないけど精液を作る能力のある男子は毎月病院で搾精、これもポイントの対象だけど、こちらはもっと曲者。
搾精した精液で人工受精が成功して、子供が産まれ、その子供が10歳になった時点でIQテストを行い、その点数に応じてポイントが貰える仕組み、通称IQポイント。
どんなに早くても25歳まではポイントが入らないのだよ。
最初は一回の搾精毎に収入を得るスタイルを考えていたのですけど、着床、出産、10歳になるまで収入を得られないと言う設定にしてしまいました。
男の天国みたいな世界だけど、大事な部分は女が押さえていて、バランスをとっています。
皆さんからの感想や評価、ありがとうございます、この設定分かりにくいのだけど、みたいな意見でも構いません、思った事を教えて頂ければ幸いです。