第90話 「バリ師匠再臨──“自由の完成形”が問いかけるもの」
──黄金と翡翠に彩られた都市、トミバイ。
空に浮かぶその都市は、まるで“思想”そのものが具現化したような場所だった。
リベルたちが都市の中心部、《ザイアリーナ》に足を踏み入れたその瞬間──
天井から降るように、あの声が響いた。
「よう来たな、リベル坊ぉぉ──!」
そこに立っていたのは、
真紅の外套をなびかせ、金のターバンを風で揺らす男。
そう──
バリ・モルディブデ・ザイアール、通称:バリ師匠だった!
ハルク:「ホンマにおった……!神話の生き物かと思っとったわ」
ミーナ:「都市に負けないインパクトなの、この人だけよね……」
ティア:「あっ……鳥が肩に止まった……」
バリ師匠は笑いながら、両手を広げた。
「いや〜ようやった、ようここまで来たわ。
自分ら、“自由”ってことをここまで突き詰めるとは思わんかった!」
「せやけどな──ここがゴールやと思うたら大間違いやで?」
リベル:「……やっぱり、そういうことですか」
バリ:「そういうことや。
このトミバイは“完成された自由の街”や。
でもな──完成された自由には、“飽き”が来るんや。」
バリ師匠の目が、鋭く光った。
「ここでは、すべてが選べる。
食べるもの、住む場所、働く時間、人との関係──何もかもが、選べる。
けどな、“選べる環境”ってのは、“選ぶ意志”が鈍る環境でもあるんや。」
【真理の提示:バリ師匠】
《自由の腐敗》──選択肢が多すぎることで、人は思考を放棄し始める。
ティア:「そんな……じゃあ、私たちはまた迷い始めるの?」
ハルク:「結局、答えって……ないんか?」
バリ:「違う。“迷い続ける力”こそが、“本物の自由”や」
リベルは拳を握りしめた。
「……だったら俺たちは、選び続ける。
どれだけ選択肢が増えても、自分で問い続ける限り、
“自由は腐らない”。」
【スキル最終進化:リベル】
《選ぶ力・永続》──問いを持ち続け、変化を受け入れる意志の力。
バリ師匠は、満足げに笑った。
「──合格や。
リベル坊、ティア、ミーナ、ハルク。
お前らは“自由に支配されない強さ”を身につけた」
「トミバイに住む資格は、すでにある。
けど──それでも“選んで”ここを出るなら、
それはそれで、最高の選択や」
リベルは、少しだけ笑って言った。
「……じゃあ師匠。
オレたち、もう一度外の世界へ旅に出ます。
“選ぶ力”を、まだ迷ってる誰かに届けたい」
バリ:「──ええやん。
今日がいちばん若い日やで」
【To be continued...!】