124.壊れちゃう
文系で入学したけど、理系の学部に移る事です。
もう一度一年生と言う留年宣言を受けた後は、副担任と男性棟に行って個別のHR、いつもなら専属のメイドさんがいるのに、今日は桜ちゃんと二人だね。
いい機会だから思っている事を訊いてみようと、クラスメートには聞かせたくない質問を投げつけた俺。
「……先生、俺は芸能活動しているよね、もう学校に通う必要がないと思うのだけど」
「そうですね、カイト君はもう立派な社会人ですよ、ですけど、学校に通う事を強く求められます。
これは政府の方針みたいなものです、何年かかっても大学卒業までは覚悟しておいてください」
前の世界では何としても大学に進みたかったのに、こちらの世界では必要ないのに大学まで進まされる、なんとも皮肉だ。
「俺は、どうして無理してまで大学に進まないといけないのですか? 必要ないと思いますけど」
「その疑問はもっともです、高校生の人生相談の定番ですね」
「先生だって、ちょっと前まで高校生だったでしょ」
俺の返しを無視して、桜ちゃん先生は話を進める。
「逆に質問ですけど、学歴のある人とない人の違いはなんだと思いますか……」
俺は桜ちゃん先生の質問に、退屈な勉強をこなしたと言う事は忍耐力の証明になるとか、学校で人脈づくりになると答えたけど、副担任の表情は正解ではなさそうだ。
「……ふーん、確かにそれも一つの考えですね、ですが教育の一番の目的は考える習慣をつける事なのです。
これから先カイト君は色々な問題に直面するでしょう、そんな時に、
“こんな事できるわけない!”
と言って投げ出すか、なんとか解決方法を考えるかの違いですよ」
芸能活動をしているとマネージャーさんや関係者の人達が色々な問題に直面しても、なんとか解決方法を考えていた。
「はぁ」
「まぁ、わたしも、先輩から聞いた話なんですけどね、ちょっと前まで高校生でしたから」
俺の言葉をさりげなく返す桜ちゃん先生。
「先生も大学生なんだよね」
急に顔を落とした桜ちゃん先生。
「ええ、わたしの大学では最初の二年は一般教養で色々な講義を受けることが出来るのですよ、それで色々考える事がありまして。
理系に進みたくなったのですよ、理転って言うのですけどね、履修科目は取ったけど、実際には厳しい道なのですよ……」
「もしかして、男性担任をすれば理転出来るの?」
「その通りです、えっと、最初に男性担任の話が来た時にはチャンスだと思って飛びついたのですけど……
……カイト君を利用するような事をしてしまって申し訳ないです」
顔を下げるどころか、縮こまってしまった桜ちゃん先生。
「どんな形でも桜ちゃん先生の力になれたのなら嬉しいよ」
「…… あのですね、わたしの男性担任は今週いっぱいなのですよ……
あっ、大丈夫です、もっと素敵な後任がいますし、今は引き継ぎの最中です、カイト君に不便な思いはさせませんから」
大勢の女性が俺のもとにやって来て妊娠と共に去っていったけど、妊娠以外で去って行くのは桜ちゃん先生が初めてじゃないのかな。
驚いた自分を客観的に見ているもう一人の自分がいるよ。
「桜ちゃん先生の人生でしょ、俺は利用されたなんて思っていないしよ」
「あのですね、最後にカイト君が欲しいです……」
もはや縮こまるどころか、本当に小さくなってしまったかのような桜ちゃん先生。
先生には無理やりしてしまった事があるけど、あの時は大事なものが出ない状態だったし。
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男性棟の少し硬いベッドに二人の身体が一つの大きな窪みを作っている。
「赤ちゃんできちゃったかもしれないよ」
「もう~ いじわるカイ君なんて嫌いだよ」
そう言って、愛おし気に男性の身体に整った顔を埋める低身長の女子大生、最高に可愛い女の顔だ。
可愛らしい女の子を演じながらも、ロリ女子大生は心の奥でつぶやいている。
“三田課長は大学生をカイト君に紹介するようにと言ったわよね、わたしも大学生なんだから、いいわよね”
男性には絶対に見せない、性欲と打算が渦巻く水無月桜子。
喜びの滴を受け取った部分に違和感。
「ちょっと、カイ君、どうしたの」
「いいじゃん、まだ抜けていないんだし」
「さっき抜いたでしょ!」
「あれはノーカン、もう一回、ねぇ、いいでしょ」
「ダメだって、あんな激しいのをもう一回なんて壊れちゃう……」
男子高生のケダモノが目を覚ますと、小柄な身体はオモチャみたいに動き、豊満な女性の象徴が激しく揺れ、端正な顔はみっともなく歪む。
ちょっと摘まみ喰いのはずが、とんでもない昼下がりを過ごすことになった女子大生。
抜いてなければノーカンと言っていますが、底なしの精力です。




