118.男同士で昼ご飯
軽くシャワーを浴びて出てくると、瑚桃ちゃんが待っていた。
「当真君、お昼ご飯はこちらですよ」
連れていかれたのは真っ白なテーブルクロスが眩しい部屋。
瑚桃ちゃんが椅子を引いてくれて座ると、ボクの隣にはシュンヤ君が座り、その向こうにはキヨシ君、それぞれの横にはお世話係りの子。
テーブルマットはユニコーンのデザインだった、隣を見るとシュンヤ君は狼の横顔、キヨシ君はワシみたいな鳥のシンボルマーク。
両隣をお世話係りの子に挟まれて男三人でお昼ご飯、メイドさんが運んできたお皿はハンバーガーだった。
六人で始まった食事、ハンバーガーは最高の味だったよ、食べ慣れたチェーン店の安っぽいパテとパサパサのバンズとは大違いだったよ。
お世話係りの子達が話題を振るけど、なかなか会話が盛り上がらないでいる。
「……はい、当真君、ここにお茶を置いておきますね」
食事が終わると、それぞれのお世話係りは出て行ってしまった。
お世話係りの女の子が出て行ってしまい、気まずい沈黙が食堂を支配する、それを破ったのはシュンヤだった。
「なぁ、当真は何歳なんだ?」
「…… えっとー ……」
「そう言う事を言うな、って言われたんだろ」
ボクは頷いて返事をするだけ。
「俺達は14歳なんだよ、シャセー出来ないとスタリオンに行けないって言われているけど、
上手くいかないから仕方ないよなー」
シャセー、スタリオン? 何だいったい。
ボクは首を捻る。
「なんかよく分からないんだけど。 ボクは小四で10歳だよ」
「それで小学生か? 俺とそんなに変わらないぞ」
「う~ん、何でなのかは知らないけど、昭陽小って学校に通っていたんだけど……」
ボクは崖から落ちて野原の真ん中に放り出されて、気がつけば大きくなっていた、話しをしたよ、バカにされるかと思ったけど、シュンヤ君は真剣に聞いてくれた。
「……それで、当真が前にいた世界は男と女が半々だったのか?」
口を開いたのはキヨシ君だった、初めて声を聞いたよ。
「そうだよ、だから、男がそんなに威張っていなかったし」
「ほかに何か違うとこはあるか?」
上体をこちらに傾ける様に訊いてくるキヨシ君。
「う~ん、スマホとかタブレットが普通にあって、アニメとかが好きな時に観られて……」
ガチャリと扉が空き、数人のメイドさんが入って来て、ゴロゴロとワゴンを押してズイズイとやって来る。
「お茶を変えますね」
「こちら甘味になります」
「よろしかったら、シュークリームもありますがいかがいたしましょう?」
「冷たいお飲み物もご用意できますが
突然現れたメイドさん達の闖入により、前の世界の話はカスタードシューに取って代わられた。
「……おい、シュンヤ、こっちのチョコ味も美味しいぜ」
「当真は甘いものが好きだな、俺はご褒美の方が柔らかくて好きだけどな……」
シュンヤはご褒美の話を始めたけど、ママやお姉さん達の胸をモミモミしているらしい。
メイドさんに調教とかはしていないのかな? ボクはあれから3人のメイドさんを調教してあげたよ。
「シュンヤは調教をしないの?」
「調教かぁー、蹴ったりするんだろ、なんかなぁ」
「キヨシは?」
「ボクも叩くのはイヤかなぁ」
「メイドさんが嫌いなの?」
「別に嫌いってわけじゃないよ、いつもお風呂で身体を洗ってくれるし」
「だったら調教をしてあげないと、メイドさん達は大変なことになってしまうよ……」
クズ女はやがては処刑されてしまう、と言う話をすると、真剣な顔になったシュンヤ達。
「……なんか、殺されるのはかわいそうだよな、今日は帰ったらメイドの尻を蹴ってみるか」
「あのさぁ、蹴るだけじゃなくて、裸にして上に跨るんだよ」
「なんだよそれ?」
「大事なところがあるだろ、それをグリグリ押し付けると気持ちいいぜ……」
▽広尾連絡官 ▽
夜の帳が降り、静謐に包まれた時間帯、屋敷の地下で、満足そうにモニターを眺める官僚、広尾愛美理。
小学生の心を持った純真な中学生が一心不乱に下腹部を動かしている。
“男性管理局なんて思い通りにいかない事ばかりでストレスが溜まるばかり”
と先輩に言われていたけど、それは先輩方の能力が低いだけでしょう、しっかりと性格を見抜けば、マニュアル通りに動いてくれますよ、男性は。
「連絡官、よろしいですか」
係員が訊いて来る。
「何かしら?」
「シュンヤ様宅から連絡が入りました。
現在全裸でメイドに跨っているそうです、下腹部の赤外線映像では充血が確認されたそうです。
映像をご覧になりますか」
切り替わった画面には獲物を抑え込んだオオカミが映る。
「連絡官、キヨシ宅より連絡です、メイドに覆いかぶさっているとのことです!」
モニターには腰を上下に動かしている中学生の姿。
全くダメだと言われていた問題児も簡単に手玉に取れるとは、楽な仕事ではないか。
我慢しようと思っても笑みを隠せない内務省官僚だった。
胸くそな男性居住区はここまでです、男児には贅沢な暮らしをさせてみようと思ったのですけど。
思いついたのは乗馬とテニスだけでした、上流階級の描写は難しいです。




