第89話「風の試練──選ぶ者に都市は微笑む」
──リベシティを発ったリベルたちは、
風に導かれるように南東の山岳地帯へと辿り着いた。
道なき道。人の気配すらない谷底の大地に、
突如として“空間のゆらぎ”が現れる。
それは、まるで世界そのものが問いかけているかのような──
“選ぶ者”か、“選ばされた者”かを見極める揺らぎだった。
ティア:「ここが……トミバイの入り口……なの?」
ハルク:「ちゃう。これは“門”やない。風の審判そのものや……」
その瞬間、烈風が吹き荒れた。
視界が白く、空間がねじれる。
「──試練を受ける者よ。問う。」
風の中に、声が響く。
それはバリ師匠の声ではない。
もっと古く、もっと深く、“選ぶ力”そのものの意思のようだった。
『あなたは──「自由を選んで生きてきた」と言えるか?』
風が、魂を剥ぐように問いかけてくる。
リベルの記憶が、脳裏を駆け巡った。
ブラック企業、潰れかけた心、
異世界転生、貯める力、増やす力、稼ぐ力、使う力、守る力──
そして“選ぶ力”。
リベル:「オレは……
最初は、自由なんてただの逃げ道だと思ってた。
でも、仲間と出会って、街を作って、
オレはようやく、“自分の意志”で人生を歩き始めた──」
【精神共鳴:リベル】
《風の審判:突破値95%》──通過条件に近づく!
風の声は次に、ティアへ向けられた。
『あなたは、自らを信じる力を持っているか?』
ティア:「私はずっと、誰かに守られたいと思ってた。
でも今は違う。自分で選ぶって、時に寂しいけど……
でも、それが生きてるってことなんだって分かった」
【精神共鳴:ティア】
《風の審判:突破値89%》
次は、ミーナ。
『あなたの“幸せ”は、他人に説明できるか?』
ミーナ:「説明なんかしなくても、感じるよ。
自分で店を出して、お客さんと笑って、
それで“今日が幸せだった”って思えたら、それが私の答え!」
【精神共鳴:ミーナ】
《風の審判:突破値92%》
最後にハルク。
『あなたは、過去を受け入れ、それでも未来を選べるか?』
ハルク:「もちろんや。失敗した日々も、裏切られたことも、
全部オレの“選択”やったからな。
せやから、オレはこれからも、誰のせいにもせん。
オレの人生は、オレが選ぶんや──!」
【精神共鳴:ハルク】
《風の審判:突破値98%》
その瞬間──
風が凪いだ。
空間のゆらぎが収束し、霧の向こうに現れたのは……
黄金と翡翠の浮遊都市。
都市の中央には、“バリ師匠の紋章”が輝いていた。
【トミバイ・入場認証完了】
《選ぶ者の都市》、完全顕現!!
リベル:「これが……バリ師匠の見せた、“自由のその先”──」
ミーナ:「……夢みたい」
ティア:「でも、夢じゃない。これも、あたしたちが“選んだ未来”なんだよ」
ハルク:「ようやく来たな。“ほんまもんの終着点”に」
【To be continued…!】