涙の川
子ども心の夜を明らめた燈火で
幼馴染の三人はたがいを照らしあった
一輪の花、一茎の草、榲桲の木、床の染み、壁の剥がれ
目に、耳に、指に触れるのはみな聖堂だった
時は巡り聖女は習俗に嫁いだ
僕たちは天に憧れたまま空を駆けた
やがて貴女は聖母となり、翼から愛を溢れさせた
世界に夜はあっても闇はなかった
運命の冬に北風が死魔を吹きつけた
幼子の息はモーターが掠れるように枯れ
虚しく息絶えた。――貴女の翼を引き裂いて!
聖女よ嘆くなかれ、僕たちが両の翼となろう
貴女よ、憧憬を思い出して飛べ、もっと高く、もっと遠く!
しかし深い悲しみは罪を呼び
花は花のまま、草は草のまま、榲桲は実を結ばなかった
床の染み、壁の剥がれ、神像をさえも貴女は沈黙させた
かつての聖堂は、ただの物体に成り果てた
それでも貴女は祈った、僕たちも祈った
殴りくる豪雨のなかで生ける神を求めて
しかし貴女は堕落した、それでも僕たちは祈った
おお神よ、これが絶望なのか! あまりにも無慈悲だ!
堕天使は、死せる偶像を崇拝する、聖女は死んだ!
それでも僕たちは両の翼となって強く羽ばたく
セーヌがあらゆる物体で堰き止められるとしても
ひと粒の水滴となって流れようと
だが、聖女は死んだのだ!
盲目がそこに生きる人を隠し
僅かな親切の灯火も吹き消した
偶像を抱き、涙の川を流す白き女性よ