第94話「それでも選べなかった人へ──自由が刺さる日」
誰も夢を語らず、
誰も挑戦せず、
「どうせまた失敗する」と言葉を交わすことすらなかった。
その空気に、リベルたちでさえ、足を止められた。
「……自由の力は、すべての人に届くとは限らない」
ミーナの小さな呟きが、空気を切った。
ティア:「怖いんだよ、きっと。“また、失敗したら”って……」
ハルク:「けど、それって本当に“自由が怖い”ってことなんか?」
そんな中、リベルはひとりの老人と出会う。
その男は、かつて仲間と街を変えようと起業し、裏切られ、奪われ、失敗した者だった。
「ワシはな、自らの選択が憎いんじゃ。
ワシが選択した結果、すべて失った。
あれから、ワシはもう何も望んでへん」
リベルは静かに、言葉を返した。
「じゃあ……選ばないことを、あなたは“選んだ”んですね?」
老人:「……なんやと?」
リベル:「それも立派な選択です。
選ばなくていい。立ち止まっていい。
ただ──“誰かに奪われて選ばなかった”ままでは終わってほしくない」
【最終スキル:リベル】
《赦し》──選べなかった自分を、受け入れる選択肢の提示
老人は、長い沈黙の後にこう言った。
「……また、やってみるわ。
ワシのペースで、小さく何か、始めてみる。
選択ってのは……ほんまは、そういうもんかもな」
──静かだった谷に、風が吹いた。
小さな風鈴が鳴る。
焚き火に、ひとつ灯がともる。
それは、選ばなかった者が、“また選ぼう”とした瞬間の灯火だった。
リベル:「“選ばなかった自由”も、
“また選べるようになる自由”も、
両方あって初めて──本当の『自由の力』なんだよな」
【最終スキル到達!】
《自由の力:完全覚醒》──世界を照らす“灯火の思想”が完成した!
──リベルたちは旅を終え、
最後に手にしたものは、“正解”ではなかった。
それは、問い続ける勇気と、選び続ける意志だった。
【To be concluded…!】




