17.ロリ先生とご飯
男子生徒の食事は一人で食べます。
食べるしぐさは性的なイメージがあると言う事で。
真面目だけどちょとエッチな週末が終わり月曜日、今日からは午後まで授業だから、学校でお昼ご飯、リンちゃん先生が教室まで迎えに来て、男子棟に行く。
「最初に説明したと思いますが、男子生徒は個室での食事ですよ」
「ボッチ飯ですか」
「先生で良ければ隣にいますけど」
「是非ともお願いします! 一人で食べたら美味しくないですよ、一緒に食べましょう」
「男子は食事を見られるのを嫌がると言うのに、さすがはカイト君ですね」
男性棟の個室ではリンちゃん先生がお茶をいれてくれて、ケータリングのお弁当を広げる、チャーハンと春巻き、軽く香辛料が効いたスープ。
「リンちゃん先生、このご飯美味しいですね」
「喜んでくれて何よりです、保安上の関係で名前は明かせませんが、名前の通った店のケータリングですよ」
そう言っているリンちゃん先生の箸は止まり気味、俺には丁度良い量だけど、小柄な女性には厳しいだろう。
「リンちゃん先生、無理に食べなくても良いよ」
「食事は残さない様に躾をされて来たのに、恥ずかしいです」
「残った分は俺が食べるからさ」
そう言って、リンちゃん先生の春巻きをヒョイっとはさんで頂くと、ロリ先生は目をまん丸にしている。
「……まぁ、わたしの分で良ければ」
「明日から量を減らしてもらう様にすれば?」
「そう言う訳にもいかないのです、量が違えば男性の食べる物が特定されてしまいますからね」
「別に食事を特定されても問題無いと思うけどねぇ~」
「以前、惚れ薬を混入された事件があったのですよ」
「そんな薬があるのですか?」
「ある訳有りません」
「ですよねー」
その後もリンちゃん先生は男子の食事アルアルについて教えてくれた。
男子生徒が学食で食べると、使ったスプーンをコッソリ持って帰ったり。
弁当なんて持って来ると空の弁当箱を拝借して、レロレロしたりとエゲツの無い事が頻発したそうだ。
「……リンちゃん先生、本当ですか?」
「前にも言いましたが、女子高生なんて性欲モンスターなんです、食事と言う行為自体が性的な面もありますし。
ご飯を美味しそうに頬張る男子が立派なオカズになってしまうのですよ」
「クラスの子達はみんな素直そうな子だから違いますよね」
リンちゃん先生はダメな弟を見る様な目になった。
「カイト君、ハッキリ言っておきましょう、女子高生は性欲の塊です、どんなにお淑やかに振舞っていても、信用してはダメですよ、女の子の皮を被った狼だと思ってください。
性欲の絶頂期は17歳くらいと言われていました」
「 “いました”って過去形? 今は違うの?」
「違うと言うか、最新の学説では、性欲が加齢によって衰えるのではなく、社会経験を積む事によって、自制心が働くからだと言われています。
心理学なんて頭を開いて中を覗く訳じゃないから当てにはなりませんけどね」
「その話だと、女の人は歳をとっても安全とは限らないのですか」
「そうです、大人の女性でも、信用してはダメですよ、ある程度の歳でも心のケダモノを制御できないメスはいっぱいいますからね」
やはりこの世界は男女が入れ替わっている、新川カイトの世界では男子高生がまさに性欲モンスターだった。
「先生! 提案がありまーす」
スッと手をあげる俺、
「はい、カイト君」
「男子棟に男子専用の食堂を作れば良いと思います」
小学生の発表みたいな口ぶりで言ってみた、
「カイト君、良い提案ですね、だけど却下です」
「理由を教えてくれませんか?」
「これから男子はデートをしますよね、その時の対応によって男子に差がついていくのですよ、序列化って分かります?」
「へぇ~」
「真剣に聞きなさい、いいですか、勝った方は根拠の無い優越感に浸り努力をしなくなるし、負けた側は屈辱感にまみれます、だから男子はなるべく差をつけない様にしていますし、男子同士の接点も最低限です、
カイト君のマンションは何階か知っていますか?」
「そう言えば分かりませんね」
「男子の序列は、そのままマンションの階に表れますから、自分が何階に住んでいるかは言わない様に」
男の天国みたいな世界だと思っていたけど、意外に世知辛い。
「俺も分かりませんから、言いようがありません」
「それで良いのです、そうそう、この学校のクラス名が数字やアルファベットじゃなくて、月組とか風組なんて言う名前なのも、序列を隠すためですよ。
1が優秀とか、Aが一番偉いなんて言いだす人達がいますからね」