115.可愛い子は逆らわない
承香学校はJOKERの意味です。
今日からボクは学校に行くことになった、いずれは学校に通うとママ達に言われていたけど、急に決まったよ。
玄関アプローチに出ると馬車が待っていた、毎朝乗馬をしているから、馬には慣れているけど、馬車って本当にあるんだね。
馬車の横には水滴バッジのお姉さん。
「こんにちは当真様」
ニッコリとほほ笑んで挨拶してくる。
「愛美理さん、おはようございます」
「まぁ、私の名前まで覚えていてくれて光栄ですわ。
当真様、まずは馬車にお乗りください、道すがら学校の説明を致しましょう」
二頭立ての馬車はカポカポ音を立てて進んでいく。
愛美理さんの話しだと、男子生徒はボクを含めて三人だけだって。
その代わり、お世話をしてくれる女子生徒が大勢いるらしい。
「……それで、他の男子は何年生なのですか? と言うかボクは何年生」
「当真様、男子生徒に学年はありませんよ、それぞれのペースで勉強を進めていくだけです。
シュンヤ君とキヨシ君、あっシュンヤ君とキヨシ君って言うのは他の男子の名前なのですけどね、朝のホームルームを一緒に受けたら、それぞれ別の教室に行って授業を受けますよ」
それって学校に行く意味ないじゃん。
「それで、シュンヤ君達は何歳なのですか?」
「当真様、男子生徒には年齢よりも大切なものがあるのですよ……」
歳の事はごまかされて、気がつけば学校のアプローチに入っていた。
▽
「ようこそ承香学校へ、お待ちしておりましたよ」
30歳くらいの校長先生に出迎えられると、校長室に案内される。
茶色の木で出来た重そうな扉の向こうには三人の女の子がボクを待っていた。
「こちら当真君のお世話係りですよ」
みんな半袖の白いセーラー服、スカートは信じられないくらい短くて、真っ白な太ももはスラリとしているよ。
「こちらの三人には、なんでも好きなことを命令してください、絶対に逆らいませんから、さぁ順番に自己紹介をなさい」
「清川瑚桃と申します、よろしくお願いしますね」
髪をサイドポニーにして、アゴは小さいし、鼻筋もキレイで文句のつけようのない美人さんだよ。
「初めまして、谷中桃百花です、よろしくね」
三人の中で一番背が高くて、ツヤツヤの髪は腰まで伸びている、顔は小さくてツンとしたお鼻。
「わたし、根岸桃胡姫一緒に勉強しましょうね」
最初の二人はキレイな美人さんだけど、この子は可愛いタイプ、本人もそれが分かっているのか、可愛く顔を傾けるとはちみつ色の髪が流れる。
少年は気がついていないが、三人とも目元は優しそうなたれ目、病院での検査で長い時間凝視していたのがこのタイプ顔つき。
▽
その後は担任の白桃先生を紹介された、優しそうなママみたいな雰囲気だよ、身体はムチムチだけどね。
「さぁ、当真君、ホームルームに行きますよ」
担任の先生に案内された先にはシュンヤ君達が待っていた。
二人とも六年生くらい、それとも中学生、歳が全然わからないや。
「はい、シュンヤ君とキヨシ君、こちらは今日から一緒に勉強する当真君ですよ」
「当真です、よろしくお願いします」
「…… おっ、おう……」
「 …… 」
『よろしくお願いしまーす』
二人の男子はあんまり喋らないけど、お世話係りの子たちは元気よく挨拶してくれたよ。
シュンヤ君のお世話係りの子達、顔はボクのお世話係りが勝っているよ、これは自信を持って言える。
けど、お胸は負けている。
6年生くらいなのかな、オッパイがタユタユしてセーラー服がはち切れそうだし、太ももとかも全然違う。
キヨシ君のお世話係りはみんな背が低い、小三くらいじゃないのかな、小さくて可愛らしい子たち、背はキヨシ君の胸よりも低いよ。
だけど顔はあんまり、ちょっとお鼻が大きいよね。
それからはお互いを紹介したり、学校のスケジュールとかの説明を受けたよ。
「……それでは、それぞれの教室に移動して授業を始めてください」
▽
教室に行ったら、丸テーブルがあった。
桃百花ちゃんが椅子を引いてくれて。
「さぁ、当真君、こちらにどうぞ」
ボクが座ると、三人の女の子たちも一礼してからボクの隣の席に座る。
担任の白桃先生が少し雑談をして、そのまま授業に入る。
「……皆さん、ここ数日はずっと雨が降っていましたね、雨は好きですかぁ?」
ボクの方を見ているね。
「嫌いだよー」
「当真君は雨が嫌いみたいですね、どうしてなのかな?」
「だって、外に行けないし、いやだよ」
「そうですよね、では雨ってどうして降るのかな、分かるかな……」




